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医療法人 原三信病院

(福岡県 福岡市博多区)

原 直彦 院長

最終更新日:2023/01/05

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泌尿器科やがん診療を中心に地域医療に貢献

1881年に外科の診療所として開設され、以来140年以上にわたり地域医療を支えてきた「原三信病院」。現在では泌尿器科診療を中心とした基幹病院として、救急医療や急性期医療、あるいは慢性疾患の診療など幅広い領域をカバーする。泌尿器科関連では軽症の疾患から前立腺がんや膀胱がんの治療、人工透析とあらゆるニーズに対応。またがん診療連携拠点病院としてロボット支援手術をはじめ、放射線治療、抗がん剤治療にも取り組んでいる。2019年に17代目院長に就任した原直彦先生は「140年以上この場所で地域医療を担ってきた病院として、高度医療だけではなく、風邪をひいた、おなかが痛いなど、地域の皆さんの困り事に対応できる身近な場所であり続けたい」と話している。一方で健康管理センターを設置し、病気の早期発見早期治療にも努める同院。今回は「病人のための病院」という理念に込めた思いをはじめ、歴史や診療の特徴、今後の展望などについて原院長に詳しく話を聞いた。(取材日2022年12月12日)

こちらの病院は非常に長い歴史をお持ちだと伺いました。

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その起源は1600年にまで遡ることができます。病院名でもある原三信(はらさんしん)は代々襲名してきた名前で、初代は福岡藩の藩医でした。6代目は当時にしては珍しくオランダ人医師に師事して蘭方外科医の証書を頂き、今でもその資料は残っているんですよ。そして明治維新による廃藩置県で藩医の歴史に終止符を打つことになりましたが、12代原三信が福岡県の医師として勤めた後、1881年にこの地に外科の診療所を開設したのが当院の始まりです。以降、長らく医師1人の病院として診療を続けてきましたが、1955年に14代原三信が医療法人三信会原病院を設立。1960年代には総合病院として地域の中核的役割を果たすようになり、徐々に増床しながら現在のかたちになっていきました。原三信という名前は15代で襲名を終えてしまいましたが、医の心とともに病院名として私たちに受け継がれています。

理念や地域における役割についてお聞かせください。

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当院では「病人のための病院」という理念を掲げています。15代原三信の言葉に「病院は病人のためであって私たちのものではない」とあるように、病院は患者さんが中心でなければなりません。言葉の賛否はありますが、そうした気持ちで医療に関わってきたのだという意識は私たちの根底にあるもの。ですから患者さんの立場になって考えることができる病院であるべきだと思っています。病院としては歴史的に泌尿器科を中心に診療を行ってきたので、その領域においては福岡都市圏だけではなく広い医療圏においても果たす役割は大きいのではないでしょうか。現在は診療科が複数あり、救急医療にも携わっているため、地域の患者さんの具合が悪い時に安心して、信頼して受診いただけるような病院でなければなりません。もともとは町の診療所ですから、その役割は皆さんに求められているでしょうし、今後も果たしていきたいですね。

泌尿器科領域が大きな特徴なんですね。

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歴代院長に泌尿器科医が多い当院の歴史や17人の泌尿器科医を抱える診療体制を踏まえれば、大きな特徴といえます。特に15代目の院長は研究熱心で、早い時期から内視鏡手術や腎臓結石・尿管結石の破砕術に着手。その様な歴史の中で前立腺がんのロボット支援手術も比較的早期に導入しました。軽症な疾患から悪性腫瘍の治療に幅広く対応しており、多くの患者さんが受診されるため、結果として待ち時間が長くなってしまうなど負担を強いています。今後は周辺の医療機関と連携を強化し、役割分担を図らなければなりません。そのため開業医の先生方と情報交換を行う地域医療交歓会を開催し、今では博多区や東区を中心に100箇所以上のクリニックに参加いただいています。顔が見え、人柄がわかる状態で相互に紹介することができれば、患者さんも安心して受診することができます。一方、九州大学病院とは関連病院として診療や医師の派遣で密接につながっています。

がん診療連携拠点病院に指定されるなど外科も特徴的です。

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急性期病院として医療に携わる以上、死因の上位を占めるがん診療は必要不可欠だと考えています。外科的なアプローチや抗がん剤治療に加え、2016年には施設を拡充し放射線治療にも対応。さらに体を温めながら抗がん剤治療を行うハイパーサーミア(温熱療法)も導入しています。がん患者さんやご家族の支援としては、ベテラン看護師による相談窓口を設けているほか、常勤の精神科医による心のサポートを実施。がん診療連携拠点病院として患者さんのニーズに応えるのはもちろん、これからも治療のためにできることはできる限りやっていきたいという思いがあります。新たな試みとしては外科と消化器内科の病棟を統合し、定期的な合同カンファレンスを行うなどして外科内科の垣根を超えた医療を推進しています。また腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)という低侵襲な手術法も2014年に導入し、胃粘膜下腫瘍や非乳頭部十二指腸腫瘍の手術に対応しています。

最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

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診療所から病院になり、施設や人材を拡張しながら、来院された方は当院のみで健康に導いていくという組織完結型の医療をめざしてきました。しかし社会や医療政策が変化していく中、今後は患者さんのためにも地域で完結していく医療が求められ、さらなる役割分担、あるいは専門への特化が求められています。ですから当院の基本方針である質の高い医療の追求、居心地の良い環境の提供、真心のこもったサービスは維持しつつ、泌尿器科診療やがん診療という当院の特徴となる部分においては皆さんに信頼、安心できると言っていただけるようにしていきたいです。もちろんそれ以外の病気に関しても高い壁を感じることなく来院いただき、しっかりと対応できる町の医療機関としての役割は果たしていく所存です。140年以上続いてきた歴史を忘れることなく、可能な限りどんな病気でも診療し、患者さん自身が望まれる医療を提供できる病院をめざしていきたいと思います。

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原 直彦 院長

福岡県生まれ。1984年福岡大学医学部を卒業後、九州大学呼吸器科に入局。1988年より原三信病院に勤務し、1998年に同院内科主任部長、1999年に同院副院長に就任。2019年から現職。

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