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社会医療法人信愛会 交野病院

(大阪府 交野市)

寳子丸 稔 院長

最終更新日:2021/10/05

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脊髄脊椎センターを軸に質の高い診療を提供

生駒山地から淀川へと流れる天の川のほとりにある交野病院。交野市の急性期医療を担う医療機関として歴史を重ねてきた同院は、2015年の新築移転を機に、脊椎脊髄疾患の診療を開始した。現在、同院の脊椎脊髄センターには寳子丸稔院長をはじめ、脊椎脊髄疾患を専門とする9人の医師が在籍し、高度な技術と豊富な知識・経験に基づいた質の高い診療を提供している。特に手術では、切開や出血が少なく、患者の負担が少ない手術法を積極的に導入し、熟練の手技により短時間で実施。また術前後の看護やリハビリテーションでは、看護師やスタッフが専門的な観点をもち、患者のモチベーションを支えながら丁寧にサポートする姿がある。「何となく怖い」と思われがちな脊髄脊椎の手術ではあるが、同院の治療実績が徐々に知られるようになり、今日では全国各地から患者が訪れているとのこと。そこで同病院と脊椎脊髄センターの診療内容や特色、今後の展望について、寳子丸院長に話を聞いた。(取材日2021年9月7日)

こちらの歩みと地域における役割を教えてください。

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当院は1965年に交野市駅前で開業、急性期病院として、内科、外科、脳神経外科、整形外科を中心に救急搬送を含む急性期医療を担っています。また、地域の介護老人保健施設や療養型病院と積極的に連携し、急性期症状のある患者さんを受け入れています。現在も新型コロナウイルス病棟を設け、大阪府内の他の医療機関と連携しながら診療を行っています。急性期医療以外にも、地元からのニーズに応じ、人工透析やがんの外来化学療法に取り組んできました。その後、2015年には施設の規模や利便性を高めようと現在の場所へ新築移転を果たし、病床数も回復期リハビリテーション病棟の35床を加え208床へ増床。また、移転を機に脊椎脊髄センターを併設し、診療を開始しました。私が脊椎・脊髄外科を専門としていることもあり、脊椎脊髄センターでは専門性の高い診療を提供したいという強い思いがあり、信頼できる医師を招いて診療環境を整えてきました。

脊椎脊髄センターでは、どのような疾患を診療していますか。

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首から腰へと連なる背骨、つまり脊椎やその間にある椎間板が変形したり潰れたり、脊椎の中を通る脊髄に腫瘍ができると、脊髄や神経が圧迫され、首や腰の痛み、手足の痛みやしびれ、歩行困難などの症状が起こります。脊椎の異常は外傷でも生じますが、脊椎脊髄センターで特に患者さんが多い頸椎症性脊髄症と腰部脊柱管狭窄症は、加齢に伴って起こりやすくなります。首の病気としては頸部脊柱管狭窄症や頸椎椎間板ヘルニア、変形性頸椎症や後縦靭帯骨化症などがあり、腰で多いのは腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどですね。当院では腰の患者さんが6割、頸部つまり首の患者さんが4割で、首の患者さんも比較的多いのが特徴です。これは、症状が腰や歩行に出ていても、首から腰まですべて調べてみると、首に問題が見つかることがしばしばあるためです。そこで、診察では背骨を総合的に確認して、原因を見落とすことなく把握するように努めています。

脊椎脊髄疾患の手術には、さまざまな術式があるそうですね。

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脊椎脊髄疾患では、痛みの除去のための投薬や生活改善などの保存療法、手術療法、そしてリハビリテーションの3つが治療の柱であり、当院では主に手術とリハビリを行っています。手術には、脊髄や神経に加わっている圧迫を取るための除圧術と、脊椎の不安定さや変形を改善するための固定術、腫瘍の摘出術があり、患部や病態に応じた術式が開発されています。ところで手術は一般的に、執刀者が得意とする術式で行われる傾向があります。しかし当院では術者の都合ではなく、患者さんの負担ができるだけ軽い術式を選択しています。例えば頸椎症性脊髄症であれば小皮切頸椎椎弓形成術を、また腰部脊柱管狭窄症であれば、筋肉の剥離を最小限にして除圧を行う術式なども多数実施しています。これらの術式は筋肉や皮膚の切開部分が短いので、出血がわずかですし術後の痛みも軽くなりやすく、リハビリをスムーズに始められますし、早期の社会復帰にもつながるのです。

患者さんに適した手術ができるのはなぜですか?

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脊椎脊髄センターには現在、脊椎脊髄疾患を専門とする9人の医師が所属しています。どの医師も、多くの術式を習得していますし、それぞれがさらに脳神経外科や整形外科、内視鏡といった専門分野をもっています。ですので、術式を決める際には医師間で多様な専門性に基づいたディスカッションができますし、必要に応じて1件の手術で複数の医師が執刀することもあります。高い専門性とマンパワーで、各患者さんに適した術式を選び、安全面にも配慮して実施できる、これが当院の強みです。また、看護師やリハビリのスタッフも、多くの脊椎脊髄疾患患者さんと向き合ってきた経験から、術後のケアや合併症の看護など専門的な対応を学び、患者さんを支えてモチベーションを高めてくれています。さらに、先進の手術機器がそろう5つの手術室や広く見晴らしの良いリハビリテーション室など充実した環境も、質の高い治療につながっています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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まず、研究を通じて診療の質をより高めていきたいですね。例えば、スマートフォンでリハビリでの歩行の様子を撮影して解析し、歩行の改善具合を定量化する研究を始めています。リハビリの成果を数値などで見られれば、患者さんの意欲も高まるでしょう。手術も今の内容で満足するのではなく、研究データに基づいてより良い術式へと改良していきたいのです。それから、当院の脊椎脊髄センターでは遠方の方向けのオンライン診療や、脊椎の検診なども実施しています。首や腰、手足の症状を「年だから仕方がない」と諦めている方は多いと思いますが、治療で良くなる場合もありますので、ぜひ気軽に相談してほしいですね。さらに、背骨の病気は、実は生活習慣病でもあります。長年の姿勢異常や運動不足、冷え、食事などが関係しますので、将来的には予防につながる情報発信や、姿勢異常などを改善できるような仕組みづくりも行いたいと考えています。

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寳子丸 稔 院長

広島県出身。1981年京都大学医学部を卒業後、同脳神経外科に入局。カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)留学を経て1996年から京都大学脳神経外科講師、1999年より大津市民病院脳神経外科診療部長。2013年より畷生会脳神経外科病院の信愛会脊椎脊髄センター長に着任、2016年より交野病院院長を兼任。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本脊髄外科学会役員、日本脊椎・脊髄神経手術手技学会理事。

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