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社会医療法人生長会 阪南市民病院

(大阪府 阪南市)

藤本 尚 病院長

最終更新日:2025/12/02

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南泉州の住民を支える温かな医療拠点

2011年4月、指定管理者制度の導入により新しい一歩を踏み出した「阪南市民病院」。長年にわたり地域に根づく公立病院としての親しみやすさを受け継ぎながら、患者に寄り添った医療を提供できる環境を整備している。大阪府の南部において、7床のHCU、42床の回復期リハビリテーション病床を含む185床を有し、亜急性期から回復期まで一貫した診療を展開。総合診療を中心に、整形外科では機能回復をサポートするほか、消化器内科では胃・大腸・肝胆膵の診療など、高齢化が進む地域の医療ニーズに応えた幅広い領域に対応。2022年にはロボティックアーム手術支援システムを導入し、精度を追求した関節手術にも注力している。さらに、消化器がんを中心に集学的治療を行う腫瘍外科センターを設置。外科・内科の医師が連携し、治療から再発予防、療養支援まで一貫して患者を支える体制を構築する。2023年からは特定行為を行う看護師の育成にも着手し、地域全体で切れ目のない医療を支える仕組みづくりも進める。「24時間365日体制で、地域に寄り添う医療を担い続けたい」と話す藤本尚院長に、詳しい話を聞いた。(取材日2025年10月29日)

病院の成り立ちや地域での役割について教えてください。

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当院は2011年4月、指定管理者制度の導入により「阪南市立病院」から「社会医療法人生長会阪南市民病院」として新たな歩みを始めました。かつて公立病院として長く地域に親しまれてきた信頼を大切にしながら、安心でき温かみのある医療を提供できるよう体制を整えています。大阪府の南部に位置し、すぐ隣は和歌山県。農漁村の雰囲気を残す地域で、地理的にも両県の医療をつなぐ役割を担っています。近隣には高度急性期医療を担う「りんくう総合医療センター」がございますので、当院では患者さんにとってより身近な亜急性期から回復期までの一貫した診療を中心に行っています。地域の皆さんに「優しく、丁寧で、温かい医療」を届けることを大切に、今後も24時間365日体制で二次救急を担いながら、安心して頼っていただける病院づくりを進めていきます。

注力している診療についてお聞かせください。

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当院は185床のうち7床がHCU、42床が回復期リハビリ病床で、地域の医療ニーズに合わせて診療科の強弱をつけた構成になっています。高齢化が進む地域でありますので、まず総合診療で全身を幅広く診ること、そして整形外科による機能回復や消化器疾患の治療が特に求められています。中でも消化器内科は、南泉州地区で専門施設が少ないという背景もあり、当科では常勤医師3人以上による診療体制を5年以上にわたって継続しています。胃や大腸、肝臓、胆管、膵臓など幅広い疾患に対応し、内視鏡検査をはじめ重症疾患の診療も行っています。また総合診療部門では、発熱や咳などの一般内科疾患を中心に、必要に応じて各専門科につなげる地域の窓口としての役割を大切にしています。地域の皆さんにとって身近な医療機関として、限られた病床の中でも実際に求められている医療をしっかりと届けていきたいと考えています。

整形外科疾患や腫瘍外科疾患へも積極的に取り組まれています。

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整形外科センターは2019年4月、近畿大学医学部整形外科の関連施設としてスタートしました。人工関節センターも併設し、股関節や膝関節の置換術に力を入れています。2022年6月にはロボティックアーム手術支援システムを導入し、精度を追求した手術にも尽力しています。計画外の動きを制御できる仕組みで、より安定した人工関節手術をめざせるようになりました。また腫瘍外科センターでは消化器外科と消化器内科と連携し、消化器がんを中心に集学的治療を行っています。外科、消化器外科などを専門とする医師による診療体制を整え、治療だけでなく、治療後の生活や再発予防を含めたサポートにも注力。患者さん同士やご家族の交流を深める「がんサロン」や院内外の訪問看護ステーションとの連携など、切れ目のないがん診療体制を構築することで、地域の皆さんに安心して治療を受けていただけるような環境を整えています。

特定行為を行う看護師の育成にも注力されています。

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2023年度から特定行為を行う看護師の育成に本格的に取り組んでいます。特定行為を行う看護師は、医師の到着を待たずに、あらかじめ定められた手順書に基づいて適切な処置を行えるのが特徴です。これからの地域医療では、医師だけでなく看護師も含めたチームで質の高い医療を提供することが欠かせません。そのため当院では、まず院内で教育体制を整え、ノウハウを蓄積。現在は地域の訪問看護ステーションなど、院外からのトレーニングも受け入れています。まだ取り組みは2年目で、年間4人ほどと少人数ですが、時間と費用をかけながら地道に育成を進めています。将来的に特定行為を行う看護師が増えれば、医師が不在の場面でも迅速かつ適切な対応が可能となり、不要な救急搬送の削減や在宅医療の安心につながるでしょう。地域のどこにいても切れ目のない医療を届けられる体制をめざしています。

今後の展望や読者へのメッセージもお願いします。

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私たちは「地域に寄り添う医療」を何より大切にし、日々の診療に取り組んでいます。24時間365日の体制で地域の二次救急を担うことはもちろん、小児科などなくてはならない診療科も今後も継続して提供していきたいと考えています。一方で、医療を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、経営面でも決して容易な時代ではありません。その中で、どうすれば持続的に、そして質の高い医療を提供し続けられるかが大きな課題です。その答えの一つが、特定行為をはじめとする看護師の育成など、人材の力を最大限に生かす仕組みづくりだと考えています。地域の医療ネットワークの中で、当院の役割をより明確にし、責任をもって遂行していきたいと思います。これからも地域の皆さんに「安心して受診できる病院」と感じていただけるよう、土曜診療や市民講座など身近に感じてもらえる取り組みを続けてまいります。どうか温かく見守っていただければ幸いです。

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藤本 尚 病院長

1984年和歌山県立医科大学卒業。同大学附属病院での初期研修を経て、和歌山県立医科大学附属病院紀北分院、国立療養所和歌山病院などで呼吸器・感染症診療に従事。その後、和歌山県立医科大学救急集中治療部に在籍し、幅広く全身管理を学ぶ。2000年に医療法人生長会に入職し、2010年より現職。現在も外来診療にあたり、患者が笑顔で帰れる診療を心がけている。

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