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社会医療法人三上会 東香里病院

(大阪府 枚方市)

三上 裕司 理事長

最終更新日:2022/01/19

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身体合併症診療に注力するケアミックス病院

結核療養所を前身とし、65年を超える歴史を持つ「東香里病院」。現在は身体合併症診療に注力する精神科と高い専門性を持つ腎臓内科を中心に、一般病床・精神病床・医療療養病床を有するケアミックス病院として、関西圏はもちろん、四国など遠方からの患者を受け入れている。認知症疾患医療センターにも指定され、認知症の早期発見・診断・治療に力を注ぐほか、認知症患者を支える介護関係者や医師らの支援も行う。介護保険制度などの構築にも携わった経験を持つ三上裕司理事長に話を聞いた。(取材日2021年11月12日)

こちらの病院の歴史と特色を教えてください。

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1954年に結核療養所として開設された当院は、高度経済成長などを背景に必要性が高まった精神科病床を1964年に新設し、結核と精神疾患の各治療を行ってきました。その後、結核患者数が減ったため結核病棟を廃止し、1986年には総合的な医療を提供する病院として進化したほか、訪問看護ステーションや在宅介護支援センターの開設など、時代や患者さんのニーズに合わせて常に変化してきたという歴史があります。また、老朽化が進んだ建物を改築する際に分院化し、主に慢性期を受け持つ東香里第二病院も設立。現在は一般病床60床・精神病床95床・医療療養病床40床の計195床を持つケアミックス病院として、併設する介護老人保健施設「カリタス東香里」、主に慢性期を担う第二病院、在宅を支援する訪問看護ステーションと連携し、急性期から慢性期、在宅までオールラウンドに診療しています。特色は歴史ある精神科と、透析治療が挙げられます。

精神科では身体合併症の受け入れに力を入れていると伺いました。

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精神の病気や認知症の患者さんが透析を受けているケースなど、精神疾患に加え内科疾患やケガなどを合併しているのが身体合併症です。例えば精神疾患のある患者さんが骨折をした場合、短期入院治療の数日であれば問題ないのですが、長く入院する、リハビリテーションを行うとなると一般の病院では対応しきれません。そうした身体合併症の方の受け入れに力を入れています。当院のもう一つの柱である腎臓内科領域の疾患も、精神疾患同様に長く続くもの。当院はその両方を診られる病院として、一般病棟のほかに精神科病棟の中にも別途、透析室を設けています。大阪府内だけなく関西全域、四国といった遠方からも多くの患者さんにご来院いただいております。

新型コロナウイルス感染症対応にも積極的に取り組んできたとか。

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はい。精神科病床の個室を新型コロナウイルス専用病床として受け入れを行いました。またそれと並行して新規で入院される方は、新型コロナウイルス感染の疑いや症状がなくとも検査結果が出るまでの3日間、個室でお過ごしいただくなど管理を徹底してきました。精神科病棟ではマスクをつけられない患者さんも多くいらっしゃいますので、当院内で感染が起こらないよう特に気を使っています。また新型コロナウイルスに感染された透析患者さんを優先的に受け入れるため、個室の透析室を2つ設けて対応したのも当院の新型コロナウイルス専用病床の特徴です。この病床を設けることになったとき、当院では看護師らをはじめスタッフの退職者は出ませんでした。最近は若いスタッフも多いのですが、彼らの医療者としての矜持を垣間見ることができ、たいへんうれしく思いました。

2012年から認知症疾患医療センターの指定を受けています。

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認知症疾患医療センターでは認知症疾患の早期発見、早期診断・治療はもちろん、身体合併症に対する急性期治療、専門的な医療相談を、医療・保健・福祉分野で協力し連携を図りながら実施しています。同時に、地域の医療を担う方、介護関係者へのサポートを積極的に行い、また認知症サポート医の先生方を対象とした研修会を開催するなど、地域における認知症疾患医療を支援する役割も担っています。私は以前、日本医師会で介護保険制度や精神保健を担当する傍ら、認知症の検討会などにもたびたび参加していたんです。当時から「将来的には当院も認知症疾患医療センターにならなければ」と考えていて、しかるべきタイミングで手を挙げ、2012年に指定を受けました。こうした認知症疾患への取り組みに関連し、今後はグループホーム開設なども視野に入れています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

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結核の診療所からスタートした当院では、時代のニーズに合わせて提供する医療を変化させ、現在は超高齢社会の要求に応えられるようケアミックス病院として診療を提供しています。今後、若者はもちろん高齢者も減少していくことが予測される20年後・30年後に向かってさらなる変化が求められますが、遠隔診療の普及、内視鏡治療の拡大、より優れた薬の開発による内科的診療の増加など、医療そのものがどう変わるのかは予想がつきません。柔軟に新しい時代の医療技術や社会の要請に対応しながら発展を図っていきます。当院は身体合併症を診ていることから関西一円、四国からもご来院いただくなど、救急医療から一般入院治療までが完結する非常に広い範囲をカバーすると同時に、地域のかかりつけ医としての機能も有しています。地域および社会のニーズに応え、皆が安心して暮らせる町を支える病院にしていきたいと思います。

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三上 裕司 理事長

1974年大阪大学医学部卒業。大阪大学第一内科腎臓研究室に入局。慢性腎不全の研究臨床に従事。1989年東香里病院院長に就任。1994年9月より現職。大阪府医師会の活動に力を注ぐほか、日本医師会においては、病院、介護保険、精神保健分野を担当し、制度構築に尽力。

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