医療法人社団愛友会 蓮田一心会病院
(埼玉県 蓮田市)
田幡 克也 院長
最終更新日:2022/07/05
患者の身近で貢献できるチーム医療を推進
蓮田駅西口から徒歩2分と交通至便な場所にある「蓮田一心会病院」は内科や外科、小児科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科のほか、透析医療に注力し、人工透析を行っている病院として地域の人々に周知されている。2019年に就任した田幡克也院長は、さらに地域貢献できる医療をめざし、職種の垣根を超えてスタッフが協力し合うチーム医療改革を進めてきた。2021年8月には日本糖尿病学会糖尿病専門医を軸とした糖尿病療養支援チームを発足。また同年6月には主任会を中心に日本看護協会皮膚・排泄ケア認定看護師を講師として、地域の介護職に向けたおむつセミナーを開催するなど、健康情報の発信にも力を入れてきた。「専門性を持つ医師や看護師など多職種によるチームを編成することで、より大きな医療効果につなげたい。院内の風通しも良くなり、皆が同じ方向で頑張ってくれている」と田幡院長も改革の進捗に手応えを感じているようだ。在宅復帰に向けた環境づくりの一環として新たに訪問診療も開始した同院。それらの取り組みも含めて田幡院長に話を聞いた。(取材日2022年5月27日)
こちらの病院の特徴を教えてください。
2000年に設立され、2005年からは上尾中央医科グループ(AMG)の病院となりました。理念は「医の心を重んじ、患者さんのそばに寄り添い、労り、尽くす医療の提供」です。診療科では内科・糖尿病内科・腎臓内科・外科・整形外科・脳神経外科・耳鼻咽喉科・小児科・皮膚科・泌尿器科のほかリハビリテーション科も備えていますが、前院長の時代に充実させた人工透析内科が大きな特徴です。病床数は地域包括ケア10床を含む50床と小規模な病院ですが、地域のニーズに応えられるよう外来診療に力を入れております。病院内にある訪問介護ステーション「ブルーベル」と連動した在宅復帰支援のほか、個人や会社の健康診断、人間ドックなどの健診にも力を入れています。蓮田市には大きな病院が不足しているので、ほかの医療機関ともそれぞれの特色を生かしながら地域医療を担っていこうと話し合っています。
近年の取り組みについても伺います。
院長に就任以来、チーム医療を軸にした医療貢献の体制づくりに尽力してきました。県内全域に高齢化が進んでいますので、動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病がある程度進行してしまった患者さんに対する医療提供をより効率的に行うため、職種を超えたチームが必要と考えたからです。その一つの事例が2021年8月に立ち上げた糖尿病専門の医師を中心とした療養支援チームです。腎臓専門の医師や薬剤・栄養・リハビリテーションなどの部門ともスムーズな連携を取り、網膜症や腎症などの合併症を起こさないよう取り組んでいます。こうした当院のことを知っていただくために、オンラインで地域の介護関係者に向けた高齢者のおむつセミナーなども行いました。日本看護協会の皮膚・排泄ケア認定看護師が主体となって発信しましたが、今後も糖尿病教室などの市民啓発のための講座などを積極的に企画していきたいと考えています。
人工透析内科の充実も大きな特徴ですね。
人工透析内科は、透析患者さんが望むその方らしい生活を送ってもらいたいとのコンセプトで運営し、日曜以外はシャント手術を実施、夜間透析も行っています。シャントトラブルへの対応では、2021年4月から2022年3月までの1年間で経皮的シャント拡張術(PTA)の実績が278件。これは腎臓内科を専門とする医師や、心臓カテーテル治療に豊富な経験を持つ医師がいるからこそできることです。さらに現在は皮膚・排泄ケア認定看護師を中心に、糖尿病が進行した患者さんの下肢血流を促して合併症を防ぐフットケアチームも活発な活動を行っています。シャント形成した皮膚の状態の管理はもちろん、透析中にフットケアを行うことで血流を促し、さらに遠赤外線治療や運動療法も組み合わせて下肢の機能を維持しようとするものです。また透析が必要な患者さんが通いやすいよう、無料送迎車も毎日23台、蓮田市を中心に近隣のエリアまで運行しています。
地域連携についても教えてください。
消化器内視鏡による手術など簡単な手術は当院で行い、それ以外は近隣の病院を紹介して術後にまた当院に戻って来てもらってケアする体制です。手術が必要と判断すれば、上尾中央総合病院など上尾中央医科グループ(AMG)の各病院のほか、さいたま赤十字病院、自治医科大学附属さいたま医療センターなどと密接に病病連携を図りながら、患者さんがスムーズに手術を受けられるように努めています。さいたま赤十字病院の先生は隔週で当院に来て透析患者さんたちの入退院の調整などをしてもらい、自治医科大学附属さいたま医療センターの先生には当院の夜間透析に協力してもらっていて、その他の医療機関についてもより密接な連携を取りたいと考えています。新型コロナウイルスの流行もあって地元の開業医の先生方とは顔を合わせて話をする機会が持てずにいましたが、院内の治療だけでなく新たに開始した訪問診療でもうまく連携を図っていきたいと考えています。
最後にこれからの目標をお聞かせください。
地域に認知が進んだ透析治療以外でどんなことができるのかを課題にして、チーム医療により患者さんの身近で役立てる医療のかたちを追求していきます。例えば介護施設などのヒアリングでは栄養面の改善を図りたいというニーズが多いことから、当院では在籍する2人の管理栄養士を中心に患者さんへの適切な栄養管理を実施していますが、この取り組みを今後は外部施設などからの受け入れに活用していく考えです。また、在宅療養の方への訪問診療も始めており、当院で入院されていた患者さんが退院時に希望する場合は、定期的に訪問して在宅での健康維持を支援していますが、これからはリハビリテーション部門をはじめ、その患者さんに必要な医療機関や地域のケアマネジャーとも連携を取りながら、ご自宅の状況を確かめた上で適切なアドバイスもしたいと考えています。これからもキャッチフレーズ「笑顔で、地域を支えたい」の実践に努めていきます。
田幡 克也 院長
1998年名古屋市立大学医学部を卒業後、名古屋市立大学病院の消化器内科に入局。高度治療の臨床に携わり、上部下部消化器の研究論文も著す。2011年より地元の埼玉に戻り、蓮田一心会病院に入職。2019年3月、院長に就任。現在は消化器と内科全般を外来でも診療。日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。休日には大好きなSF系映画を鑑賞し、リラックスして過ごす。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/2万2000円(税込)~