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医療法人緑栄会 三愛記念病院

(千葉県 千葉市中央区)

入江 康文 院長

最終更新日:2020/11/25

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あふれる患者を救う地域の透析医療拠点へ

京成千葉線の京成千葉駅やJR中央・総武線の千葉駅で下車して徒歩5分ほどの場所にある「三愛記念病院」は、前身のクリニック時代から数えると約半世紀の歴史を持つ腎臓病の専門病院だ。規模の拡張に合わせて3度の増築工事で今の姿になったという建物の外観は、時の経過を感じさせるが、院内の雰囲気はとても温かい。常勤5人を含む20人以上の医師が、それぞれの専門領域で透析患者の合併症治療などを担当。また、きびきびと動く看護師たちの表情は明るく、入江康文院長はその日の人工透析に訪れた患者たちとすれ違うたび、いかにも旧知の間柄といった感じで気軽にあいさつを交わしている。通院が30年を超える人も珍しくない透析医療は、医療施設と患者の長い付き合いとなる。それを快適なものにしている秘密は何なのか、院長に開業から現在に至るまでの歩みを含め、たっぷりと語ってもらった。
(取材日2016年5月24日)

開業した動機や、人工透析を専門とした理由を教えてください。

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人工透析の医師として千葉市内の公立の病院に勤務していたとき、透析の設備や人員の不足から、腎不全の患者さんを助けられない状況が続いていました。焦りを感じた私は、同じ問題意識を共有する仲間とともに、開業を決断。病院名の「三愛」は、開業に関わった私を含む3人の医師にちなんでいます。たくさんの患者さんを預かる現場では、医師が1人だともしもの場合に対応不能に陥るケースが予想されます。そんな事態を防ぐために、3人の医師を表す言葉として選びました。私が鹿児島大の医学部を卒業した1968年当時、尿毒症といえばほとんど助からない病気でした。そんな中、初期の人工透析装置が使われだしたことを知り、大きな可能性を感じて飛びついたのです。設備も医師の数もわずかだった頃から半世紀近くが経ち、透析医療は目覚ましい進歩を遂げました。治療を経て20年、30年と元気に過ごしている人たちを見ると、感慨を覚えずにはいられません。

病院の歴史と特徴についてお聞きします。

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1977年の春、当院の前身である有床診療所の栄町クリニックが誕生しました。当時、維持できる透析患者数は20人程度で、徐々に増加する外来透析の患者さんに応える規模としては手狭になってきたので、1983年、現在地にビルを新築。三愛記念クリニックと改称して移転しました。現在、7階建てのうち2階と3階が透析のためのフロアで、それぞれ63人の方が同時に透析医療を受けることが可能です。1回の透析は患者さんにもよりますが大体3〜5時間。終了時の処置においては、自動返血機構の備わった装置が大変役立っています。もちろん、自動化された装置に任せっきりにするのではなく、スタッフが透析中の患者さんをきめ細かく見守ることが必須です。限られた設備とスタッフで「安全性と合理性」をいかにして両立させるかは、院長として常に考え続けているテーマの1つですね。

合併症への対応にも力を入れているそうですね。

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腎不全の患者さんに対する医療の中心は、週3回ほどの人工透析です。透析が命をつなぐことに直結するのは間違いないのですが、だからといって、透析を続けているだけで長生きできるわけではありません。あくまで私のイメージですが、人工透析装置が透析患者の延命に関与している割合は20%ぐらいだと思います。そして残る80%を占めるのは、脳梗塞、心筋梗塞や糖尿病など合併症のリスク管理です。リスク管理に大事なのは、スピーディーな血液や心臓の検査と、合併症が疑われた際の速やかな対処の2点。そこで当院では、病院と検査機関のコンピューターをオンラインで結ぶシステムを早くから導入し、透析時に採血して調べた結果が、翌日の朝には届くようになりました。こうしたシステムは今でこそ珍しくなくなりましたが、われわれが開発に携わった仕組みを土台としたコンピューターソフトは、今でも検査機関で実際に使用されているようです。

ほかの病院や診療所との連携についてはいかがでしょう。

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医療法人緑栄会の医療施設は、本院である当院のほかに、同じ千葉市内の三愛記念そが病院、市原市の三愛記念市原クリニックがあります。三愛記念そが病院は透析だけでなく一般患者の医療も広く行っていて、長期療養入院にも対応しているところが特徴です。当院での入院が長引く場合、患者さんの都合が合えば、三愛記念そが病院への転院をスムーズに行えるように連携しています。三愛記念市原クリニックは、かつて市原市方面に透析医療のできる施設が望まれていたことに対応して開院しました。それまで、当院までの遠距離を通って来てくださっていた患者さんと看護師にもまとめて移ってもらうことができ、通院・通学の負担軽減につながったと思います。当法人以外の病院・診療所とも長年の間に自然発生的な協力関係が生まれていて、信頼できる医師同士、すぐに紹介をしたり受けたりできるようになっています。

最後に、読者に向けてメッセージをいただけますか?

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透析医療とは本来、腎臓の病気を根本から治すものではなく、延命治療です。こんな風に言うとがっかりされる方もいるかもしれませんが、考えてみてください。毎日のご飯だって、生きるためにどうしても必要なこと、つまり延命治療のようなものなんですね。透析を始めることでそれまで通りの生活を続ける事は難しくなるかもしれませんが、きちんと定期的に通院し、食事その他の自己管理もしっかり行えば、仕事だって泊まりの旅行だって立派にできます。事実、そんな努力を重ねて、腎不全や合併症と上手につき合っている患者さんがたくさんいます。どうか、腎臓の病気に直面しても将来をあまり悲観せず、「一流の患者」となって人生を謳歌してください。医療者として私たちも全力で応援させていただきます。

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入江 康文 院長

1968年鹿児島大学医学部卒業。千葉市内の病院などで人工透析の医師として勤務し、1977年より現職。国内における透析医療の重要性を感じ、より多くの透析患者を救うための技術習得に尽力。開業後は病院規模の拡大をはじめとした設備や各種システムの充実に取り組み、「安全性と合理性」をテーマとした病院運営に力を注ぐ。

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