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県立広島病院

(広島県 広島市南区)

板本 敏行 院長

最終更新日:2024/04/17

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患者の健康を一番に考えた地域医療を展開

創立以来140年以上にわたって広島県広域の医療を支えてきた「県立広島病院」。がん診療においては手術支援ロボットを活用した外科的なアプローチをはじめ、がん遺伝子パネル検査に基づいた化学療法などを提供。希少がん治療に対応している。また脳心臓血管センターを備え、診療科を横断したチームで脳梗塞や心筋梗塞などの治療にあたるなど、幅広い分野で高度急性期医療を担っている。周産期医療にも注力しており、未熟児や遺伝子異常の乳幼児へ適切な対応ができるほか、各診療科の連携により小児科から一般診療科へのスムーズな移行医療を進めているという。県内の2次・3次救急医療に対応する病院として、ドクターカーを活用し交通事故現場や命の危険のある新生児の救急医療に関わり、地域において大きな存在感を示している。板本敏行院長は「皆さんの健康を一番に考えながら、職員一丸となって地域医療に取り組んでいきたい」と強調する。そんな板本院長に病院の成り立ちをはじめ、理念や特徴的な診療、今後の展望などについて詳しく話を聞いた。(取材日2024年1月22日)

まずは病院の歴史について教えていただけますか?

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当院は1877年に広島市に開設された公立広島病院を前身とし、県民の医療に携わり140年以上の歴史を刻んできました。原爆投下により施設のすべてが灰となりながらも、奇跡的に助かった職員たちが満身創痍の状態で救護活動に取り組んだという記録が残っています。1948年には現在の場所に移り県立広島病院と名称を変えて再出発しました。現在は県立病院として広島県全体を俯瞰した医療を提供しており、患者さんの7割は広島市民が占めていますが、残りの3割は広島県全域、そして近隣県からご来院いただいています。小児の腎臓病や遺伝性疾患、下垂体腫瘍をはじめとした脳外科に関しては、中四国エリアに対応できる医療機関が少ないため、遠方からもいらっしゃっているようです。災害拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、救急医療の一翼を担う医療機関として急性期医療を担っているので、県民に果たしている役割は大きいと考えています。

理念について詳しくお聞かせください。

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当院は「患者さんの権利を尊重し、県民に信頼される病院をめざします」という理念を掲げています。例えば救急医療について言及すると、やはり中には搬送困難事例がありますし、なかなか収容先が決まらない時の最後の砦のつもりで臨んでいます。また当院は感染症指定医療機関ではありませんが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時には早期に患者さんへの対応をスタートしました。人工呼吸器の必要な重症患者さんに関しても積極的に受け入れてきました。いずれも根底にあるのは県民のためという想い。県民の要請に応えるのが私たちの使命ですから。一方で、こちらが最善であると考えた医療が必ずしも患者さんの求める医療であるとは限りません。もちろん推奨すべき治療法は提案しますが、「この治療を受けたい」という患者さんの意志、権利を尊重することも信頼を得るためには欠かせないことだと認識して、医療活動を行うよう心がけています。

特徴的な診療について教えていただけますか?

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当院には手術ができないような進行がんの患者さんを紹介されるケースも多いのですが、がんゲノム医療に基づいた個別医療で適切な治療を提供できるように努めています。また手術支援ロボットを活用したがん治療を行う高度急性期病院でありながら、緩和ケア医療を行っているのは一つの特徴。そのため診断から治療、そして最後の看取りまでを一貫してフォローすることが可能です。化学療法の経験が多い医師が所属しており、小腸がんや平滑筋肉腫、子宮肉腫といった希少がんの患者さんにも対応しています。また脳、心臓、血管に関する疾患に関しては脳外科、心臓血管外科、循環器内科、脳神経内科の4つの診療科が一体となって治療にあたります。脳心臓血管センターとして体制を組むことにより、総合的な対応が可能です。加えて地域の病院・クリニックと連携し、電子カルテの共有を行っていますから、病診連携も非常にスムーズです。

救急医療や周産期医療についても注力されていると伺いました。

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当院は2次・3次救急に対応する広島県の救急医療の要。救急車以外にドクターカーがあり、交通事故などで多数負傷者が出た際にはこちらから医師が出向き対応することが可能です。重篤な状況で新生児が生まれた場合にも、新生児科の医師が臨場して処置を行うこともできます。また、当院には周産期の母子医療を専門とする部門を備えており、周産期医療に関しては得意としているところです。中でも未熟児の診療が多く、600〜700グラムの超未熟児の治療もできますし、遺伝子異常などさまざまなリスクを持って生まれてきたお子さんの対応も可能です。しかし成長の過程で小児科から別の診療科に移行しなければならず、移行医療は一つの社会課題。当院では継続した医療ケアが必要な場合、しっかりと診療科が連携して診療を続けていくことができるので、そこは一つの強みかもしれません。

最後に今後の展望を合わせ皆さんにメッセージをお願いします。

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一つは施設の充実ですね。ハイブリッド手術室を整備して心臓血管手術などの低侵襲治療を進めていくほか、手術支援ロボットを増設してがんの低侵襲治療も進めていきたいと考えています。もう一つは、今後近隣の3つの病院が統合される新病院構想が予定されていますので、それに向けて救急体制を増強していきたいと思います。そうして私たちの理念にあるとおり、県立病院として県民の皆さんに信頼される病院をめざしていきます。また新型コロナウイルス感染症のような不測の事態に対しても積極的に取り組み、県民の皆さんの健康を一番に考えながら職員一丸となって地域医療に取り組んでいきたいと思います。引き続き地域のクリニックや病院の先生方とも密接なネットワークを構築し、当院で適切に急性期治療を行った後は地元へとお返しできる体制をつくっていきますので、安心して受診いただければと思います。

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板本 敏行 院長

1983年広島大学医学部卒。広島大学第2外科に入職し、消化器がんの治療に注力。広島大学大学院先進医療開発科学講座外科学准教授を経て、2009年に県立広島病院に外科部長として赴任。副院長兼消化器センター長などを経て、2021年4月より現職。

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