名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院
(愛知県 名古屋市名東区)
妹尾 恭司 病院長
最終更新日:2023/11/13
診療科を横断した7つの部門を設置
名古屋市営バス・障害者スポーツセンター停留所から徒歩2分の場所に位置する「名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院」。前身である名古屋市厚生院附属病院の運営が公立大学法人名古屋市立大学に移管されたことで、2023年4月に新体制で開院した。140の病床と18の診療科を備えた同院は、地域と連携し「健康寿命日本一の名古屋」をめざす医療の提供を理念に掲げている。新体制でのスタートと時を同じくして病院長に就任した妹尾恭司先生は、いなべ総合病院、春日井市民病院、名古屋市立大学医学部附属西部医療センターなど複数の病院で消化器内科を専門とし、がん治療などに従事してきた。現在、病院運営を行う上では、スタッフ一人ひとりとのコミュニケーションを重視しているという妹尾先生。医療スタッフの意見を受け止め、働きやすい職場となるよう解決策を見出すことに努めているという。「医師同士が顔を合わせて集まる場も大切にしています」と語る妹尾先生に、病院の特徴、力を入れているというリハビリテーションなど、話を聞いた。(取材日2023年9月26日)
2023年4月に新しい診療体制となり、開院されました。
もともとこの場所では前身である名古屋市厚生院附属病院が診療を行っており、特別養護老人ホームおよび救護施設の複合施設として長く地域に親しまれてきました。2023年4月に名古屋市立大学医学部附属みらい光生病院と名称が変わり、新しい体制で診療を開始、私自身も病院長として就任しました。建物は以前のままですが、名古屋市立大学芸術工学部の先生方にデザインを依頼し、内装の一部を改修、明るい雰囲気に仕上げていただきました。新体制となり、以前との一番の変更点は外来診療を開始したことです。18の診療科を備え、21人の常勤医師が在籍しています。平日の午前9時から12時と午後1時から4時まで診療を行っていて、初診の際に紹介状は必要ありません。入院設備は一般病床104床、回復期病床36床を備えており、中高年の方を中心に、さまざまな診療に対応しています。「健康寿命日本一の名古屋をめざす」という医療理念を掲げています。
みらい光生病院の特徴をお聞かせください。
関連する診療科が連携して横断的に診療を行う体制を導入しています。例えば、「脳神経医療センター」では脳神経内科、リハビリテーション科、放射線科が協力し、脳や脊髄などに関するさまざまな症状に対して原因疾患を特定し、治療を行います。患者さんが複数の科を回るのではなく、各科の医師が入れ替わって患者さんを診るワンストップ診療を行っていますので、患者さんの負担軽減につながっています。他にも、内科系や泌尿器科の疾患を診る「内臓機能回復センター」、フレイルなど運動疾患の予防や治療をめざす「運動機能回復センター」、糖尿病などの代謝疾患の治療を行う「やせと肥満の代謝機能回復センター」など7つの部門があり、必要に応じて「先進リハビリセンター」へおつなぎしています。先進リハビリセンターでは研究にも力を入れており、パーキンソン病の方を対象とした歩行訓練にも取り組んでいます。
中でも、みらい光生病院の強みは何でしょうか?
まず一つにリハビリを診療の柱としている点です。脳神経内科、整形外科、循環器内科や心臓血管外科の術後など幅広い疾患のリハビリに対応するため、専任の医師の他、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士合わせて41人のスタッフが在籍しています。自分の口で食事をすることは健康的な生活に欠かせない、との観点から嚥下機能のリハビリも行っています。入院中はもちろん、退院後にも必要に応じてリハビリを続けることが可能ですし、外来患者さんにも対応しています。レーザーケア部門では皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科の専門家が集まり、保険診療の他、レーザー機器を用いた自由診療、インプラント治療などを行っています。皮膚や感覚器・口腔内のケアをすることで、患者さんには心も元気になっていただきたい、という思いがあります。
医療機器や設備についても教えてください。
心不全を抱えた方に対しては、以前は安静にしていることが良しとされてきましたが、現在では適量の負荷をかけることが、より良い回復につながると考えられています。そのため当院では、循環器内科の先生を中心に、積極的に心臓リハビリに取り組んでいます。AIによる機能障害パターン分類を行い、個別化された訓練内容を提供するリハビリメニューをご用意しています。リハビリ室では、300平方メートル以上の広いスペースにさまざまな機器を多数設置しています。また、検査機器については、先進のMRIを導入していることも特徴的です。従来の機器に比べて品質が向上し、画像が鮮明です。検査を受ける際にも圧迫感が少なく、撮影時間が短い上に雑音が少ないため、被検者の負担も軽減されるでしょう。地域のクリニックからの検査依頼については、放射線診断の専門医師が読影をし、検査結果とともに詳細な画像診断報告書をお送りしています。
最後に、病院運営のモットーと今後の抱負をお聞かせください。
医師をはじめとした医療スタッフには「チームワーク良くいきましょう」と伝えています。今はメールなどで簡単にコミュニケーションが取れる時代です。とはいえ、文面では伝わらないこともたくさんありますよね。定期的に医局会を開いて医師同士、相手の顔を見て会話をする場を大切にしています。当院は常勤医21人の小規模な病院ですので、お互い顔が見える関係であることで連携を取りやすい環境にあると思います。そのメリットを生かし、「みらい光生病院へ行くと元気になれる」と地域の方に思っていただけるような病院づくりに尽力したいと思っています。また、入院患者さんに対しては安心して退院できるよう、地域の開業医さんや福祉関連施設と連携し、地域包括ケアの拠点としてサポートしていきます。地域の皆さんがいつまでも自分の手足を使って活動し、自分の口でおいしく食事を食べられるよう「健康寿命日本一の名古屋」の実現をめざしていきます。
妹尾 恭司 病院長
1985年名古屋市立大学医学部卒業。いなべ総合病院、春日井市民病院などでの勤務を経て、名古屋市立大学医学部附属西部医療センター入職。消化器内科部長、院長代行を務め、同大学大学院医学研究科教授を兼務。2023年4月より現職。日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。
自由診療費用の目安
自由診療とはレーザーフェイシャル/全顔 1万5000円(税込1万6500円)〜
インプラント治療/(単冠タイプ)1本 36万2000円(税込39万8200円)~