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増え続ける直腸がんでも
手術支援ロボットによる手術が可能に

独立行政法人 労働者健康安全機構 中国労災病院

(広島県 呉市)

最終更新日:2024/07/02

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  • 保険診療
  • 腸閉塞(イレウス)

高齢者人口の増加や食事の欧米化とともに増え続けている直腸がん。「中国労災病院」の外科では従来から腹腔鏡による手術に力を入れるとともに、他科との連携でがん化学療法や放射線治療と手術を組み合わせ、治療効果の向上や患者の負担軽減をめざしてきた。さらに2023年には、すでに同院泌尿器科で使用を始めていた国産の手術支援ロボットを外科でも導入。現在は直腸がんでロボット支援下手術を行っており、ロボット支援下だから実現できる精緻な手術に手応えを感じているという。「今後はさらに技術力を高めて手術件数を増やし、多くの患者さんに安全性重視で質の高い手術を提供したい」と話す外科部長の福田敏勝先生に、直腸がんの特徴や検査・治療の現状、手術支援ロボットを用いるメリットを解説してもらった。(取材日2024年4月10日)

操作性の高い手術支援ロボットで狭い骨盤内でも精緻な直腸がん手術を実現、安全性の向上にも大きな期待

Q直腸がんの特徴を教えてください。

A

直腸がんについて説明する福田敏勝先生

直腸は長い大腸の最後のほう、つまり肛門とつながる上下に垂直な部分で、ここにできるのが直腸がんです。直腸より頭側の大腸は結腸と呼ばれ、小腸とつながり腹腔内をめぐっています。便は、結腸を通過する間に水分が減り硬くなっていることが多いので、硬い便がこすれて直腸がんに傷がつくとお尻から出血したり、がんがあるために便が通過しにくくなり腸閉塞になったりすることもあります。がんは年齢を重ねるとともに起こりやすい病気ですし、大腸のがんは遺伝的な要因もありますが、食の欧米化が大きく影響していると考えられています。高齢化が著しい当院の医療圏でも、50~60代ぐらいから直腸がんになる方が増えています。

Q直腸がんを疑う症状や検査には、どのようなものがありますか。

A

直腸にがんができると、便の通るスペースが狭くなるので、便の太さが以前より細くなることがあります。また、がんからの出血が便と一緒に排泄されると、比較的鮮やかな赤色であることが多いです。出血は痔との区別が必要ですので、普段からトイレで便を見る習慣をつけ、これらの症状があれば直腸がんを疑って受診してほしいと思います。さらに症状を放置し続けていると、がんが進行して便が出にくくなり、腸閉塞で腹痛が起きたりおなかが張ることも。ご高齢の方は症状を我慢している場合があり、注意が必要です。検査としては、まず便を採取して血液が混ざっていないか調べる便潜血検査を行い、精密検査が必要であれば大腸内視鏡検査を行います。

Q治療はどのように行われるのでしょうか。

A

がんが小さく、大腸の表面の粘膜でとどまっている場合には、消化器内科で内視鏡を使った切除を行います。ただ、それよりも進行していれば外科で手術を行うことになりますし、直腸の周囲にある肛門や膀胱、子宮などまでがんが広がっている場合には、手術前に抗がん剤や放射線療法を行ってがんの縮小を図り、それから手術を行うこともあります。ですので、直腸がんの治療を検討する際には、外科と消化器内科で積極的にカンファレンスを行います。また院内には放射線治療に精通した医師もいますので、手術、抗がん剤、放射線とさまざまな治療を組み合わせ、患者さんの身体の負担が少なく、安全性と効果にこだわった治療ができるように努めています。

Qロボット支援下手術は、これまでの手術とどこが違うのですか?

A

手術支援ロボットを用いてより精密な治療を実施

当科では直腸がんの手術において、適応があれば腹腔鏡を以前から積極的に使ってきました。腹腔鏡手術では大きな切開が不要で、おなかにつけた小さな傷口から腹腔鏡やカメラを入れて手術を行います。ただ腹腔鏡は、長い管の先に小さな鉗子やメスがついているのですが、管そのものに関節がないので、直線的に動かすことしかできません。これに対して手術支援ロボットには関節があり、より細かく思うように操作しやすいのですね。このため周囲の臓器や組織に触れないようにしながら、より繊細な手技が可能です。また腹腔鏡は人間の手で持つので手ブレがありますが、手術支援ロボットではブレが非常に少なく、狭い空間での操作も精密に行えます。

Qどのような場合に、ロボット支援下手術が受けられますか。

A

治療精度の向上には設備のアップデートが必要不可欠

当科では2023年9月から直腸がんのロボット支援下手術を始めました。現在は、がんが周囲の臓器にまで広がったような進行例を除き、基本的にロボット支援下手術を行います。術中は頭を低くする姿勢を取る必要があるのでそれに耐えられること、また心肺機能を中心に健康に問題がなければ、年齢を問わず手術を検討します。入院期間などは腹腔鏡手術とほぼ同程度ですし、当科では術後の痛みの管理にも力を入れています。やはり手術の精度が上げられるという点は患者さんにとって大きなメリットだと思いますので、安心して受けてほしいと思います。なお、当科は2024年中に結腸がんでもロボット支援下手術を始める予定で、準備を進めています。

患者さんへのメッセージ

福田 敏勝 外科部長

1990年広島大学医学部を卒業後、同大学医学部第二外科入局。尾道総合病院など関連病院で胃外科と肝胆膵領域を中心に診療経験を積み、JR広島病院を経て、2018年中国労災病院へ入職。現在は外科部長兼消化器外科部長として後進の育成や部内のマネジメントにあたる。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、広島大学医学部臨床教授。

ロボット支援下手術についてご存じの方は増えていて、患者さんにぜひ前向きにご検討いただきたいと思います。ただお話ししたように、病状が進行してからでは、適応にならないこともありますし、ロボット支援下手術を含めて治療全体が難しくなりがちです。直腸がんの検査では便を確認したり、お尻からの検査が必要になることもあり、特にご高齢の方は何らかの症状があってもそのまま我慢してしまい、腸閉塞になってから病院へ運び込まれることも少なくありません。気になる症状があればどうか早めに受診してほしいですし、大腸がん検診を定期的に受けて、早期発見・早期治療に努めていただきたいと思います。

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