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医療法人渡辺会 渡辺病院

(大阪府 東大阪市)

渡辺 千絵 理事長

最終更新日:2025/11/26

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治療を必要とする長期療養の入院患者に対応

「渡辺病院」は、1962年の開院から60年以上にわたり地域の健康を支え続けている。2002年には、すべての病床を「医療療養型病床」へと刷新。急性期の治療を終えてさらに治療・入院が必要な患者に対して、本人や家族の意向を尊重した医療の提供をめざしている。地元はもとより奈良や北摂など、遠方の医療機関からも患者の転院を受け入れている。筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄損傷、難病指定疾患などの患者の治療に積極的に応じ、入院患者の半数近くが人工呼吸器を使用している。事故による受傷で自発呼吸が難しくなった患者の中には、医師による呼吸管理や人工呼吸器の調整により、「離脱」と呼ばれる人工呼吸器を外せる状態へと回復が見込めるケースもあるそうだ。人工呼吸器を必要とする患者に対してもシャワー浴を提供することで、きめ細かく皮膚の管理を行うなど、入院期間をできるだけ快適に過ごしてもらえるよう日常的なケアにも力を入れている。「患者さまとご家族さまに寄り添った医療を提供したい」と語る渡辺千絵理事長に、医療療養型病院としての同院の診療ポリシーや特色ある取り組みなどについて話を聞いた。(取材日2025年9月8日)

こちらは、すべての病床が医療療養型ですね。

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医療療養型病床は急性期の治療が一段落したものの、その後も入院が必要な患者さまを長期にわたり診ていくための病床です。脳外科疾患や血液がんを含むがん疾患、ALSのような難病疾患、肺炎を繰り返すような廃用症候群など患者さまの疾患はさまざまで、寝たきりで治療が必要な方がほとんどです。胸腔ドレーン、腹腔ドレーン、腎臓の外ろうチューブが入っている患者さまもいらっしゃり、ドレーンやチューブの定期交換に対応しているのも特徴です。急性期の治療が完了していない患者さまもおられるため、転院依頼の多い病院には月に1回ほど足を運び主治医とお話しするようにしています。特に重症の方については当院で受け入れ可能かどうか判断する必要があるため、検査画像なども見ながら今後の治療方針も含めて相談するための機会となっています。ドクター同士が直接話をすることで、患者さまにより良い医療、介護を提供できるのではないかと考えています。

人工呼吸器を装着している患者さまが多いと伺いました。

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そうですね、当院には人工呼吸器を必要とする患者さまが多く来られます。一人ひとりの患者さまの呼吸状態に合わせて、医師がきちんと人工呼吸器の管理を行います。当院への転院時には人工呼吸器が必要な場合でも、徐々に呼吸機能の改善や、人工呼吸器を外せる「離脱」と呼ばれる状態まで回復が見込める可能性があります。最近は受傷してから数週間で救急病院から転院して来られる方が多いです。そういった患者さまの場合は離脱状態まで回復することが望める可能性があるため、医師が随時患者さまの状態を観察し、患者さまの状態に合わせて人工呼吸器の設定やチューブの種類を変更して離脱をめざします。ただし、あくまで慎重に進めなければなりません。そのため、ベッドサイドで血中の酸素濃度などを測定できる血液ガス分析器などを導入して、患者さまの状態をきちんと把握し、細かな調整を繰り返して徐々にステップアップをめざします。

入院患者さまの日常的なケアにも注力されています。

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入院期間中はできるだけ快適に過ごしていただけるよう、人工呼吸器を装着している患者さまにもシャワー浴を提供しています。精密機械は濡らせないため、医師が手動の器具で呼吸を調整しながらシャワーを浴びていただきます。人工呼吸器の患者さまには、お体を拭く「清拭」で対応するのが一般的です。しかし私自身は、3回の清拭より1回のシャワーのほうが患者さまにとって良いと考え、積極的にシャワー浴を取り入れました。長期入院中の方の皮膚トラブルの改善につなげたいと思っています。また床ずれへの対応は、転院前から床ずれのある方、転院後に床ずれができる方がいらっしゃいます。そういった方へは栄養状態を管理しながら、バック療法を提供し、症状改善に努めています。こうした取り組みの結果、他病院から当院へ見学に来られた方から「患者さまをとても清潔に保たれていますね」と褒めていただくこともあり、とてもうれしいですし励みになります。

看護師さんなどスタッフさんの役割も大きいですね。

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人工呼吸器の患者さまの対応には専門的な知識や経験が求められます。そのため、適切なケアを提供するための知識を持った経験豊富な看護師が多いです。医師と積極的に話せる環境を整え、スタッフのレベル向上のために勉強会も開催しています。人工呼吸器の患者さま以外でも、意識はしっかりしていても会話ができない方もいらっしゃるので、口の動きを読む、筆談するなど、患者さまに合わせた方法でコミュニケーションを取ってくれるのでとても心強いです。さらに皮膚の状態にも日頃から気をつけ、少しでも変化があった場合は医師に報告してくれるので、迅速な対応がきめ細かなケアの提供につながっているのだと思います。また、事故等に遭ってからそれほど間もなく救急病院から来られた患者さまのご家族さまの場合、ショックを受けられていることが多いです。看護師やスタッフから患者さまの周囲の方へ、不安軽減に少しでも役立つようお声がけを心がけています。

読者や地域の方にメッセージをお願いします。

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医療療養型の当院は、終わりを待つ場所ではなく、元気を取り戻す見込みがある方については退院をめざして治療を提供する場所です。疾患や患者さんの状態によっては、お住まいの近くで希望される医療を受けられない場合もあるため、遠方の患者さんも遠慮なくご相談ください。入院期間の制限もなく、医療を必要とされる患者さんは期限を設けることなく、診させていただきます。長期療養型の病院というと内科的な医療が中心と思われがちですが、必要な場合には外科的な治療にも対応しているのが特徴です。人工呼吸器を要する患者さんの疾患は本当にさまざまで、医師にとっては幅広い症例を経験して、知識や技術の充実をめざせる場所でもあると思います。今後は、療養型でありながら、幅広いケースに対して治療を提供できる病院がいっそう強く求められると考えています。急性期医療に近い治療までしっかり対応できる新しい療養型病院が、当院のめざすところです。

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渡辺 千絵 理事長

幼稚園に通っていた頃、野口英世の伝記を読んで医師を志望するようになる。2005年、兵庫医科大学卒業後、急性期病院で消化器外科医として研鑽を積み、2012年より現職。現在は2歳になった子どもと過ごす時間がリフレッシュタイムであり元気の源。スタッフの仕事と子育てとの両立にも配慮を怠らない。医師としてのモットーは「患者さんファースト」。日本外科学会外科専門医。

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