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JA広島総合病院

(広島県 廿日市市)

石田 和史 病院長

最終更新日:2024/02/07

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おもてなしの心を大切にする地域の中核病院

地域に公的病院や急性期病院がない中で、救急医療や糖尿病治療など多くのニーズに応える「JA広島総合病院」。患者の健康と家族の幸せのため、スタッフ全員が同じ方向を向いて常に前進する、やる気と情熱にあふれる病院だ。日々受診する多数の患者に親身に対応し、負担の少ない受診環境づくりにも注力する同院。その背景には、小売り酒屋を営む実家や年に1回必ず行くというテーマパークから学んだ「おもてなしの心」を大切に、魅力的なアイデアを次々と提案する石田和史病院長の存在がある。患者とスタッフ、さらには連携する地域の医療機関にもメリットがあるように、常に相手の立場に立ち、喜ばれる方法を模索する石田病院長。そんな温かな人柄の病院長に、同院が地域において果たす役割や具体的な診療の強み、そして今後の展望などを聞いた。(取材日2023年1月24日)

広島県西部を中心に、広域の医療をカバーしているそうですね。

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廿日市市には公的病院がなく、急性期病院も限られています。そういった状況から、地域の開業医の先生をはじめ、隣接する山口県の岩国の医療機関からも紹介していただいています。救急医療は診療の柱の一つで、県内における救急車の受け入れ台数も多いです。また糖尿病の専門家がいる背景もあり、過去には糖尿病性ケトアシドーシスという急性の合併症で、岩国の病院から救急要請を直接受けました。当院は「受診して良かった」「紹介して良かった」「働いて良かった」の3つをスローガンに掲げており、救急医療はまさに2つ目を達成すべく取り組んでいる分野。急性期病院ではご紹介や救急が新規患者さんの窓口になりますので、各診療科で重視し医療の充実に努めています。そしてがんの診療に力を入れている病院としても、消化器や肺、泌尿器など多分野でがんゲノム医療を開始し、快適な受診環境づくりを行っています。

快適な受診のための取り組みについて、具体的に教えてください。

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2023年4月の実装に向けて、がんに限らずすべての診療科で、患者さんがスムーズに受診できるシステムを現在構築しています。このシステムには、診察や治療など各プロセスにかかる時間が過去の情報をもとにデータ化されています。そして診察予定時刻の予約が入ったら、「いつ病院に到着すれば待ち時間が発生しないか」を逆算してご案内できるのが特徴です。患者さんは本来行きたくない場所に来ているのだから、そもそも待つのが当たり前なのはおかしいのではないか。そう考え、待たせず帰る時間も読める病院を一丸となってめざしています。実は本システムは、私が在籍している糖尿病センターで一足先に導入したもの。さらに2022年からは、開業医の先生からのご紹介で受診した初診の患者さんにも限定的に適用しています。そこで得たノウハウや手応えも生かし、院内全体で「待たせない」という意識を高く持ちながら準備を進めている最中です。

同院の糖尿病センターの特徴や、治療における強みを伺います。

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糖尿病は長く付き合わなければならない病気です。そのため薬の処方だけでなく、患者さんの生活に大きく踏み込み、食事や運動を含めた療養の相談にも乗る必要があります。しかしそれらを開業医の先生お一人で行うのは困難ですので、半年に一度、当院が合併症の有無や薬の妥当性をチェックしたり、栄養・療養のアドバイスを実施したりする「地域連携パス」を活用しています。専門性が問われる部分を当院が担当・結果を共有しますので、地域の先生方にも安心とメリットを感じていただけるのではないでしょうか。また、当院の糖尿病センターには待合・診察・採血室や糖尿病教室、栄養・療養相談室が集約され、一つのクリニックのように機能しています。各部屋が物理的に近いからこそ職種間の連携が円滑で、患者さんの動線も短く済むのが強みです。わずかな待ち時間を使って管理栄養士が栄養相談を行うことも可能で、非常に効率的な治療を実現できています。

糖尿病以外にも、注力している治療・分野はありますか?

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2代前の病院長の専門が脊椎外科ということもあって、整形外科領域では現在も多くの患者さんを診療しており、骨粗しょう性脊椎椎体骨折に対する経皮的後弯矯正術(BKP)という低侵襲手術を早くから開始した歴史もあります。心臓血管外科では、足の血管が動脈硬化によって狭くなる末梢動脈閉塞症に対し、膝下の血管の移植術に取り組んでいるのが特徴です。通常は膝より上が手術の対象なのですが、糖尿病患者さんが多い当院では膝より下の血管が詰まるケースが多々あります。そのため心臓血管外科の先生方は膝下へのアプローチの必要性を日々感じており、果敢に挑戦しているのです。実績はもちろんですが、何よりその熱意が素晴らしいと思いますね。ほかにも大腸がんや鼠径ヘルニアの手術実績が豊富にあり、急性の胆囊炎においては、外科の先生方が夜間であっても当日中に手術を実行しようと動くのが私の誇りです。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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現在8階建ての新棟を建設中で、来春オープン予定です。よりスムーズな救急医療のためにオペ室を増やし、手術支援ロボットの導入を検討しているほか、急を要する症例にも迅速に対応できるよう血管造影室やICU、HCU、内視鏡部門を同じフロアに設置し、数十秒で移動できる設計にしました。さらに屋上にヘリポートを造り、到着後すぐにエレベーターで救急エリアに降りられるようにしたのも特徴です。患者さんが当院をいきなり受診する機会は少なくとも、皆さんがかかりつけの先生から大きな病院を紹介される際、「ここに行きたい」と思われるように日々努力したいですね。また、われわれは「どうすれば喜ばれるか」を日夜考えています。病気を治す行為は決して楽しみではありませんが、健康を守ることはその方の家庭の幸福につながると思うのです。「自分の仕事は患者さんのご家族の幸せを取り戻すこと」という意識で、熱意を持って対応させていただきます。

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石田 和史 病院長

1986年広島大学医学部卒業。同大学病院で2年間の内科研修を受けた後、1988年4月より糖尿病の専門家をめざしJA広島総合病院に勤務。以降、糖尿病のスペシャリストである医師や糖尿病療養を行うスタッフに囲まれながら長年研鑽し、2013年2月には糖尿病センターを開設。2022年4月より現職。専門分野は糖尿病代謝内科。日本糖尿病学会糖尿病専門医。

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