医療法人 中川病院
(愛媛県 松山市)
中川 祐輔 副院長
最終更新日:2024/12/27
生涯の健康管理を支えるかかりつけ病院
1990年、19床の外科内科クリニックとして設立された「中川病院」。今日に至る歩みの根底にあるのは、「今、住民に求められている医療・介護とは何か」という地域への温かな思いだ。けがをした小さな子どもから、生活習慣病を気にする中高年、急性期を終えて家に帰るまでの「ワンクッション」が必要な高齢者まで、さまざまな年齢層の患者が多様な訴えを持って同院を訪れる。その様子からは、30年以上にわたる、日々の診療を通じて培われた信頼関係の厚さがうかがえる。高度かつ精度にこだわった検査・診断・治療、および入院ができる病院ならではの設備と技術を持ちながら、まるでクリニックのような身近さを失わない同院は、地域の人が困ったときに最初に相談できる「よりどころ」となっているようだ。大学病院などで経験を積んだ後、2年半前に同院の診療に加わり、内科・外科を問わず幅広く患者を診る外来診療と訪問診療を両立する中川祐輔先生に、同院の診療の特徴や強み、今後の展望などを聞いた。(取材日2024年11月7日)
まず、病院の歴史から教えてください。
当院の前身は、私の父で現理事長の中川泰範が南予でのへき地医療を行ってきた経験を生かし1990年に開業した「中川外科内科」です。開業の翌々年には19床の病床を40床に増床して「中川外科内科病院」となりました。その後、1995年に現在の「中川病院」へと名称を変更しています。現名称になってから30年近くの年月がたっていますが、地域の方の中には今なお開業当初のイメージが残っていて、「中川病院は外科の病院」と思っている方も少なくありません。外科だけでなく内科、消化器内科、肛門外科、循環器内科、内視鏡内科、リハビリテーション科、麻酔科を備えた病院であることを、より多くの方に知っていただきたいですね。病院は緊張感があって行きにくい、些細な相談がしにくいと感じている方にも気兼ねなく受診していただけるよう、親身な医療を心がけています。
どのような方の受診が多いですか?
授業や遊びなどの最中にけがをした子どもたちから、風邪の症状がある若い方、健康診断や人間ドックで生活習慣病のリスクがあると指摘された中高年世代、体調を崩した施設の高齢者まで、患者さんの年齢層と主訴は非常に幅広いです。40床の病床がありますので、急性期の病院で治療を終え、ご自宅や施設での療養を開始する前のワンクッションとして入院される方もいますね。外来診療では頭の先から足の先まで幅広く診療することを基本としています。当院でCT、胃・大腸内視鏡などの検査を行い、より高度で専門的な医療が必要な状態であると判断した場合には、提携する医療機関へご紹介していますのでご安心ください。
力を入れている検査や治療について教えてください。
大きく3つあります。1つは、先ほど少しふれた胃と大腸の内視鏡検査です。私が日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医を取得しており、健診で異常を指摘された方、当院で何らかの治療をされていて胃や大腸の不調を感じている方などを中心に精度の高い検査を実施します。過去に検査をしてつらかった、怖かったという方には、鎮静剤を使用して半分眠った状態で検査することも可能ですから、ぜひ相談していただきたいですね。もう1つは、睡眠時無呼吸症候群の検査です。こちらは、睡眠医療の専門家である淡野桜子先生が担当する外来で、隔週木曜日に検査と治療を行っています。いびきがひどい、日中の眠気が強い、朝方に頭痛がある、といった方にはぜひ一度検査を受けていただきたいですね。必要に応じて、入院しての診断・治療も可能です。そして最後は、心臓超音波検査です。毎週土曜日には循環器内科が専門の医師による診察や心臓超音波検査も行っています。
在宅支援のため訪問診療や訪問看護にも注力されているのですね。
そうですね。2000年から訪問看護や訪問・通所リハビリテーション、居宅介護支援・居宅療養管理指導事業をスタートし、病院の隣地で高齢者総合福祉施設も開設。在宅療養支援病院として訪問診療にも力を入れ、訪問看護ステーションなどと連携を進めています。当院は急性期と在宅復帰の架け橋として患者さんを受け入れており、さらに在宅復帰した方が住み慣れた家で自分らしく過ごせるよう、充実したリハビリテーションと24時間365日対応の訪問診療、訪問看護で支えています。もちろん、病床もあるため在宅療養中の方の緊急入院にも対応しています。実は、他院で経験を積みながら当院に入職する準備を進めている時、複雑な介護制度の利用をわかりやすくサポートする必要があると考えて、ケアマネジャーの資格を取りました。「介護サービスの利用方法を知りたい」「何をどこに相談していいかわからない」という方は、外来でも気軽に声をかけてください。
今後の展望と、患者さんへのメッセージをお聞かせください。
父が当院を開業して以来、地域に貢献し必要とされる存在になろうという一念で邁進してきた病院です。最近では、地域で開催される夏の風物詩「夜市」に中川病院として出店し、地域の皆さんにより親しみを持ってもらう取り組みも始めました。病床を持つ病院としては愛媛県で1、2を争うくらいの小ささではないかと思いますが、小規模だからこそ小回りが利く利点を生かして、困り事や悩み事に寄り添っていきたいと思っています。在宅でご家族のケアを頑張っている方、介護サービスをうまく利用できていない方、がんの末期など厳しい状況にある患者さんへの寄り添い方に悩んでいる方などのお力にもなれればうれしいですね。患者さんもご家族も笑顔で、地域で生きる喜びを感じながら暮らせるよう、できる限りのサポートをしてまいります。
中川 祐輔 副院長
2004年松山東高校卒業。2010年愛媛大学医学部医学科卒業。市立宇和島病院、がん研有明病院、栃木県立がんセンター、愛媛大学医学部附属病院、愛媛県立中央病院などの一般外来や救急科外来で経験を積み、外科・内科を問わず幅広く診療にあたる。日本消化器外科学会消化器外科専門医として、胃・大腸の内視鏡検査にも尽力。介護支援専門員の資格を持ち、施設の高齢者の診察・介護の相談にも応じている。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/胃:1万2100円、大腸:1万7600円