全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年4月19日現在)

  1. TOP
  2. 広島県
  3. 広島市安佐北区
  4. あき亀山駅
  5. 地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立北部医療センター安佐市民病院
  6. 土手 慶五 病院長

地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立北部医療センター安佐市民病院

(広島県 広島市安佐北区)

土手 慶五 病院長

最終更新日:2022/10/12

MainMain

女性第一で急性期医療と地域包括ケアを実現

1980年から約40年にわたり地域医療を担ってきた安佐市民病院が2022年5月にリニューアル。一般病棟414床、精神病棟20床を持つ「広島市立北部医療センター安佐市民病院」として新たな門出を迎えた。ロボット支援手術によるがん治療やがん通院治療に取り組むほか、AIを取り入れた内視鏡検査、医療と介護の一体化に備えた救急医療など、広島県北西部の高度急性期医療を担っている。加えて治療を終えた患者が地域で安心して暮らすための地域包括ケアにも注力。女性ファーストの職場づくりをコンセプトに、休憩室やロッカーを徹底的に整備するなど、人材面からも病院運営の持続可能性を追求している。土手慶五病院長は「地域包括ケアなくして高度急性期医療は成り立たないというのが持論。そのためにも笑顔で患者さんを支えてくれる職員を確保し、高度な医療はもちろん、断らない救急医療を地域の皆さんに提供していきたい」と話している。そんな土手病院長に、病院のリニューアルに際して果たすべき役割をはじめ、特徴や今後の展望などについて詳しく話を聞いた。(取材日2022年8月5日)

リニューアルに伴い、改めて地域での役割をお聞かせください。

20221003 1

当院は周辺の病院を巻き込み、再編という形でリニューアルを果たしました。地域医療構想に伴い、もともと病院があった場所には地域包括ケア病棟82床、緩和ケア病棟20床の安佐医師会病院ができ、434床の高度急性期医療に特化した病院として開院しました。北部医療センターという名前を冠しているように、広島県北西部の医療を担うため、がん手術に対応した手術支援ロボットを2台備えているほか、ハイブリッド手術室、整形外科のロボット手術、AIの診断補助を取り入れた内視鏡と設備を充実。加えてスマートフォンにインストールした専用アプリで自動チェックインできるなど、デジタル化も進めていますが、ある種これらの取り組みは患者さんのためには当たり前のこと。それ以上に病院を維持するためには医療、そして患者さんを支える人が重要になるため、職員ファースト、特に女性が働きやすい職場づくりは病院づくりのコンセプトの一つになっています。

女性のための病院づくりについて詳しく教えてください。

20221003 2

当院には「地域の基幹病院として、患者の皆さんの利益のために、愛と誠の精神、そして誇りをもって安全で質の高い医療を提供する」という理念があります。もちろんこれは患者さん第一の視点であって、患者さんと接する職員が気持ち良く働くことができなければ良い医療を提供することはできません。実際、当院で働く職員のうち76%は女性、医師も全体の21%は女性です。その女性が働きやすい職場だということが前提で、高度な急性期医療が可能になりますし、救急医療にも対応できます。そのため院内の特に景観が良い場所に職員食堂を作り、リラックスして休憩が取れる環境を整備。また女性職員が休憩するスペースには必ずパウダールームを備えているほか、ロッカーを広く取ったり私物用の小さな物入れを作ったりしました。医療の第一線で患者さんと接する女性が笑顔になることで、結果として理念でもある愛と誠の実践につながるのだと思っています。

貴院の診療の特徴についてもお聞かせいただけますか?

3

大きな特徴となっているのは整形外科。中でも脊椎の手術は歴史的に知られており、全国から患者さんがいらっしゃいますし、インドネシアや韓国といった海外の医師たちが見学に来ています。また高度急性期医療を担う病院として、がん治療には力を入れています。前立腺、婦人科系、消化器、膵臓などのがんでロボット支援手術を行い、通院治療用の施設を作って化学療法、放射線治療、緩和ケア、ゲノム解析によるテーラードメディスンの提供に取り組んでいます。そしてもう一つは救急医療。これまでの1〜3次といった縦割りの救急医療体制は新型コロナウイルスの流行によって崩壊しつつあり、心筋梗塞や脳卒中をはじめとした急性期に加え、高齢者単独世帯や高齢者世帯の要請に対応する医療と介護を複合した救急医療に応える必要があります。また遠方に住むキーパーソンと意見を擦り合わせるためにも、病院や診療のデジタル化は欠かせない要素だと思っています。

地域包括ケアにも注力されているそうですね。

20221003 4

私が病院長に就任してから繰り返し伝えていることとして、「地域包括ケアなくして高度急性期医療なし」というキャッチフレーズがあります。どれだけ高度急性期医療で患者さんを治療したとしても、地域包括ケアによって地域に返していく仕組みがなければ、入院期間は長期化してしまい結果として高度急性期医療の機能が停止してしまいます。そのためには患者さんの生活、栄養管理、交通手段の確保、薬の管理など、できることは全力でサポートしていかなければなりません。日本の医療はどんどん細分化されていますが、高度急性期医療と地域包括ケアに関しては分けて考えることはできないというのが持論です。それに治療だけではなく地域で過ごすための支援までをトータルで提供できるということは、患者さん自身や遠くで暮らすご家族にとっても大きな安心材料になるはずです。当院にある先端技術やさまざまな機器は、そのためにあるのですから。

最後に今後の展望を含め読者にメッセージをお願いします。

5

高度な医療を提供しながら地域包括ケアを提供する中で、残すところは町づくりだと思っています。当院は広島市内といっても中心部から約15キロ離れており、現在の能力を維持していくためには働いてくれる女性の確保は大きな課題です。広島は神戸と博多に挟まれた若年層の流出地域ですから、20代、30代の女性が暮らしやすい町にしていきたいですね。また現代の病院で最も足りない人材は看護補助者。ベッドメイクや食事介助、清拭などの仕事は看護師から看護補助者の役割になっています。看護師はより高度な医療業務に専念する流れもありますし、仕事内容は介護とも競合してきます。そういう意味では地域の元気な高齢者の皆さんの協力も必要になってくるでしょう。高度な医療、断らない救急医療、地域包括ケアといった一連の医療を任せていただけるように、ボランティアといった外部の力も活用しながら病院を盛り上げ、持続させていきたいと思います。

Main

土手 慶五 病院長

広島県大竹市生まれ。1983年に広島大学医学部を卒業し、広島市民病院救命救急センターなどに勤務。2004年に安佐市民病院循環器内科主任部長、2020年に同院長に就任。2022年、北部医療センター安佐市民病院設立とともに現職へ。広島大学循環器内科臨床教授、日本循環器学会循環器専門医。

access.png