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愛知県医療療育総合センター中央病院

(愛知県 春日井市)

水野 誠司 病院長

最終更新日:2022/07/20

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子どもの障害を総合的に支援する県拠点病院

1970年の開院以来、障害のある人たちの成長や発達の支援をサポートし、医療を提供してきた「愛知県心身障害者コロニー 中央病院」。緑豊かで広大な敷地を有する同施設が再編・新築され、2019年に「愛知県医療療育総合センター 中央病院」として生まれ変わった。新しく、開放感のある病院内には、さまざまな障害のある小児の専門診療科があり、プールや遊具などのリハビリテーション設備も充実。内科系病棟、外科系病棟、児童精神系病棟、重症心身障害児者病棟が整備されている。今年4月に病院長に就任したのは、遺伝子診療などで障害児医療に献身してきた水野誠司先生。穏やかなたたずまいが印象的な水野病院長に、50年余りにわたって、さまざまな障害のある小児患者の医療をけん引してきた同病院の診療と設備の特色、今後の展望について話を聞いた。(取材日2022年6月7日)

病院の歩みと名称変更の経緯についてお聞かせください。

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1960年代~1970年代にかけて、障害のある人と職員が1ヵ所にまとまって生活し、専門的な療育・医療・教育を行う福祉施設「コロニー」が国内各所に造られました。広大な丘陵地に複数施設が点在する「愛知県心身障害者コロニー」もその一つで、当病院は付属の「中央病院」として1970年に開院しました。以降、心身の発達に重大な障害を及ぼす疾病に対する診断と予防及び治療に努めてきましたが、国の法改正により施設福祉から地域福祉への転換が図られ、コロニーの再編計画が策定されました。そして、生活基盤を地域に移行し、医療を柱に障害のある人たちを支援していく拠点として新しく生まれ変わり、2019年3月に現・名称に変更しました。施設や機能は以前よりもコンパクトに集約されましたが、長年の医療・療育の実績があり、私ども職員は現在でも東海地方の「センター・オブ・センター」であると自負しています。

障害のある小児患者に向けて、どのような診療を行っていますか?

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内科系では、小児神経科、遺伝診療を行う小児内科、小児の発達や心の問題に対応する「子どものこころ科」という3つの領域があります。当病院では患者さんの多くに知的障害があり、それを脳の神経や脳波などから診ていくのか、遺伝子からアプローチしていくのか、発達障害から考えていくのか、さまざまな切り口から診療していく体制が整っています。私の専門は臨床遺伝学なのですが、知的障害の過半数に遺伝学的要因が関わっていることから、多くの情報を集めることで、同じ遺伝子を持つお子さんの療育支援に生かすなど、ご本人やご家族にフィードバックすることができると考えています。ほかにも腹腔鏡手術を行う小児外科、整形外科、歯科、リハビリテーション科などがあります。いずれの領域も高い専門性を持ち、障害者への理解と診療経験がありますので、一般病院での診療や検査が難しい、障害のある成年患者さんにも対応させていただいています。

こちらの病院の施設の特色について教えてください。

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1ヵ所で「医療・療育・リハビリテーション」の機能を併せ持っていることでしょうか。お子さんの発達や行動に違和感を持ったとき、通常は複数の医療機関などに通わなければいけませんが、ここでは検査・診断・治療・入院・入所・療育・リハビリまで、すべてをカバーできます。特筆すべきは、精神科病棟を開放型と閉鎖型の2タイプ、重症心身障害児者病棟を備えていることです。また各病棟では保護者の付き添いを求めず、短期入所やレスパイト入院の受け入れにより、ご家族の負担を軽減するように配慮し、長期入院・入所の場合は院内学級も設置しています。病院内のリハビリセンターでは、「理学療法」「作業療法」「言語聴覚療法」「視覚障害訓練」の4部門の充実した設備、長年積み重ねてきた知見、経験豊富な専門スタッフのサポートによって、患者さんの発達や状態に合わせたリハビリテーションを行っています。

建物内には発達障害研究所と療育支援センターもありますね。

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はい、本館棟5階の発達障害研究所は、心身の発達障害の原因探求や治療・予防に関する研究を行っている機関で、1972年開設の歴史を持ちます。療育を行う施設でこのような研究機関があるのは、全国的に見てもかなりまれだと思います。日頃から研究者と医師が定期的に勉強会や交流会を開き、情報交換や連携を図り、医療や療育に役立てています。また本館棟1・2階には「療育支援センター」があり、1階の地域支援課では、入退院や生活のご相談、発達障害に関するご相談などの障害者への理解を深める活動を行っています。さらに、この4月からは愛知県の医療的ケア児支援センターとしての役割も担っています。当病院では、このはネットの電子@連絡帳システムにより患者さんを中心に情報共有をするシステムを開始し、学校の先生・地域の療育主治医・専門施設の主治医など、教育・医療・福祉分野との多職種連携にも力を入れています。

今後の地域における役割と展望についてお聞かせください。

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これからも障害のあるお子さんたちを医療・療育・リハビリテーション・教育・福祉・研究というさまざまな視点から総合的に支援していく、東海地方の中核拠点でありたいと思っています。障害のあるお子さんのことで、何か困ったこと、不安なことがあった時には、医療を始め、保育・心理・リハビリなど各分野の専門職がそろっていますので、きっとお力になれると思います。そんな「総合力」こそが当病院の強みです。周囲に障害のあるお子さんをお持ちの友人や親戚の方がいらしたら、ぜひ当病院のことをお伝えいただきたいです。やはり病院ですから、不安や重い気持ちを抱えて来られる方も少なくありませんが、ここに来ると自然体でくつろいで、安心できる、そんな病院でありたいと思っています。

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水野 誠司 病院長

1983年名古屋大学医学部卒業後、名古屋第一赤十字病院で研鑽を積む。名古屋大学小児科医局入局後、トヨタ記念病院、東海市民病院などを経て、2001年愛知県心身障害者コロニー 中央病院小児内科医長。現在の愛知県医療療育総合センター中央病院で遺伝診療科初代部長、2022年より現職。専門は染色体異常症や遺伝子疾患などの小児科領域の遺伝診療。日本小児科学会認定小児科専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

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