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医療法人成和会 ほうせんか病院

(大阪府 茨木市)

岡 博子 院長

最終更新日:2025/04/30

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「その人らしくいられる医療」を慢性期でも

茨木市の中心部から東へ車で15分ほど、勝尾寺川沿いに住宅や企業、農地が混在する穏やかな地域にある「医療法人成和会 ほうせんか病院」。ピンク色の外観が目印だ。2012年から診療を開始し、現在は高齢者を中心に急性期治療を終えた患者を幅広く受け入れている。そんな同院で2014年から院長を務めるのが岡博子先生。「高齢や重い病気だからと簡単に諦めてしまうのではなく、できることを考え、どんな方もその人らしくいられるような医療を行います」と朗らかな笑顔で話す。たとえ看取りを想定して入院した高齢患者であっても、その状況によっては機能改善や在宅復帰をめざすことも可能だという。がん患者が多いという緩和ケアでも、がん以外の治療は適切に行い最期までその人らしく過ごせる時間を大事にするほか、がん治療中の一時的な「レスパイト入院」も可能とのこと。さらに岡院長の専門である肝臓疾患に関しては、専門的な治療も提供する。親しみやすく温かな人柄で患者やスタッフから慕われる岡院長に、「慢性期病院」のイメージとは一味違った同院の取り組みについて、じっくりと話を聞いた。(取材日2025年2月18日)

病院のこれまでの歩みや、診療の内容をご紹介ください。

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当院は、北摂で介護福祉事業を展開する豊泉家グループ初の病院として、2012年に事業譲渡により開業し、2015年には茨木市駅の駅前から現在の場所へ新築移転しました。特徴ある外観や、エントランスホールにある大きな階段は、豊泉家グループの施設に共通するデザインです。私も最初は驚きましたが、今は毎月行うロビーコンサートの会場としても親しまれています。院内は1階に外来やリハビリテーション、検査関係の部門があるほか、レストランやショップ、ゲストルームなどでご家族もゆったり過ごしていただけます。2階は92床の医療療養病棟で、患者さまは長期にわたって医療やケアを必要とされる方が中心です。3階は80床の障がい者施設等一般病棟で、グループ内の「北大阪ほうせんか病院」をはじめ近隣の急性期病院や、他の慢性期病院からの患者さまを受け入れ、慢性期治療を行っています。そして4階にあるのが、48床の緩和ケア病棟です。

緩和ケア病棟では、特色ある取り組みをしているそうですね。

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がんの緩和ケアというと、余命短い方が受けるというイメージがあると思いますし、体調不良があっても積極的な治療は行わない場合もあるようです。しかし当院の緩和ケア病棟では文字どおり、さまざまな痛みや苦しみの緩和をめざします。ですので、がんの進行度や余命を問わず患者さまを受け入れ、痛みが強ければ麻薬などで軽減を図り、腹水がたまっていれば抜き、発熱や感染などがあれば検査もします。がんそのものの治療はしませんが、それ以外の症状は原因を探して治療し、食事や栄養も取りやすいように工夫するなど、患者さまが少しでも快適に過ごせるようにしています。訪問診療を行う先生方と連携して在宅復帰をかなえる患者さまもいらっしゃいますし、積極的ながん治療を続けている患者さまが、「一時的に休息を取りたい」と入院されることも。私が昔から信頼する進藤喜予部長のもと、患者さまにもご家族にも喜んでもらえる病棟になっていると思います。

肝臓疾患については、専門的な治療も行っているとか。

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私はもともと肝がんや肝硬変などの肝臓疾患が専門で、以前の勤務先からついてきてくれた20年来の患者さまも診ています。ですので、当院の外来は週2回の予約制で、内科と外科の慢性期疾患のみですが、肝臓に関しては、肝臓がんの肝動脈化学塞栓療法やラジオ波凝固療法などの専門的な治療も行うことができます。また、かつて多かったB型・C型肝炎は、抗ウイルス薬によって回復が見込める病気になっていますが、後から肝臓がんが出てくることもあり、定期的にCTや超音波で検査して早期治療に進むことが大切です。ここでは私が自分で超音波検査や治療もしています。それから最近気になっているのは、B型やC型の肝炎があるのに抗ウイルス薬で治療をしていないご高齢の方がいらっしゃることです。ご高齢でもできる治療法ですし、もし肝臓がんになっても、肝機能がコントロールできていれば治療はしやすいので、そういった患者さまも診ていきたいですね。

患者さまやご家族と向き合う際に、大事にされていることは?

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当院に転院してくる患者さまの平均年齢は80代半ばで、最近では「感染症や誤嚥性肺炎の治療を終えたけれど、食事が取れず寝たきり」というケースが目立ちます。当院ではそんな方でも諦めず、栄養を少しずつ入れ、口から食べられるように支援し、褥瘡の治療も、と時間をかけて回復をめざします。医師としては「少しでも元気になってもらいたい」のです。最近では延命治療の是非が問われていますが、食べられない人に別の方法で栄養を取ってもらうのは、決して延命治療ではなく、普通の医療行為だと考えていますので、その患者さまにとって良い方法を探し対応しています。80代で「高齢だから」と言われ、半ば諦めながら転院してくる患者さまやご家族もいます。そんな方には「そんなのもったいないでしょう、できることをしましょう」とお話しします。緩和ケアや肝臓がんの治療も同じで、年齢や病気で線を引かず「できる治療はする」を大事にしています。

最後に、地域の先生方や読者に向けてメッセージをお願いします。

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2024年に100回目を迎えたロビーコンサートは、患者さまやご家族だけでなく地域の方にも聴いていただけます。ジャズやクラシック、演歌などさまざまなジャンルの演奏家を、私自身の知り合いを通じて招いています。多くの方に楽しんでいただきたいですし、当院のことを知っていただく機会になればとも思っています。当院自体は慢性期病院という位置づけではありますが、どのような病状であっても簡単には諦めず、できる治療を探して「その人らしく過ごせる時間が少しでも長く続く」ような医療やケアを行ってきました。各病棟では医師やスタッフがこのコンセプトに共鳴し、工夫を凝らしてくれています。また急性期の治療が必要な場合には「北大阪ほうせんか病院」とスムーズな連携が可能です。地域の先生方とは、特に在宅復帰や緩和ケア、肝臓疾患の診療などで連携させていただける場面も多いと思いますので、何かありましたら気軽にお声がけください。

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岡 博子 院長

1978年信州大学医学部卒業。大阪市立大学医学部附属病院第3内科、同生理学第2講座で勤務後、大阪市立総合医療センターで約20年間肝臓疾患の診療に従事。2006年大阪市立十三市民病院副院長。2014年より現職、理事長も務める。2021年より新理事長の就任に伴い、院長専任として診療現場に注力している。「どんな患者さまとも等しく向き合う」診療がモットー。還暦から始めたフルマラソンはすでに47回を数える。

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