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医療法人社団輝生会 初台リハビリテーション病院

(東京都 渋谷区)

菅原 英和 院長

最終更新日:2025/05/07

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チーム医療で機能改善とADLの向上を図る

医療法人社団輝生会が2002年に開設した「初台リハビリテーション病院」では、急性期病院から患者を受け入れ、全身状態の安定を図るとともに集中的なリハビリテーションを実施。ADL(日常生活動作)とIADL(手段的日常生活動作)の向上を図り、患者が社会復帰とより良い人生が送れるようサポートしている。気管カニューレや経管栄養のチューブ、膀胱カテーテルを挿入している重症患者も積極的に受け入れている。主軸とする回復期リハビリではAI搭載のロボットなど先端機器を積極的に導入することで、より効率的な機能訓練につなげるほか、生活期のリハビリや復職支援にも力を注ぐ。また、スタッフに向けた教育体制の充実にも余念がない。そんな同院の取り組みについて、菅原英和院長に聞いた。(取材日2025年3月24日)

どのような患者さんが多いのでしょうか。

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数年前と比べて、気管カニューレ、経管栄養用チューブ、膀胱カテーテルなどが留置されたままの重症患者さんが増えてきています。これらの管はむやみに抜去してしまうと、呼吸が困難になったり、栄養状態が悪化したり、排尿ができなくなって尿路感染症を引き起こすなどのリスクがあるため、慎重な対応が求められます。そのため、十分な検査と評価を行い、標準化されたプロトコルに基づいて安全に抜去することが重要です。急性期病院で留置された管が、回復期に抜去されないままになると、その後も一生抜けない可能性があるため、当院では、できる限り管を抜去した状態で退院し、生活期のリハビリテーションへと円滑に移行できるよう努めています。これまでに蓄積してきた知見や経験をもとに作成したマニュアルを、作業療法士・看護師・医師が共有し、チーム医療の体制のもとで、安全性に配慮しながら処置を行っています。

こちらで行っているリハビリの特徴を教えてください。

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当院では、先端の技術や機器を活用したリハビリテーションを提供しています。たとえば、体重免荷機能付きの歩行器や、寝たきりの方でも立位訓練が可能な電動車いす、脳損傷によりバランスを崩している方のためのバランストレーニング機器などを備えています。また、脳卒中後に片手に麻痺が残った方には、電気刺激装置を用いた「ハンズ療法」や、AIを搭載した手指機能訓練ロボットを使用しています。ハンズ療法では、麻痺した手や指に対し、訓練時間外も1日8時間の電気刺激を与えることで、日常生活の中でなるべく麻痺側の手を使っていただき、機能回復を促します。上肢手指機能訓練ロボットの使用により、訓練時間以外にも患者さんご自身が自主的にトレーニングを行える環境を増やすことができています。このように当院では新たな技術を積極的に導入し、より効率的かつ円滑な機能回復をめざしています。

復職支援にも力を入れているとお聞きしました。

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脳卒中は高齢者の疾患のイメージがありますが、当院の入院患者さんの36%、外来の約70%が65歳未満の就労世代であることから、復職に向けたリハビリにも力を入れています。回復期で機能回復と活動性の向上を図り、退院後は外来のリハビリ、訪問リハビリや自立訓練で生活範囲の拡大をめざします。そして日常生活が安定して送れるようになったタイミングで職業訓練や就労支援を行い、復職へとつなげています。就労世代で脳卒中や脊髄損傷になった人が、リハビリによって機能の回復に励み、復職したり新しい仕事に就けたりすることは社会的にもかなり大きな意義があることです。また、たとえ復職が難しくても、趣味を楽しんだり家事など家庭内での役割を担ったりできる状態をめざすのは、患者さんの世代を問わず大切なことだと考えます。そのためにも、入院中から生活能力の向上を見据え、家事動作のリハビリを行うなど計画的に進めています。

医療連携にはどのように取り組まれていますか?

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当院が急性期病院から患者さんを受け入れる際の「前方連携」においては、当院の役割として、重症者を早急に受け入れることが求められています。しかし重症度が高い患者さんほど、再び急性期病院に戻るケースが多いため、こうした背景からも、急性期病院との連携はますます密に行っていく必要があると感じています。先進の技術を用いた手術によって、その後のリハビリがスムーズに進むこともありますが、紹介元であるすべての急性期病院が専門性の高い治療を行えるとは限りません。そうなると別の医療機関に一時的に転院し、その後当院へ入院するといった「側方連携」も重要になってきています。退院後の「後方連携」に関しては、障害者福祉の自立支援や自立訓練あるいは就労支援へとケースバイケースでつないでいくため、知識と経験が豊富なベテランのスタッフが、生活の基盤が整ったタイミングで、しかるべき施設と連携できる体制を取っています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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院長就任以来、業務のマニュアル化を勧め、より効率的かつ質の高い医療がめざせる病院づくりに取り組んできました。今後は当院の取り組みとその成果を外部に向けて発信していく必要があります。それによって、当院と同じ回復期のリハビリを提供している医療機関の底上げにつながれば、多くの人に良い結果をもたらすことができるでしょう。周囲の病院から寄せられる期待に応えられるよう、さらに実績を重ねていきたいですね。また、私たちは回復期リハビリ専門病院として、受け入れた重症患者さんが、再度急性期病院に戻るような事態を未然に防ぐ重要な役割を担っています。CTやMRI、嚥下内視鏡などの検査体制を充実させ、合併症予防に努めていきたいです。これからもリハビリスタッフ、看護師、ケアワーカーが協力しながらチームアプローチで、質の高いリハビリをしっかりと提供し、回復期だけでなく生活期の支援と地域連携に取り組んでまいります。

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菅原 英和 院長

1992年東京慈恵会医科大学を卒業。当初は消化器外科を志望していたが、同大学で臨床を学ぶうち、「プラスの医療」といわれるリハビリテーション科の医学的部分に興味を持ちリハビリテーション科に転身。東京都リハビリテーション病院を皮切りに大学病院や都立病院のリハビリテーション科勤務を経て、2010年同院に着任、2016年院長に就任。医学博士、日本リハビリテーション医学会認定リハビリテーション科専門医。

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