社会医療法人財団池友会 香椎丘リハビリテーション病院
(福岡県 福岡市東区)
松尾 義孝 院長
最終更新日:2026/04/09


患者の社会参加も視野に回復期医療に尽力
福岡市東区下原の三日月山の中腹にあり、1階のウッドデッキからは博多湾も望める「香椎丘リハビリテーション病院」。2003年に開設された同院は120床すべてが回復期リハビリテーション病棟で、急性期の医療機関で必要な治療を終えた患者に対し、機能回復や自宅・施設での生活を再構築することをめざしてリハビリ医療を提供する専門病院だ。松尾義孝院長は「当法人の『断らない医療』の理念のもと、リハビリを必要とする患者さんは可能な限り受け入れる方針です」と話す。「回復期リハビリテーション病棟の対象疾患となる脳血管疾患や整形外科疾患患者を受け入れ、医師と専門性の高いスタッフが協力して、早期からのリハビリ開始による良好な成果をめざしています」。さらに在宅復帰だけでなく退院後の社会参加も重視し、就労や自動車運転などを支援するリハビリプログラムも用意している。「地域の医療機関や介護事業所との連携も深め、地域の皆さんを対象に健康増進企画も行うなど、地域に根差した活動にも積極的です」と話す松尾院長に、同院の特徴やリハビリの強み、地域貢献などについて聞いた。(取材日2026年2月5日)
この病院の特徴や地域での役割を教えてください。

回復期リハビリテーション病棟のみで120床の病床を持つ当院は、同じ法人の福岡和白病院のほか、多くの急性期医療機関から患者さんをご紹介いただいています。リハビリスタッフが充実し、365日リハビリが提供可能な体制で、脳卒中など脳血管疾患治療後の方を多く受け入れています。これは私をはじめ脳神経外科や急性期治療で経験を積んだ常勤の医師と、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、専門性の高いスタッフによる強みでしょう。加えて、どの患者さんも早期からのリハビリでより良い回復の成果が期待できるため、当院もなるべく早く受け入れができるよう、ご紹介元の医療機関とも密接な連携を進めています。
リハビリにはどのような特色がありますか?

当院では在宅復帰とともに、退院後の社会参加も回復期リハビリの重要な役割と考え、脳疾患治療後の患者さんで職場復帰や新規就労をめざす方に「就労支援リハビリテーションプログラム」を提供しています。これは以前の就労状況を詳しくヒアリングし、必要なリハビリプログラムを提案し実践するもので、必要に応じて職場との情報共有も行います。さらに10年以上前から「自動車運転支援プログラム」にも取り組み、自動車運転に必要な身体機能や神経心理学的検査に加え、現実に即した訓練ができるよう昨年より院内に自動車運転シミュレーターを導入しました。近隣の自動車学校の協力による実車評価では、リハビリスタッフも同乗し運転の様子を確認。必要に応じドライブレコーダーの映像を患者さんと見て運転の振り返りも行い、運転能力の向上を図っています。就労に自動車運転が役立つことも多く、当院はこれらのプログラムで患者さんの社会参加を支援します。
そのほかリハビリで注力されていることをお聞かせください。

リハビリスタッフの教育に力を入れており、入職した若手スタッフは担当チーム制により、先輩から少人数で丁寧な指導が受けられる体制を整えました。医療の知識については週1回の簡単な勉強会のほか、月1回は各医師が持ち回りで自身の専門分野を紹介する勉強会を行い、急性期や回復期の患者さんの状態などを正しく理解する機会を設けています。また、言語聴覚士は言葉や発話の問題だけでなく、噛んだり飲み込んだりする嚥下機能のトレーニングも行い、管理栄養士をはじめ多職種連携のもと、なるべく患者さんが口から食べられるようサポートしています。さらに当院では、VE(嚥下内視鏡検査)で実際に食物をのみ込む様子も確認し、適したトレーニング方法や食事内容を検討しています。歯科口腔外科の歯科医師と定期的に患者さんの口腔環境の改善にも努め、誤嚥性肺炎の防止に役立っている実感がありますね。
患者さんを紹介いただく医療機関との連携はいかがでしょうか。

地域医療連携室では紹介いただく医療機関の先生方を含め多職種の方々を招いて連携懇親会を行い、当院の医師も参加する症例検討会や交流会で連携を図るほか、地域医療連携室やリハビリのスタッフと、私や看護部長が一緒に医療機関を訪ね、当院の診療実績などを説明しています。また、広報室を新たに設け地域への情報発信も強化するなど、当院の実力を「見える化」し、地域の医療機関の皆さまとの信頼関係の構築に努めています。ご紹介後もリハビリの経過などを連絡し、リハビリや看護の部署からも報告書を送って、どの程度回復して退院されたかを詳しくお伝えしています。もちろん退院後の患者さんを継続して診ていただく地域の先生方にも詳細な紹介状を作成しますし、退院に向けた院内検討会には退院後に担当いただくケアマネジャーや介護施設のスタッフも参加し、現在の回復状況にどのようなケアが適切かなどを共有してスムーズな引き継ぎをめざします。
今後の展望と、地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

患者さんが直接受診する病院ではないため、「回復期リハビリとは何だろう」と思われる方は多いかもしれません。当院は、必要に応じ、退院後の在宅療養でも外来リハビリや訪問リハビリを提供し、自動車運転や就労への支援も外来リハビリで継続できる体制を整えています。また、近年は独居や高齢者のみの世帯も増えているため、今後は多業種と協力し社会的孤立を防げる居場所づくりにコミットしたいと考えています。ほかにも、地域の医療機関・介護事業所などが協力するネットワークに参加したり、九州産業大学美術館との連携で入院患者さんの美術館訪問や、地域の皆さんを対象に健康増進企画を開催したりするなど活動を広げています。地域に根差した病院として、患者さんの在宅復帰だけでなく退院後の社会参加の支援なども重視したさまざまなリハビリ医療を提供しておりますので、ご紹介の際は安心してご利用ください。

松尾 義孝 院長
1994年長崎大学医学部卒業。同大学病院脳神経外科に勤務後、浜松医療センター、長崎労災病院、西諫早病院、北九州市立八幡病院などの脳神経外科で診療に従事する。福岡脳神経外科病院脳神経外科部長を経て、2018年4月に香椎丘リハビリテーション病院に入職し、同年11月に院長に就任。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。





