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医療法人社団楓会 林病院

(広島県 広島市中区)

林 淳二 理事長

最終更新日:2022/10/03

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技術と経験に基づいた指の再接着手術が強み

広島市中区にある「林病院」は、1964年に林淳二理事長の父が開設して以来、60年近く地域医療に貢献してきた病院だ。時代とともにその姿を少しずつ変化させ、現在は専門的技術が必要な手外科を強みとする病院へと成長した。中でも指の再接着手術の症例を数多く手がけ、術後の回復を担うリハビリテーション専門スタッフも多数在籍。近隣の医療機関からの紹介患者も多いという。「日本人ならではの感性や美意識は世界に誇るべきセンス」と語る林理事長。手を損傷した患者、高齢者が美しい手を取り戻せるよう、病院一丸となって取り組む。患者だけでなく、ともに働くスタッフに対しても謙虚な姿勢を貫く林理事長に、病院の歴史から手外科の特徴、リハビリの重要性までじっくり聞いた。(取材日2022年7月22日)

始めに、病院の歴史や理念を伺います。

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当院の前身は、私の父が1964年に開設した外科病院です。消化器外科医師の父は、当時多かった胃がんの手術を専門に行う傍ら、時代背景もあり産婦人科も標榜しておりました。昔ながらの成り立ちの当院を継承し、2013年の新築移転を経て現在に至ります。私は父の「昼夜を問わず、どんな患者さんが来ても受け入れるように」という教えを大切に、24時間365日体制で手外科診療に取り組んでいます。また従業員には「人の喜びを自分の喜び以上に感じられる医療人になってほしい」との旨を理念として伝えています。特に手外科のリハビリテーションでは患者さんの協力が不可欠で、痛みを我慢して手を動かしていただけるよう、目線を合わせて二人三脚で治療に臨む姿勢が大切なのです。

手外科診療の特徴や、扱う症例について詳しく教えてください。

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手外科では広島県西部の救急治療を中心に、腱鞘炎や手根管症候群、骨折などに対応しています。中でも、切断された指の再接着手術の実績が豊富である点が最大の特徴です。私は広島大学の整形外科教室に入局して以来、大学病院整形外科医局時代や広島三菱病院で指の再接着手術に携わっております。当院では2001年3月から2021年4月までの20年間で412例の指の再接着術を行いました。ありがたいことに、近隣の医療機関からのご紹介も多いですね。当院では手術用の顕微鏡を使って直径0.3mm以上の血管縫合を行い、爪レベルでの切断指の再接着を行います。手外科には繊細な技術が必要で、縫合部位が1mm違うだけでも動き方がまったく異なるので、手術では一切の妥協が許されません。さらにいうと、例え手術が完璧であっても、リハビリテーションで積極的に指を動かさなければ良好な手の指機能は回復できません。

術後のリハビリテーションも重要なのですね。

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手外科の医師だけでなく、リハビリを担当するスタッフたちのスキルと、患者さんのモチベーションを保つためのコミュニケーションも非常に重要です。もともと痛みに敏感な患者さんもおりますし、リハビリを無理に行うと「痛い」という感覚が脳に強く刻まれ、過剰に反応してしまう恐れもあります。悪化すると風が吹いたり乾燥したりするだけでも痛みを感じ、手を動かさなくなってしまいますので、注意しながらプログラムを進めなければなりません。当院では理学療法士や作業療法士があわせて23人勤務しており、患者さんと1対1で各種リハビリテーションを実施しています。ここまで人員体制を整えている理由は、特に手外科患者は1対1のリハビリに十分な時間をかけないと良好な回復が得られない状況を勤務医時代に目の当たりにしたことがあるからです。51床の規模の病院にしては、十分過ぎるメンバーがそろっているのではないでしょうか。

近年多い疾患や、手以外の整形外科診療の強みはありますか?

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私は約40年ほど手外科で診療してきましたが、最近は機械の技術や安全性が向上したため、外傷が減ったと感じています。逆に、母指CM関節症やへバーデン結節といった変形性関節症の治療が主流になってきていますね。これらは加齢に伴う変化によって生じる退行性変性で、外来診療でも高齢の患者さんが多くご来院されます。手指のへバーデン結節は、リハビリを根気強く続けることで痛みの緩和や指の形の改善が見込めます。そのため、当院でもリハビリはもちろん、必要に応じて注射を用いた治療や手術も実施し、1日も早い改善をめざしています。手外科以外の整形外科では、脊椎・脊髄病を専門とする医師が脊椎疾患の手術を担当しているのが強みです。複数の病院で数多の手術を経験し、綿密な治療計画を立てるドクターです。そして何より、患者さんからも医療者からも慕われている、とても魅力な人柄のドクターですので、私も安心して手術をお任せしています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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当院では100人を診療する際、1対1の時間を100人分確保するという考え方をします。そして、従業員には自らの仕事に自信と誇りを持ってほしい。私ができるのは手術のみで、リハビリスタッフや看護師など皆の力が不可欠なのですから。また、医療人として常に謙虚であってほしい。このことを教えてくれたのは私の師匠の津下健哉先生です。実績を声高にアピールすることなく、優れた手術成績をコツコツと論文・学会で発表することにより世界で尊敬を集めた先生に倣い、当院では互いの仕事に敬意を払い全員が敬語で話をします。そんな環境の中、私たちは「指の痛みや変形は年だから仕方がない」と言われた手を再びきれいにしたいと力を尽くしています。日本人の美的好奇心は世界に誇れる素晴らしいもの。多くの方に「いつまでも美しくありたい」という気持ちを持ち続けてほしいと思います。以前に治療を断られてしまった方もぜひお越しください。

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林 淳二 理事長

1979年広島大学医学部卒業。広島大学病院、松山赤十字病院、広島県立障害者リハビリテーションセンター、広島三菱病院などを経て、1999年に林病院の院長に就任。2003年の医療法人化とともに現職に就く。2013年には同院を新築し、現在地へ移転。自身の専門である手外科において、切断された指の再接着手術に力を注ぐ。日本整形外科学会整形外科専門医。

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