医療法人社団幸泉会 高田上谷病院
(兵庫県 西宮市)
西川 育志 病院長
最終更新日:2024/03/26


地域医療の中核として総合サポートを提供
西宮市北部の田園の中の診療所からスタートし、現在は地域医療の中核として住民から頼られている「医療法人社団幸泉会 高田上谷病院」。総合診療科を介した日常診療から救急搬送への対応、さまざまな院内部署や併設施設とのタッグによる切れ目のないサービスの提供など、地域の医療・介護の拠点としての役割を担っている。「スタッフ一人ひとりの努力があって、新型コロナウイルス感染症の流行時もなんとか乗り越えてこられました」と語るのは、同院とは古くから縁があるという西川育志病院長。どのような診療や検査体制で患者のニーズに応えているのか、高齢化する地域をどのようにサポートしているのか。その絶え間ない活動や地域への思いを、現在の病院の状況を交えてじっくり語ってもらった。(取材日2024年2月19日)
まずは病院の成り立ちや地域での役割を教えてください。

当院はもともと「高田外科」という19床の有床診療所からスタートしています。西宮市は南北に広がる大きな都市ですが、北部地域は昔から医療資源が乏しく、現・名誉会長の高田裕可先生と社団総長だった故・上谷幸彦先生によって1982年に開設されました。それから十数年を経て今の場所に移転し、新たな病院として生まれ変わったわけです。その後は介護老人保健施設を併設した88床の急性期病院へと発展。現在は西宮市北部エリアの二次救急医療を担う病院として、地域の皆さんのお役に立てるべく医療サービスの充実に努めています。この地域にはもともと旧来からの世帯とニュータウン世帯が混在していましたが、やはり少子高齢化が進んでおり、私が園医を務めている幼稚園でも随分と子どもの数が減りました。こうした社会情勢を踏まえ、今後はさらに地域の皆さんのニーズに柔軟に対応していく必要があると強く感じています。
外来診療での特徴的な取り組みはありますか?

当院の外来診療の特徴の一つに、「総合診療」があります。内科系・外科系を問わず、あらゆる疾病や外傷の初診を引き受け、どのような症状であってもできることには対応しようというスタンスですね。今は専門領域の細分化が進み、どこに診てもらえばいいかわからないといった経験を誰もが一度はお持ちでしょう。そうした場合も、まずは当院にお越しいただければ初診で指針をお伝えすることができますし、もちろん各診療科において診療の継続も可能です。もし専門的な診療が必要な場合は適切な医療機関をご紹介できますので、何かあれば迷うことなく安心して来ていただければと思います。また、当院には循環器内科や整形外科、呼吸器内科などがあり、ほかにもリハビリテーション科や糖尿病内科、人工透析内科などが充実しています。
こちらには、さまざまな検査設備が整っていますね。

はい。当院の自慢の一つが迅速な検査で、CT検査やMRI検査も待ち時間ゼロをめざした体制を整えています。CTはマルチスライスタイプで、心臓の撮影や冠動脈の造影検査などに有用なほか、全身でも高速での撮影を可能としています。MRIは大口径・静音タイプの超電導マグネット型で、頭部の検査はもちろん、造影剤を使わずに足や全身の血管が撮影可能です。ほかにもエックス線装置やエコー、先進の血管造影装置、上部・下部消化管用の内視鏡などが充実しており、これらの画像はすべてがデジタルデータとして一元的に管理され、各診察室にてすぐに確認できるシステムとなっています。また、他院からの紹介や依頼で検査を行うことも多く、病棟の患者さんのエックス線撮影や夜間の急変にも対応しています。先端の血液生化学検査装置も常時稼働し、正確な診断に努めています。これらの検査はすべて、スタッフたちの献身的な働きにより成り立っているのです。
高齢者への医療・介護サービス体制について教えてください。

高齢化社会に伴い、この地域でも急性期医療だけでなく在宅医療の必要性が高まりつつあります。当院では地域包括病棟のほか、在宅療養支援センター、訪問看護ステーション、通所リハビリテーション施設、公的機関である西宮市高齢者あんしん窓口を院内に設置。訪問診療やレスパイト入院への対応はもちろん、敷地内に介護老人保健施設、隣接地に特別養護老人ホームを開設するなど、急性期医療から在宅医療、施設入所に至るまでのシームレスな医療・介護サービスの提供を実現しています。当院を受診後に、いろんな必要性があって施設やサービスを利用したい方は大勢おられます。そうしたニーズに包括的に対応できることは、患者さんやご家族にとって大きな安心材料となるでしょう。地域とともに歩んで40余年。何世代にもわたり利用してくださるお宅もありますから、地域の医療機関や介護施設とも連携し、顔の見えるサービスで皆さんをサポートしていきたいです。
今後の展望と地域の方々へのメッセージをお願いします。

当院は皆さんの身近なかかりつけ医であるとともに、日常診療から救急搬送、治療後のケアやリハビリテーション、在宅介護から終末期医療まで、地域の皆さんに寄り添いながら生活全般のお役に立つことが目標です。また、市の定期健診やがん検診、人間ドックや予防接種も常に実施しています。赤ちゃんからご年配の方まで、この地で安心して笑顔で暮らせることが私たちの願い。そのためには単純に自分の役割をこなすだけではなく、一つの理想に職員一丸で向かっていく必要があるでしょう。やはり大切なのは「人」です。100点満点は実現できなくとも、少しずつベストをめざしていく姿勢が大切ではないでしょうか。そうした地道な努力が皆さんの安心につながると信じ、今後も研鑽を積んでいきたいと思います。地域と連携しながら、「ご家族を診る」「地域を診る」というスタンスでサービス向上に励む所存です。お困りのことがあれば、ぜひ私たちにご相談ください。

西川 育志 病院長
1984年神戸大学医学部卒業。同大学医学部附属病院の心臓血管胸部外科に入職し、神戸大学大学院医学研究科にて医学博士号を取得。1992年に渡米し、コネチカット州のハートフォード病院にて高田上谷病院の現・名誉院長である高田裕可先生に師事。心臓外科について深く学ぶ。2011年より現職。内科・外科に精通した総合診療を専門に、現在も外来診療および訪問診療に力を注ぐ。日本外科学会外科専門医。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/8万円