医療法人信愛会 日比野病院
(広島県 広島市安佐南区)
木矢 克造 院長
最終更新日:2026/02/20


高齢者救急を中心に、幅広く脳疾患を診療
広島市安佐南区にある「日比野病院」は1979年、緑豊かな丘陵地帯に脳神経外科の専門病院として開院。「安心の医療をすべての人に」という理念を掲げ、24時間365日体制で脳疾患の救急医療に対応する。さらに回復期リハビリテーション病床と一般病床、地域包括ケア病床、療養病床も持ち、脳疾患による身体後遺症がある人や、入院治療で体力が低下した人へのリハビリテーション、またリハビリと栄養管理を組み合わせたアプローチや嚥下訓練にも力を入れている。また物忘れや頭痛に特化した外来など、脳の専門性を生かした診療も行う。専門医療を提供する以上に、「地域密着型病院として、地域の人たちを助けたい、高齢者医療に貢献したいという思いが強い」と話す木矢克造院長に、病院の成り立ちや特徴、特色ある取り組み、病院への思いなどたっぷりと話を聞いた。(取材日2026年1月20日)
まずは、病院の成り立ちや特徴を教えてください。

当院は、1979年広島大学病院脳神経外科助教授であった日比野弘道先生が設立した脳神経外科単独の個人病院です。当院がある安佐南区は奥まった中山間地域にありますが、新交通システムなど交通網が整備されたことでアクセスの利便性が向上し、現在はベッドタウンとして人気を集め、市内でも特に人口が多いエリアです。しかし設立当時は非常に田舎で山間部に医療機関が足りておらず、特に脳卒中の増加に伴い脳神経外科が必要と捉えて開設。以降、今に至るまで「脳疾患」と「救急」を柱とする体制を築いてきました。さらに日比野先生の「医師である前に、まず人間的であれ」という考えから、治療後のリハビリテーションや在宅療養への中継点など「療養」の役割も加わり、ケアミックス型病院として歩みを進めてきました、現在は一般29床、地域包括ケア22床、回復期リハビリ53床、医療療養42床の計146床を備え、介護老人保健施設も併設しています。
こちらの病院の脳神経外科の特徴は?

当院は軽傷~中等症の脳血管障害や頭部外傷などの救急に、24時間365日体制で対応しています。重症例に関しては、安佐市民病院といった高度急性期病院と連携しています。高度な手術をどんどんしていくというより、地域の人たちを助けたいという思いで高齢者医療に貢献したいという考えです。例えば、入院が必要かの判断は病気自体の重さによりますが、それだけではなく患者さんが高齢の場合は一人暮らしであるなど社会的な背景も捉えて判断。治療は初期レベルでも自宅での生活が難しい場合などは入院が容易にできるのが特徴です。またCTやMRIといった検査も迅速に撮れるなど小回りの良さも強み。スタッフに関しても脳疾患を適切に管理できる脳神経外科を専門とする医師がおり、併存する高齢者の病気も内科と連携して総合的に診ることができます。今後も専門性は生かしつつ地域に密着した病院として進んでいきます。
脳神経外科の外来診療にも注力しておられますね。

救急の脳疾患以外に注力している分野としては、軽度認知機能障害(MCI)と頭痛です。まず物忘れに特化した外来では、アルツハイマー病による軽度認知機能障害や軽度認知症に対する抗アミロイドβ抗体薬を用いた治療が可能です。一方、頭痛に特化した外来では、多くの人が悩まされる片頭痛の治療を積極的に行っています。片頭痛は治療薬が非常に進歩しておりますので、痛みは我慢しないでいただきたいですね。その他、てんかんに特化した外来や、脳卒中の後遺症で痙縮が起こって筋肉が硬くなり、リハビリや日常生活がうまくいかないという場合に、注射薬により筋肉を和らげることを図るボツリヌス治療に特化した外来も行っています。脳に関する疾患は症状が多彩で、脳神経外科領域に限らず、さまざまな脳疾患を診られるところも当院の強みです。
リハビリテーション科について教えてください。

リハビリテーション科は、医師2人の他、40人以上の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が勤務しています。他職種との連携も図りながら、身体機能の回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションサービスを提供。さらにリハビリテーションに栄養管理を取り入れた栄養サポートチーム活動も導入しています。数年前からは、摂食・嚥下機能サポートチームも立ち上げて、嚥下内視鏡検査を行い、摂食・嚥下機能向上に向けた取り組みも行うようになりました。加えて近隣の自動車学校と協力して行う自動車運転支援を行っているのは、当院ならではの特色あるサービス。脳疾患により高次脳機能障害が疑われる場合、当院に設置したドライブシミュレーターなどを活用して運転能力評価を行っています。他に、安佐市民病院など高度急性期の病院で手術したばかりの患者さんを受け入れてリハビリを提供するバックベッド的な役割も担っています。
今後の展望、読者へのメッセージをお願いします。

一般的に脳神経外科の病院というのは、救急車で運ばれてきた患者さんを手術して、治療終了後に別の病院へ送り出す役割があります。しかし当院は高度急性期病院と患者さんのご自宅を結ぶ中継地点であり、医療から生活への橋渡しの機能を持つ地域密着型病院です。そのため、今後もより開かれた病院をめざしてクリニックや介護施設との連携をさらに強化し、顔が見える関係を築いていく必要があります。地域にも当院の位置づけを理解していただけるよう、地域包括ケアセンターと連携して、住民の方への認知症対策啓発などに取り組んでいます。そして今後当院の鍵の一つとなるのが「在宅療養支援病院」としての役割です。専門である脳疾患をメインで扱うことはもちろんですが、生活習慣病、心臓・呼吸器疾患、感染症といった内科的な疾患や骨折などを総合的に診ていくことも必要になってきます。スタッフが一丸となってより地域に貢献できる病院をめざしていきます。

木矢 克造 院長
1975年山口大学卒業。1975年広島大学脳神経外科に入局後、脳神経外科の道を歩む。1993年から県立広島病院に勤務。脳腫瘍や脳動脈瘤を中心とした外科的治療に専念。2015年に県立広島病院院長。2019年から現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。日比野病院では、物忘れに悩む人の診療を専門的に行う物忘れに特化した外来を担当。





