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社会医療法人同仁会 耳原総合病院

(大阪府 堺市堺区)

河原林 正敏 病院長

最終更新日:2026/02/10

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地域が求める医療サポートの提供に尽力する

堺市堺区の「耳原総合病院」は、1953年に開設された54床の耳原病院を始まりとする。地域住民が協力して設立した病院で、現在まで70年以上にわたって、地域に根差した医療、地域のニーズに対応した医療の提供に努めている。総合病院として、患者がワンストップで医療を受けられるよう、幅広い疾患・診療に対応できる体制を整えるとともに、地域の医療リソースの不足を補うべく、周産期医療やがん診療にも積極的に対応。地域住民などにより構成された共同組織とともに運営する病院として、地域の特性や現状を踏まえた、住民サポートのためのさまざまな取り組みを実践している病院でもある。院内には随所にホスピタルアートと呼ばれるデザインやアート作品を導入。病院長の河原林正敏先生によると、患者にとって癒やしのある空間を提供するとともに、スタッフ全員が、病院の在り方、提供する医療の在り方を見つめ直すことにも役立っているそうだ。この先も、地域に無差別・平等な医療・介護を提供すべく、「みみはら2030年の樹」と呼ばれるビジョンを掲げる同院の診療ポリシーや特色、今後の展望などについて河原林病院長に聞いた。(取材日2025年12月23日)

病院の成り立ちや地域における役割について教えてください。

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当院の始まりは、地域の方々がお金を持ち寄って1953年に開設した診療所です。病気になった時に受診できない、病院にかかった時には手遅れという時代背景の中で、地域の方々の「自分たちがかかれる病院が欲しい」という思いからつくられました。その後、診療所から病院となり、2回の建て替えを経て、現在まで一貫して地域の方のための医療を提供しています。民間の病院ですが、現在も個人や企業の持ち物ではなく、「健康友の会みみはら」という共同組織の基金をもとに運営しており、現在のおよそ9万人の会員の皆さんが病院のサポーター的な役割を果たしておられるのが大きな特徴です。こうした設立・運営のバックボーンがあるため、地域のための病院、地域から必要とされる医療を提供していく病院であり続けることが、当院の大切な役割であり、一人ひとりのスタッフの大きなモチベーションになっています。

特にどのような診療に注力されていますか?

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「総合病院」という名前がついているように、当院は幅広い医療に対応する病院です。当院を利用される方々が、いろいろな医療機関を行き来しなくて済むように、できるだけ当院で完結できるように、病院に求められる機能を充実させてきた歴史があります。このため、突出した診療の提供をめざしているわけではありませんが、急性期病院として数多くの救急車を受け入れており、救急医療は注力している分野の一つです。とりわけ循環器内科や消化器内科は市内でも特に多い受け入れ数です。一方、堺市内でも分娩に対応する医療機関が少しずつ減少しており、周産期医療にも力を入れています。特に出産を迎えるために健康的あるいは社会的な困難を抱えた妊婦さんを、積極的に受け入れているのが特徴です。透析治療の患者さんの数も多く、他に疾患があって入院での治療が必要な方も含めて幅広く受け入れています。

院内の随所に絵画などが飾られていますね。

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病院としてホスピタルアートに取り組んでいるからです。現在の病院に建て替える際に、一人の看護師の発案から始まった取り組みで、単に既存の作品を飾るということではなく、院内で働くスタッフや患者さんの声を聞き、相談しながら作品をつくっていきます。例えば、病院は白い壁が多く、無機質な感じを受けることはありませんか? そうした場合に、どのような絵やデザインがあれば、落ち着いた気持ちになれるのか、患者さんの癒やしになるのか、自分たちがめざす医療にふさわしい空間になるのかを相談し合い、美術大学の学生さんに絵を描いてもらったりします。ホスピタルアート担当のスタッフが患者さんに作り方をレクチャーしながら、一緒にアート作品を作る取り組みも継続中です。そうすることで、院内を患者さんにとって少しでも心地良い空間にでき、私たちにとっても、どのような医療を提供すべきなのかなど、各自が立ち位置を見直すきっかけになります。

地域貢献に関する取り組みについて教えてください。

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個室に入院された患者さんから、差額のベッド料金を頂戴しない取り組みはずっと続けています。ご本人の希望ではなく、病状から個室が必要と判断した患者さんに個室を利用いただきます。その上で、個室での治療が必要な状況を脱すれば、一般の病室に移っていただき、個室を必要とする別の患者さんに入っていただくという取り組みです。また、病院の成り立ちから、無料低額診療制度も取り入れています。経済的に厳しい状況にある方に、自己負担分の医療費の支払いを減額・免除する制度です。要件を満たす必要はありますが、経済的な困窮のために、病気があるのに病院にかかれない、かかりにくいという方を少しでも減らすため、こうした制度があることを積極的に広報しています。2025年6月には、病院から徒歩5分くらいの場所にコミュニティースペースがオープンしたので、地域のイベントや健康に関する講習会などに活用しています。

今後の展望や地域の方々へのメッセージをお願いします。

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地域医療支援病院として、地域の医療機関と連携しながら、堺地域の患者さんのご要望にできるだけ応えていきたいと考えており、今はがん診療の強化が大きなテーマです。堺でがん治療を受けたいという声に対応していくために、ロボット手術を導入しており、2027年度内の放射線治療の開始をめざしています。実現すれば、この地域の方々にトータルながん治療を提供できます。さらに、循環器のカテーテル室、消化器の内視鏡ブースを拡充するとともに、放射線治療の導入のために新設する建物には、健診専用施設を開設予定です。一方、入院が決まった時点で、介護関係も含めて退院に向けた必要な手続きや調整を多職種のチームが行うという取り組みもスタートしています。この地で70年以上にわたって地域に医療を提供してきた病院として、今後もクリニックの先生方や病院と密に連携を取りながら、地域に求められる医療、必要とされる医療の提供をめざします。

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河原林 正敏 病院長

1994年香川医科大学(現・香川大学)卒業後、耳原総合病院に着任。北海道の関連病院で整形外科について学び、1999年に同院の整形外科を立ち上げる。患者の治療でも、病院の経営でも、一人で決めてしまわず、周りのさまざまな人の意見に耳を傾けながら進めることをモットーにしている。趣味は学生時代から続けている音楽。ジャズ・フュージョン系の音楽が好きで定期的に仲間とスタジオに向かい、ライブにも熱心に足を運ぶ。

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