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社会医療法人壮幸会 行田総合病院

(埼玉県 行田市)

林 暁 病院管理者

最終更新日:2020/11/25

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低侵襲手術により高齢患者の負担を和らげる

地域で求められる医療は、そこに暮らす人たちの年代や特性によって変わるもの。人口65万人の利根医療圏を支える病院の一つ「社会医療法人壮幸会 行田総合病院」は、1988年の設立以来、時代とともに変わる地域のニーズに応えてきた病院だ。医療機関が少ない地域の急性期病院として多くの救急搬送されてくる患者を受け入れる一方、在宅復帰のための術後のリハビリテーションやケアにも注力。同院に入院する患者の多くが60代以上の高齢患者であるため、手術支援ロボットによる低侵襲手術の拡大に力を入れる。病院管理者で泌尿器科部長も務める林暁先生に、病院の特徴や医療方針について聞いた。
(取材日2019年9月25日)

病院の特徴からお伺いします。

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基本的には急性期病院です。患者さんを「断らない」を大前提に、救急搬送されてくる多くの方を受け入れています。ただそれだけでは慢性期疾患に悩む方々が宙に浮いてしまうので、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟を備え、慢性期疾患にも対応しています。当院の年間入院患者数はこの数年で格段に増えており、その内、多くの方が60代以上となっています。また当院の属する利根医療圏の人口動態を見ると、現在65万人の人口が次の10年で5万人、その次の10年でまた5万人減る見通しですが、60代以上人口の数は変わらず、むしろ短期的には増えると予測されている状況です。そのため、より一層、慢性期医療により多くの医療資源をかけていく必要性を感じています。高齢者医療で重要なのは、患者さんを住み慣れた自宅に帰し、最終的に看取りまで地域で患者さんを看ていくこと。そのためのシステムづくりも重視しているところです。

特に力を入れている分野はありますか?

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増加する高齢者医療のニーズに応えるため、高齢者に多い疾患を扱う循環器内科・呼吸器内科・整形外科などの充実、手術支援ロボットの利用などによる低侵襲手術の拡大、他の医療機関や介護施設と連携しての在宅医療や在宅介護ができる体制構築の3点に特に力を入れています。加えてがん治療分野では、抗がん剤の特性に精通した医師がこの地域のがん薬物治療アドバイザーとしての役割を果たしています。私の専門でもある泌尿器科では、結石手術や手術支援ロボットを使っての前立腺がん・腎がん・膀胱がんの低侵襲手術を行っています。高齢者を診るというのは、医療需要だけでなく介護需要も増えるということ。地域人口10万人あたりの医師数が全国平均の約半分といわれるこの利根医療圏で、両方の需要にどう応えるかは大きな課題です。遠隔診療の活用、地域包括ケアセンターとの連携といった具体策実現のハードルは高いですが、少しずつ進めたいと思っています。

手術支援ロボットの活用は、どんなメリットがあるのでしょう?

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手術支援ロボットを使う最大のメリットは、患者さんの体にかかる負担を大幅に減らせることです。手術支援ロボットは腹部に空けた数ミリの穴数箇所からアームとカメラを挿入し、それらを遠隔操作して手術を行う仕組みなので、開腹手術に比べれば侵襲は圧倒的に少量。そのため術後の回復も早く、手術時の失血の可能性も少ないため感染症など合併症にかかるリスクも減らせます。また視野が限られる腹腔鏡と異なり、患部裏側の細かい血管や神経まで高画質で立体的な3Dハイビジョンカメラで確認できるため、正確性を追求しながらの治療が可能です。年齢を重ねるほど、痛みは嫌なものですし、体力も落ちてきますから、低侵襲なロボット支援手術はご高齢者の方に合った治療法だといえます。2018年以降、保険適用になる手術も増えており、当院でも既に泌尿器科と消化器外科で導入済。将来的にはすべてのがん手術に手術支援ロボットの活用を考えていきたいですね。

病院の理念や大事にしている価値観についても教えてください。

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医療を提供するにあたってまず大切なのは、患者さんとしっかりコミュニケーションを取ること。信頼関係を構築することが絶対必要で、それがないと治療に進むことはできません。だからこそ、患者さんの質問にはきちんと応えること、不安に思っていることがあるならしっかり聞いた上でわかりやすくお話することは全員が心がけ、常に努力しています。ご高齢になると理解力も落ちてくるため、何度も繰り返しお話をすることもありますが、そこは根気よく、医師、看護師、リハビリセラピスト……と患者さんに関わる全員がチームだということを意識して、お互いにカバーしながら患者さんを支えています。そういった姿勢は、全スタッフに共通しています。われわれへの信頼と急性期医療の充実、リハビリ等の慢性期医療への十分な対応の3つがそろって初めて、目標である「高齢者医療を利根医療圏内で完結させる」ことにつながっていくと思うのです。

最後に、今後の展望について一言お願いします。

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まず手術に関しては、支援ロボットを使った手術ができる科を広めることが最優先です。まだまだ手術に対応できる医師が少ないので、技術を学ぶために医師の派遣も積極的に行っていきたいと思います。診療の部門別としては、循環器内科では、日本循環器学会循環器専門医による心不全治療や不整脈治療の一つであるカテーテルアブレーションを始めたので、数を増やしてより厚みのある医療を提供するのが目下の目標。心不全、心筋梗塞などは超急性期の治療が重要なため、24時間365日緊急対応できる体制をめざし、更なる充実を図っています。呼吸器内科、整形外科についても患者数増加が見込まれるため医師を増やし、特に最先端医療を提供できるようにする予定です。また、2020年春には新病棟の建設開始も予定しています。ICU(集中治療室)、CCU(冠疾患集中治療室)、救急部門をしっかり整備することで、急性期医療の質を上げられると思います。

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林 暁 病院管理者

慶応義塾大学病院泌尿器科で内視鏡による前立腺肥大症、尿路結石治療が始まった頃から治療に携わってきた、日本泌尿器科学会の泌尿器科専門医。1983年、秋田大学卒業。慶應義塾大学病院泌尿器科へ進み、関連病院であるさいたま市立病院、国立病院機構病院で勤務し、立川病院での医長、練馬総合病院での科長を経て、2015年より行田総合病院に勤務。泌尿器科部長と病院管理者を兼任する。

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