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医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院

(千葉県 船橋市)

老沼 和弘 院長

最終更新日:2024/05/09

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安全性に配慮し、専門性の高い医療を実施

「医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院」は、1989年に設立された整形外科の専門病院だ。「スポーツ医学・関節センター 肩関節・肘関節部門」「スポーツ医学・関節センター スポーツ下肢部門」「脊椎・脊髄センター」「人工関節センター」の4つの部門で構成され、各分野の専門家がそろう。中でも老沼和弘院長の専門領域である人工関節の手術件数は多い。早期の機能回復と社会復帰に向けたリハビリテーションにも注力しており、「手術して終わり」ではない体系的な医療を実施している。同院の2本柱である人工関節とスポーツ整形の特徴や今後の展望などについて、老沼院長に聞いた。
(取材日2024年3月1日)

まずは、病院の成り立ちから教えてください。

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当院は、白土英明名誉院長をはじめとする3人の整形外科医によって、1989年に設立されました。当初は、整形外科の中でもスポーツ整形を専門とし、スポーツによる外傷や慢性的な故障、およびそのリハビリテーションを提供するのが目的だったと聞いています。当時はこうした領域を専門に扱う病院がほとんどなく、スポーツ医学、ひいては日本のスポーツの発展に寄与したいという思いがあったそうです。開設当初こそ19床の有床診療所でしたが、2005年には増床して70床になり、老人保健施設など関連医療施設を増設していきました。2017年には、当院からほど近い場所に「船橋整形外科クリニック」を開設。外来機能、検査、リハビリテーションをクリニックに集約し、当院では手術と入院、管理機能を担う分業体制を整えたことで、かなり導線が良くなりました。

先生は、2004年からこちらで勤務されているのですね。

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私は股関節外科が専門で、こちらに移籍する前から低侵襲手術に強い興味を持っていました。特に、「前方進入法」と呼ばれる術式は、理論上「低侵襲の極み」ではないかと、かなり早くから注目していたのですが、海外でも数施設で行われているのみで、とても日本で、しかも名もない一股関節外科医師のできる手術になるとはその当時は夢にも思っていませんでした。他院で勤務しながらその可能性を模索していたところ、当時、院長だった白土先生から一緒にやろうとお声がけがあり、フランスに前方進入法を見学する機会を得たのです。実際に見た前方進入法は、イメージしていたとおりの低侵襲手術で、白土先生の「責任は私が全部取る」という頼もしい言葉に背中を押されるようにして、その導入が実現し、全症例に対する標準術式に至ったのが2004年8月です。こちらに移籍したのが2004年4月ですから4ヵ月で、ほぼ現行の前方進入法が完成したことになります。

前方進入法の仕組みと低侵襲性について詳しく教えてください。

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変形性股関節症の手術と言えば人工股関節置換術ですが、前方進入法は、この手術を、筋肉を切らずに、筋肉の隙間から完了できてしまう手術方法です。人工股関節置換術が登場した1970~90年代は、いかにして人工関節を正確な位置に設置するかが問題でした。しかし、2000年前後から、手術技術の進歩により人工関節の設置が精密に可能になってしまうと、術後の回復を早めるためにどれだけ低侵襲な治療ができるかが問われる時代がやってきたのです。前方進入法は、従来の主流だった筋肉を切る側方や後方からの進入法と違い、筋肉を切りません。そのため、筋肉を切る進入法では、筋肉が癒合するまでのある程度の安静期間が必要となりますが、筋肉を切らない前方進入法では、術後の安静期間が不要で、術後の痛みも少なく、早期からリハビリテーションを開始できます。また、術直後から股関節も安定性が望め、術後の脱臼が発生しにくいのも魅力です。

設立時の主軸だったスポーツ整形も、今なお強みの一つですね。

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そうですね。スポーツ整形には、バスケットボールや野球、柔道、フィギュアスケート、ゴルフなど、幅広い領域のスポーツを楽しむ方たちが訪れています。今後も当院の強みであり続けるだろうと思っています。特に、各スポーツに特化した理学療法士が在籍しているのは強みですね。さまざまなスポーツに打ち込んだ過去を持つ理学療法士も多く、患者さんの気持ちに寄り添って復帰をサポートすることができます。2026年には近くに新病院を開設し、手術室や回復期病床でのリハビリテーションを充実させていく予定ですが、そこでも当院自慢の理学療法士たちが活躍してくれることでしょう。回復期病床ができることで、社会復帰・在宅復帰までにもう少し時間がほしい方を転院させることなく、しっかりサポートできるのもメリットです。

最後に、今後の展望と患者へのメッセージをいただけますか。

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当院は、整形外科専門の単科病院ですので、各部署が連携しやすく、ハイレベルなチーム医療を提供できることが強みです。普段から、院内全体の各部署の関係性強化に努め、年に1度は全体での勉強会を実施するなどして、各部署の速やかな連携を心がけております。提供する医療の安全性には細心の注意を払いつつ、先進かつ効果的なチーム医療の実践をめざし努めてまいりますので、今後の私たちにどうぞご期待ください。

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老沼 和弘 院長

1990年千葉大学医学部卒業。同年5月より同大整形外科に入局。同大学整形外科関連病院での初期研修を経て、同大整形外科で股関節外科分野を専攻。1999年から上都賀総合病院で勤務した後、2004年に船橋整形外科病院に赴任した。2006年人工関節センター長、2021年副院長、2023年より現職。専門分野は股関節。千葉大学医学部臨床教授。

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