独立行政法人地域医療機能推進機構 埼玉メディカルセンター
(埼玉県 さいたま市浦和区)
児玉 隆夫 病院長
最終更新日:2024/11/01
「ここですべてを解決できる」そんな存在に
健康診断や人間ドックなどを行う健康管理センターを有し、系列の介護老人保健施設、訪問看護ステーションと連携しながら地域完結型医療の提供をめざす「埼玉メディカルセンター」。同院は1955年に診療を開始した社会保険埼玉中央病院を前身とし、長年にわたって地域の健康を見守ってきた。北浦和駅から徒歩約3分という立地の良さに加え、2024年4月に就任した児玉隆夫病院長の「楽しく安全に仕事をする」というモットーが息づく職員の雰囲気の良さを持ち味に、地域に愛される病院をめざす。地域での病院の役割や、先駆的な痛みゼロへの取り組みが特徴的な人工関節センターの話など、埼玉メディカルセンターの今について児玉病院長に聞いた。(取材日2024年9月11日)
まずはこちらの病院の概要について伺います。
当院は独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の病院です。急性期医療を中心として二次救急医療を担うほか、健康管理センターでの健康診断や人間ドックを通して予防医療に注力しています。また、併設の訪問看護ステーションや同じ北浦和内にある付属の介護老人保健施設と連携しながら、未病の段階からご自宅での介護まで、地域で医療を完結できるよう体制を整えています。人間ドックや健康診断で病気が見つかったときには病院で診療し、回復期病棟でリハビリテーションなどの在宅復帰への支援を行いますし、それでもまだ自宅復帰が難しい高齢者の方は介護老人保健施設にさらに2~3ヵ月程度入所して自宅復帰をサポートするという流れです。また訪問看護ステーションでは在宅診療も行っており、健康管理から在宅まで、まさにモットーである地域医療の要となる存在をめざしています。
人工関節の手術と痛みの管理を得意とされているとか。
2008年に人工関節センターを立ち上げ、当時先駆的であった最小侵襲手術(MIS)に取り組みました。これは皮膚や関節の周辺組織にできる限りメスを入れずに行う方法で、比較的痛みも少なくスムーズな機能回復が期待できる方法です。また、当院では痛みを緩和する疼痛管理にも力を入れています。人工関節の手術は麻酔が解けた後の痛みが患者さんの負担になっていました。それを何とかしようと、多種多様な薬や方法を試し独自のプロトコルを作成。術後の痛みを患者さんに0~10のレベルで毎日数回評価してもらうなどの取り組みを行い、術後の痛みの軽減に努めています。現在、MISは一般的な術式ですが、疼痛管理と合わせて当院はラーニングセンター的な役割も果たし、多くの医師が学びに来ています。
ほかに特徴的な治療はありますでしょうか?
整形外科では手外科センターや脊椎・脊髄病センターがあります。特に脊椎・脊髄分野はこれまで近隣自治体の病院に行かざるを得なかった患者さんを地元で診療しようと頑張っています。泌尿器科の結石センターでは、体内にファイバースコープを入れレーザーで結石を砕く治療を行っています。これは従来の体外から衝撃波で砕く方式よりも精度の高い治療が期待できます。ほかに一時閉鎖していた乳腺外科のブレストセンターを再開。乳がん切除後の乳房再建は、当院では形成外科の医師ががん切除と同日に同じ麻酔で施術。その再建術は私から見ても素晴らしいの一言で、左右のバランスや年齢も考慮した自然な仕上がりになるよう努めています。また当院の腎臓内科も特徴的で、透析に必要不可欠なシャントは一般的には血管外科の担当ですが、当院では腎臓内科で担当。トラブルの際には素早い対応が可能です。さらに今年度から循環器内科の医師を6人に増強しました。
病院長として職員に日頃から伝えていることはありますか?
私自身のモットーは「楽しく安全に仕事をする」です。安全にという大原則のもとで、とにかく楽しんで仕事をしよう、というもので、これは私が整形外科の部長に就任した時から言っていることでもあります。私たち職員が楽しく働いていれば、患者さんの治療へのモチベーションも自然と上がると思っています。実際、当院は職場の雰囲気がとても良い病院なんです。看護師の離職率が低く、近隣の看護学校や高校の看護科、大学の看護学部を卒業して入職し、長く働いてくれています。中には実習から継続して入職してくれるスタッフもいます。理由の一つには職員間の人間関係がとても良いということ。さらに育成プログラムがしっかりしていて、自分の望むキャリアを重ねていきやすいというのもあると思います。今後は各診療分野の看護について、より高い専門性を身につけられるよう積極的に応援していこうと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。
当院は病気を見つけて治療へとつなげるところから、急性期医療、地域包括ケア病棟、リハビリ、在宅での看護介護の支援まで地域医療のすべてに関わり、「何かあったらここでなんでも解決できる」という存在でありたいと思っています。さいたま市の現在の人口は約130万人。予想では今後10年20年たっても大きい変動はないそうです。現在のさいたま市は東京のベッドタウンとして働き盛りや子どもが比較的多い人口比率ですが今後は高齢者が増加し、現状では高齢者の医療を支える機関が足りなくなります。そんな時代に当院のように付属の介護老人保健施設や訪問介護ステーションまで持つ存在は、必要とされる存在になると思います。今後は地域の医療機関との連携をより発展させ、施設や在宅医療を担う先生方とも連携を深めていこうと考えています。また地域の方々との関係も深めるため月に一回程度市民公開講座を開催しています。ぜひお気軽にご参加ください。
児玉 隆夫 病院長
1985年慶應義塾大学医学部卒業後、同大整形外科学教室入局。埼玉病院や大田原赤十字病院、さいたま市立病院などでの勤務を経て、2005年前身である埼玉社会保険病院整形外科部長となり、2014年副院長就任、2024年4月より病院長を務める。推奨する健康法は歩くこと。無理せず、ちょっと息が弾むくらいのスピードで歩くのが良いそう。自身もできるだけ歩くことと階段を使うことを意識している。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/4万5100円~