医療法人桜希会 東朋八尾病院
(大阪府 八尾市)
奥田 真義 院長
最終更新日:2025/10/28


チーム力で地域の健康と暮らしを守る
「東朋八尾病院」は1988年の開院以来、時代の変化をしっかりと見据え、地域のニーズに合わせた医療を提供している。94床の病床を擁する院内には、各種検査のためのさまざまな先進設備に加え、ロボット支援手術が行えるオペ室も整備。2020年には人工関節専門の部門を開設し、多数の人工関節手術を手がける。さらに、一般的な外傷の手術にも対応し、地域では整形外科に専門性を持つ病院として広く親しまれている。一方で、消化器、循環器などの内科診療にも注力し、透析患者の負担を軽減すべく、全国でも取り入れている医療機関が少ないオーバーナイト透析を導入。血液浄化センターも開設して腎不全などへの治療を提供するとともに、透析患者用の病床も用意し、通院・入院の双方で人工透析を実施できる環境を整えている。同院の人工関節センター長も兼務し、「手術をすれば終わりではない」と、長く患者に寄り添う医療を信条とする奥田真義院長に、同院が注力する治療の特徴やグループ内施設と連携した途切れのない対応などについて話を聞いた。(取材日2025年8月18日)
人工関節の手術に積極的に取り組まれていますね。

2020年に人工関節センターを開設し、人工関節のロボット支援手術も導入しました。現在でも多数の手術を手がけています。人工関節手術は、変形性膝関節症、変形性股関節症、関節リウマチ、骨頭壊死など、関節が破壊されてしまう疾患に対する治療法です。通常は保存療法で治療を始めますが、保存療法で改善が見込めない患者さんの場合は、人工関節手術を検討します。人員や設備の関係で対応できる病院が限られているため、地域の他の病院、クリニックからの紹介で来院される患者さんも一定数おられます。とはいえ、現在のところ医療機関からの患者さんは全体の2割程度で、クチコミによる受診がおよそ8割を占めています。地域の美容室とか銭湯、フィットネスジムなどで、お友達やお知り合いに当院の話を聞いて、来院されたという話を私もよく伺います。
術後のリハビリテーションにも注力していると伺いました。

現在、理学療法士、作業療法士など25人が在籍し、当院で手術を受けた患者さんには基本的に当院でリハビリを受けていただきます。手術後、ごく短期間で患者さんを帰宅させる病院もありますが、当院の場合は、ご自身で手すりを持って階段を上がれることを目標に、入院でのリハビリを継続します。退院後の生活の質(QOL)を大きく低下させないためには、ご自宅で一人でも生活を営める状態に戻すことが大切ですからね。個人差はありますが、3週間程度での退院を見込んでいます。人工関節の術後リハビリに対応できる医療機関は少ないのですが、当院のリハビリスタッフは多くの経験を持ち、疾患や治療の特徴をよく理解した上で、各自に適したリハビリプログラムを提供できるのが強みです。退院後も、3ヵ月間程度は週2回くらいの頻度で通院リハビリを受けていただきますが、場合によっては長期間にわたっての通院が必要となるケースもあります。
オーバーナイト透析について教えてください。

夜間透析とも呼ばれ、寝中に7〜8時間かけて透析を行う方式で、夜間に治療を行うため、全国的にも対応可能な医療機関はまだ少ないのが現状です。朝には透析が終わるので、自宅に戻ったり、通勤したりしていただけます。人工透析が必要な患者さんの場合、昼間に週3回、治療だけで毎回4時間程度、通院などを含めるとそれ以上の時間を透析に充てる必要があります。このためお仕事や子育てに支障が生じがちですが、就寝時間を活用して透析を行えば、それ以外の時間を有効活用できるのが利点です。また、昼間の1.5倍程度の時間をかけて透析を行えるため、毎回の透析に伴う体の負担が軽減でき、腎臓のお薬を減らすことが望めるケースも。導入については、安全性を重視し、通常の来院での透析を受けていただき、考えられるリスクを確認した上で、オーバーナイトに移行します。まだ一般的な認知度が低いのですが、希望される患者さんが徐々に増えている状況です。
多様な連携を生かしたチーム医療を提供しておられます。

各自の専門性や強みを生かした連携が欠かせません。内科では内視鏡検査に力を入れており、ほぼ毎日、胃・大腸内視鏡検査に対応しています。例えば、人工関節手術を行った場合、術後の痛み止めの影響で胃にむかつきなどの症状が起こるケースもあります。そういったときに、迅速に内視鏡検査を行うことができます。地域の病院とも連携を取っており、必要と判断した場合は、適した病院に迅速に紹介できるような体制を整えています。一方、グループ内にサービスつき高齢者向け住宅、療養病院、介護老人保健施設などがあります。このため、グループ内で連携し、ご自宅に戻るのが難しい慢性期の患者さん、療養が必要な患者さんなどにも、途切れのない医療・介護サービスを提供できるのも特徴です。
今後の展望をお聞かせください。

人工関節の手術件数については、今後も増加が予想される中、人材の確保、後進の育成が急務で、治療技術の継承にも取り組まなければなりません。このため、全国のドクターを対象に人工関節手術の見学を受け入れているのに加えて、理学療法士についても毎年かなり多くの専門学校生の実習を受け入れています。一方、働く人にとっての職場としての魅力も高めることも大切です。先進的な医療を学べる環境という点では十分に魅力ある職場だと思うので、働き方改革に積極的に取り組み、残業ゼロの実現をめざすほか、頑張りをきちんと評価する制度も整えています。超高齢社会を迎えた今、寝たきりを防ぎ、生活の質を維持するために、今後もスタッフ一丸となったチーム医療の提供に努めることが当院の使命です。医療と介護が一体となって「もしもの時」も「退院後の生活」も、しっかり支えていきます。

奥田 真義 院長
1997年奈良県立医科大学卒業、同大学附属病院、医真会八尾総合病院などで診療経験を積みつつ、2010年にドイツへ留学して人工関節手術を学ぶ。2020年東朋八尾病院整形外科部長、2021年より現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医。根っからのアスリートで、整形外科の医師をめざしたのもバスケットボールのケガがきっかけ。現在も、バスケットボール、フットサル、テニスなどのスポーツで汗を流す。





