JR東海 名古屋セントラル病院
(愛知県 名古屋市中村区)
中尾 昭公 病院長
最終更新日:2024/02/06
安全、良質、快適な医療を提供し続けたい
名古屋駅から徒歩約10分の場所にある「名古屋セントラル病院」。同院の歴史のスタートとなった名古屋鉄道治療所が開設されてから今年で100年目にあたる歴史ある病院だ。もとは、国鉄職員とその家族のための職域病院であったが、現在では、一般の患者も受診できる地域の中核病院として、救急医療や専門的ながん治療に力を入れている。そのため、2006年に移転した当時から導入する医療機器にはこだわり、先進的な医療にも前向きな姿勢だ。それら医療機器を活用した人間ドックや地域医療機関からの紹介による検査などで、地域住民の予防医療にも貢献している。膵臓がんの診療を専門とし、数多くの症例を踏まえて、セカンドオピニオンでは患者に正しい知識を伝えることにも注力している中尾院長に、病院の特徴やめざす方向性、専門の領域について聞いた。(取材日2019年1月31日/記事更新日2024年1月12日)
今年で100年になる歴史ある病院だと伺いました。
当院の歴史は古く、1919年に名古屋鉄道治療所として名古屋市西区に開設されたのが始まりです。1952年からは中村区に移転し、その30年後には国鉄職員だけでなく一般の診療も開始して、地域の方々の病院として広く親しまれてきました。2006年には名称を「名古屋セントラル病院」と変え、現在地へ新築、移転。使用する医療機器を一新し、全室個室というホスピタリティー面の充実も実現しました。私は、2011年に当院の院長に就任しましたが、外科の医師であり、当院が第二次救急医療機関ということもあり、就任以降は急性期の病院として外科手術の充実に努めてきました。また、整形外科を新設し、関節、脊椎、手の外科、外傷とそれぞれの専門分野の医師を招いて、より専門的な手術ができるようになりました。
病院の特色や強みについてお聞かせください。
地域の中核病院として先進的医療と地域密着医療を両立させています。中でも時間に猶予のないがん患者さんには、できるだけ速やかに安心、安全な手術が必要となります。そのためにも医療機器など設備を充実させて高度な医療を行っていく義務があると考えます。一例を挙げると脳神経外科では、術中にMRI検査などが可能な脳神経外科手術システムを導入しました。また泌尿器科や消化器外科では、手術支援ロボットによる手術を行っており、手振れのない適切な操作によって、より精緻な手術が可能となりました。開腹手術と比べると傷が小さく出血や合併症のリスクが減り、体への負担も軽くなります。血液内科では、特にライソゾーム病という難病専門の診療部門を設け、循環器内科や脳神経内科、耳鼻咽喉科などの他科と連携しながら酵素補充療法に取り組んでいます。さらに放射線治療にも注力しており、機能的温存、回復をめざした治療を総合的に提供しています。
先生のご専門である消化器外科についても詳しく教えてください。
名古屋大学病院での31年間は、臨床医として主に消化器のがん治療に専念してきました。途中、肝臓移植の勉強のためにアメリカのピッツバーグ大学に留学し、帰国後、肝臓移植手術を導入しましたが、1981年に膵臓がん手術の術式を確立したこともあって、膵臓がんは長年のライフワークとなっています。その術式が現在では標準となりつつあり、世界中の医師が手術の見学に訪れてきますし、日本各地の患者さんが手術を受けに来られています。後進の医師の育成とともに、正確な情報を患者さんに伝えることも医師としての義務。たとえ末期であっても、患者さんは、自分がどうして手術ができないのか、どんな状態なのかを知りたいと思います。膵臓がんのセカンドオピニオンの診療では、医療に詳しくない患者さんでもわかるように丁寧に説明することを重視しています。
人間ドックのメニューも充実していますね。
先ほどお話しした先進の医療機器を活用し、脳や肺、PET-CTなど、部位ごとに特化した検診コースや宿泊コースなどのメニューを用意しています。動脈硬化やマンモグラフィ、睡眠時無呼吸症候群などのオプション検査も行っていますので、自分に合った内容、スケジュールで組み合わせることもできます。お子さんから銀婚式のお祝いとして宿泊コースをプレゼントされ、ご夫婦でゆったりと検査を受けられる方もいらっしゃいますよ。当院は、全室が個室で落ち着いて過ごせるようにしており、食事にも力を入れています。また、宿泊コースの人間ドックでは、受診される方に苦痛を与えないことを重視し、内視鏡を使った検査も行っており、胃カメラも大腸カメラも麻酔を活用して寝ている間に行うことも可能です。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。
当院には手術室が7室あり、患者さんを待機させることなく手術が受けられるよう努めています。どのような症状の患者さんでも手術ができるように、各科の体制をより充実させていきます。また、24時間体制で取り組んでいる救急医療では、地域の方を一人でも多く受け入れられるようにしていきたいですね。2018年9月からは、鉄道線路で遮られていた病院前の道路も新しく開通し、中川区方面からのアクセスも良くなりましたので、救急搬送の利便性もアップしました。JR東海が母体ということもありますが、私は日頃からスタッフに新幹線を見習ってほしいと伝えています。日本の新幹線は時間に正確で、安心して乗っていられますよね。患者さんが安心、信頼して医療が受けられるように日々、心がけることが大事だと思っています。患者さんに喜んでいただける医療を追求していきたいですね。
中尾 昭公 病院長
1973年名古屋大学医学部卒業。同大学医学部第二外科にて肝臓、胆道、膵臓外科を専門に扱う肝臓研究室に勤務する。1981年に膵臓がん手術においての門脈カテーテルバイパス法を考案し、治療分野に大きく貢献。膵臓がんを中心とした消化器疾患の診断、外科治療に従事する傍ら同大学医学部教授を務める。2011年病院長に就任。消化器外科と膵がんセカンドオピニオン診療を担当。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/日帰りコース:4万700円~、宿泊コース:14万3000円〜、オプション検査/動脈硬化:1540円、マンモグラフィ:7370円、睡眠時無呼吸症候群:1万1000円、膵がんセカンドオピニオン/3万3000円