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医療法人財団康生会 武田病院

(京都府 京都市下京区)

武田 純 病院長

最終更新日:2025/05/22

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京都の玄関で地域医療と外国人医療を展開

国内外から訪れる観光客で、一段と活気を増している京都。「武田病院」は京都駅から徒歩5分の場所にある総合病院で、50年以上にわたり「京都の玄関」で医療を提供し続けてきた。開設当初から注力する急性期医療では、救急搬送の受け入れや心血管領域での専門的な診療、さらに外国人・ツーリスト医療でも独自の強みを発揮。同時に、高齢化が著しい下京区や南区の「地域医療支援病院」として、整形外科疾患や高齢者医療でも重要な役割を担っている。多彩な特色を持つ同院のかじを取るのが、2018年から病院長を務める武田純先生だ。同院が属する武田病院グループのスローガン“Bridge The Gaps”を最大限に具現化すべく、病院運営ではスピーディーな決断や業務の効率化を推進。その結果、同院では職種を超えたチーム医療や業務のタスクシフトが実現し、さらに地域医療機関や行政とはニーズを先読みした連携が進行する。多くの病院が直面する今日的な課題に早くから取り組んできた武田病院長に、診療や運営面の実際をじっくりと聞いた。(取材日2025年4月16日)

最初に、現在の診療内容や診療理念を教えてください。

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当院は1979年から現在の場所にあり、京都では「駅前の武田病院」として親しまれてきました。開設当初から救急医療には力を入れ、現在はICU(集中治療室)8床、SCU(脳卒中集中治療室)6床などの規模で京都市の一次・二次救急医療に対応。診療科によっては三次救急レベルの専門的な急性期医療も実施しています。また場所柄、海外の方を含め観光客に対する医療も当院の特色になっています。さらに当院のある下京区、南区ではご高齢の方が多く、地域の患者さんを確実に診ることも重要な使命です。このように、当院ではやや性格の異なるさまざまな診療を提供していますが、共通するのは武田病院グループのスローガンでもある“Bridge The Gaps”という姿勢。診療科、職種、病院と診療所、医療と行政、さらに言語といったあらゆるギャップに橋を架け、関係者がチームとなり、患者さんに必要な医療をスムーズに提供したいと考えています。

心血管病変では、難易度の高い治療が可能だそうですね。

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心疾患に対して、当院では早くから先駆的な治療を行っていました。現在は循環器内科、不整脈治療部門、心臓血管外科が連携して「心血管治療チーム」を結成。大学病院や三次救急医療機関と相互に連携して診療にあたることも多く、救急医療のほか、古くなったペースメーカーのリードを抜く処置や経皮的カテーテルでの左心耳閉鎖術、動脈瘤ステントグラフトの内挿など、内科と外科の協働が必要で実施施設が少ない治療にも注力しています。診療科による垣根が低く小回りが利くという、当院の風土や強みが発揮された領域だといえるでしょう。また脳卒中では内視鏡による血栓回収が常時可能ですし、ほかの科にも豊富な経験があり専門的な診療のできる医師や、各分野で専門知識を磨いた看護師が多数在籍。薬剤師や理学療法士、管理栄養士、社会福祉士なども加わって科を超えたチーム医療を日常的に展開し、質の高い治療やケアで早期回復をサポートしています。

観光客や外国人に対する診療もこちらの特色です。

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京都駅前は宿泊施設が非常に多い地域で、宿泊者の約3分の1が外国人です。骨折などの突発的なけがに加え、ご高齢の観光客は持病がある方も多く、医療ニーズはとても高いです。ですので救急搬送を受け入れるだけでなく、英語サイトを設けるほか宿泊施設に案内を置くなどしてアクセスしやすいように努めています。また海外の方の診療では言語が大きな問題になるため、院内には英語、中国語、韓国語の医療通訳を配置。患者サポートセンターの中に設けた外国人の医療支援部門では、支払いや診療情報の提供、帰国の手配など、診察以外のコンシェルジュ的な業務を担い、旅行会社やカード会社、時には領事館などとの迅速な折衝も行います。当院の患者サポートセンターは病院長直属で、看護や総務など各部門長が私とともに課題を毎週検討し、その日から解決に向けて動ける仕組みを整備。スピード感のある“Bridge The Gaps”を日々実践しています。

地域医療とは、どのように連携されていますか?

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以前私が大学病院の副院長であった時に、地域の医師会との協力で連携を加速した経験があります。そこで当院は下京西部医師会に所属し、私も副会長を務めています。医師会と病院が寄り添えれば、日常的な会議や勉強会などを通じて診療所の先生方とも顔の見える関係ができますので、必要な患者さんを安心してお送りいただけますし、こちらも最優先で受け入れます。当院で急性期治療を終えたら、患者サポートセンターが地域の先生方と協力して在宅復帰へ。それが難しい病状であれば、当院と同じ武田病院グループに属する十条武田リハビリテーション病院などに移っていただき、回復に向けた治療やケアを継続します。また近年では隣接する地域の医師会や行政区と連携し、災害時医療、特に発災後72時間の診療体制について具体的な行動計画を検討しています。観光客が医療機関に殺到するなど地域特有の問題も予想され、先んじた対策が必要だと考えています。

今後の展望や、地域の方へのメッセージをお願いします。

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専門性を伴う急性期医療やツーリスト医療、地域医療を滞りなく展開するためには、ミッションの共有や各職種のレベルアップ、業務の効率化や収益性の向上も不可欠です。当院では看護や事務の補助スタッフを大幅に増員して周辺業務のタスクシフトを進め、医療や看護の質を向上。働き方改革で職員のモチベーション向上にも努めています。小回りが利く規模だからこそ、新しいことを考えチャレンジすべきでしょう。当院は外国人患者受入れ医療機関の認証を受けていますが、さらに充実を図り旅の安心をサポートしたいですね。また地域では救急医療を担っていますが、慢性疾患が急性期の病状にならないための予防医療や啓発活動も急性期病院の役割と考え、糖尿病や心不全などの教育入院なども行っています。地域の先生方とはスムーズな連携がありますので、普段はかかりつけ医院を頼っていただき、セーフティーネットとして当院をご利用いただければと思います。

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武田 純 病院長

1980年京都大学医学部を卒業後、同大学内科および関連病院で研鑽を積む。1989年よりシカゴ大学へ留学、1994年には同大学医学部内分泌部門助教授。帰国後は群馬大学生体調節研究所に勤務、2003年岐阜大学医学部第三内科(内分泌代謝病態学)教授、2006年からは同大学医学部附属病院副病院長を併任。2018年より現職。会議は30分以内に終えるなど、迅速な組織運営に注力。専門は糖尿病。岐阜大学名誉教授。

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