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国立大学法人 大阪大学医学部附属病院

(大阪府 吹田市)

竹原 徹郎 病院長

最終更新日:2022/08/16

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大学病院の役割を全うし、未来の医療を創造

1993年に大阪市中之島地区から吹田市の万博記念公園に連なる丘陵地帯に移転。以来、四半世紀にわたって「阪大病院」の愛称で親しまれてきた「大阪大学医学部附属病院」。「地域に生き世界に伸びる」をモットーに、大学病院として専門的かつ安全性に配慮した医療の提供を続けながら、研究者や医療人の育成にも力を注いでいる。がん診療においては近畿医療圏の中心的役割を担い、2018年に「がんゲノム医療中核拠点病院」、2020年には「地域がん診療連携拠点病院(高度型)」 に指定。がん遺伝子パネル検査の解析をはじめ、内視鏡手術、ロボット手術など先端技術で地域のがん診療を支える。「強みであるがん診療と並行し、高度な医療を安全に行うためのシステムづくりと人材育成にさらに力を入れていきたい」と語るのは、今年4月に病院長に就任した竹原徹郎先生だ。同院の地域医療における具体的な役割や、診療効率化と医療安全の分野を皮切りに臨床応用の段階に入った「AI(人工知能)ホスピタル事業」、2025年の運用開始に向け準備を進めている統合診療棟について、新病院長に詳しく聞いた。(取材日2020年3月24日/情報更新日2022年4月5日)

最初に、病院の特色や地域における役割をお聞かせください。

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当院は、近畿圏の地域医療を支える中核病院として三次救急に対応し、国際水準の先進的な医療を提供しています。特にがん・難治性疾患の分野では、がんゲノム医療中核拠点病院、地域がん診療連携拠点病院(高度型)として、ロボット支援手術など先進手術に積極的に取り組んでいます。また、総合周産期母子医療センターとして、ハイリスク妊娠、胎児・新生児異常にも対応。MFICU3床、NICU9床、GCU18床を備え、北摂エリアの第三次産科救急を担っています。医療法に基づく臨床研究中核病院として研究にも重きを置き、将来の医療に役立つ新たなエビデンスの創出のため、医師主導型の治験に取り組むほか、患者包括サポートセンターでは、入退院支援を軸に、外来診療予約や地域連携業務、社会復帰へ向けた医療福祉相談など実施。連続的なサポート体制を整え、高度で安全性に配慮した医療を通して、患者さんに安心と満足をお届けしています。

感染症対策には病院としてどのように取り組んでいますか?

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さまざまな感染症から患者さんや病院職員の安心と安全を守るため、当院には病院内全体の感染管理を行う感染制御部を設置しています。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師を中心に構成された感染制御部の役割は、医療従事者に向けた感染症対策の教育から院内の感染動向の早期把握や対応、アウトブレイク時の院内体制の確立、抗菌薬の適正使用の推進、薬剤耐性菌の調査まで広範に及び、これらの取り組みを並行して進めることで、医療環境の安全性の確立を図っていきます。研究機関としての役割を持つ大学病院の機能を有効活用すべく、当大学の附置研究所である微生物病研究所とも協働し、検出された微生物の種類や感染経路を特定することで、感染のメカニズムの解明とそれを応用した感染予防対策、抗菌薬の適正な使用につなげ、それらの知見を病院単位ではなく、都道府県単位で共有していきたいと考えています。

AI(人工知能)を活用した医療システムの開発も推進中だとか。

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AIに関しては、画像解析による超早期・超高精度診断など診療面の応用研究が始まっていますが、私たちが現在力を入れているのは、医療の質と安全性の向上を目的としたAIの活用です。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム課題「AI基盤拠点病院の確立」にも参加し、診断から治療へのプロセスでAIを活用できるようシステムの開発を進めており、これによって診療の効率化を図り、患者さんの利便性を高めたいというのが私たちがめざすゴールです。例えば、医師の声で入力可能な電子カルテがあれば、医師は患者さんと目線を合わせて話がしやすくなり、診療の精度や患者さんの満足度はより高まるでしょう。これ以外に、医師の説明が伝わったかどうかを患者さんの表情から読み取るシステムについても開発中ですし、院内移動手段・自動運転車いすの実証実験などを行う「AIホスピタル事業」 も当院の特徴的な取り組みといえるでしょう。

医療安全管理にも早くから取り組んでこられたそうですね。

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当院では、医療安全の重要性に早くから目を向けてきました。具体的な取り組みとしては、事故につながりかねない出来事を自主的に報告・共有する「電子化インシデントレポートシステム」を開発。2001年には専門部署の「中央クオリティマネジメント部」を設置し、医療の安全と質向上のために従来のシステムの改善や職員の教育に取り組んできました。同部は各診療科の医師や多職種の医療職で構成され、他大学の教員とも協働しています。2004年より国公私立大学附属病院医療安全セミナー、2006年より国立大学病院間の医療の質・安全に関する相互チェックを継続して実施。安全に入院生活を過ごすポイントを7つの句とイラストでまとめた「阪大病院いろはうた」もあります。また近年は「レジリエンス・エンジニアリング」という、変化する環境下でいかに柔軟に対応できるかを主眼にした新しい安全管理手法も導入しています。

今後の展望と地域の人たちに向けメッセージをお願いします。

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当院は現在、多様化する医療ニーズに対応するため、2025年の運用開始を目標に「統合診療棟」の新設準備を進めています。統合診療棟には外来機能のほか、手術室やICU、総合周産期母子医療センター、患者包括サポートセンター、外来から手術まで一貫して行う眼科部門を設置予定です。そして、新しい環境下でも引き続き高度かつ先進的な「未来の医療」を届けるには、世界に通用する優れた医療人の育成が不可欠だと考え、その取り組みとしてキャリアを積みながらスキルを磨けるシステムを用意するほか、高度化する医療機器開発に対応できる人材育成のための医工連携も進めています。当院では「良質な医療を提供するとともに、医療人の育成と医学の発展に貢献する」という理念を職員一人ひとりが胸に秘め、日々知識や技術を研鑽しています。医療安全管理を含めた当院ならではの高度医療を今後も追求し、患者さんに納得・満足いただけるよう努めてまいります。

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竹原 徹郎 病院長

1984年大阪大学医学部卒業。1998年〜2000年米国マサチューセッツ総合病院消化器内科研究員、2005年大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学助教授、後に准教授、2011年消化器内科学教授。2022年4月同大学医学部附属病院病院長就任。専門分野はウイルス性肝炎、肝がん、細胞死、自然免疫。日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。医学博士。

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