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市立貝塚病院

(大阪府 貝塚市)

長谷川 順一 病院長

最終更新日:2025/10/31

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健診から緩和ケアまでを担う地域の中核病院

1939年、大阪泉州地区に「町立貝塚病院」として開設された歴史ある公立病院。1943年、市制施行に伴い「市立貝塚病院」に名称を変更し、1996年には249床を擁する現在の建物に改築された。全国的に自治体病院が減少する中、現在も貝塚市直営の中核病院として、地域住民の健康を守り続けている。病院理念は「地域住民を支える良質な医療の提供」。低侵襲外科手術センター、日帰り手術センターなど特色のある部門を設け、地域包括ケア病棟と緩和ケア病棟を備えるなど、高齢化の進む泉州二次医療圏の医療ニーズに応えている。2022年より同院をけん引する長谷川順一病院長は、「良質で高度な専門医療に加え、患者さんの気持ち・悩みをしっかりと見つめる患者さんに寄り添う医療に取り組んでいます」と話す。外科医として自ら執刀に立ち、「人の役に立つ」を実践しながら、地域住民の健康な暮らしを支えるため、地域包括ケアシステムのさらなる充実に努める長谷川病院長に、病院の特色や地域での役割、今後の展望を語ってもらった。(取材日2025年10月6日)

御院の特徴、地域における役割を教えてください。

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当院は大阪府下で4番目に古い公立病院として開院し、1996年の改築を経て現在に至ります。4つの一般急性期病棟と4床の高度急性期(HCU)病床、45床の地域包括ケア病棟、19床の緩和ケア病棟から成る地域の中核病院です。「高度・先進医療」「がん医療」「地域医療」を3本柱に、それぞれの医療の質の改善に取り組みながら地域に根ざした病院運営に力を尽しています。大阪府には8つの二次医療圏があり、当院が位置する泉州二次医療圏は、大阪府下で最も面積が広く、人口密度が低い医療圏です。広域でありながら少子高齢化の影響が顕著な地域特性の中、泉州二次医療圏の基幹病院として、地域の方々が他の医療圏に出向かなくても十分な医療を受けられる体制を整えることが、当院の使命だと考えています。健診から緩和ケアまで、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けていただけるよう「患者さんに寄り添う医療」を実践しています。

特徴のある診療科や力を入れている部門は?

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2008年、地域の産婦人科診療・周産期医療を守ることを目的に、当院とりんくう総合医療センターの産婦人科を統合し「泉州広域母子医療センター」を開設しました。現在は、病院施設を越えて専門医師が診療し、情報を共有することで泉州地域の産科・婦人科をカバーしています。これは高度な医療を提供するということだけではなく、産婦人科医の育成にも大きな役割を担っています。夜間は、三次救急医療機関であるりんくう総合医療センターが産婦人科救急を集約。当院の産婦人科医もりんくう総合医療センターに出向き当直を担当しています。この泉州広域母子医療センターを円滑に運営するためには、医療情報を共有することが必修です。特産品の「水ナス」にちなんだ名称の情報共有システム「なすびんネット」というネットワークシステムを運用することで、地域全体での切れ目のないリアルタイムの医療連携が可能となっています。

女性が安心できる医療体制ですね。

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女性に多いがんとしては、乳がん治療にも力を入れています。2007年に乳がん高度検診・治療センターを設立し、現在は女性医師4人をはじめとする乳腺外科領域の専門医師6人体制で乳がん診療に取り組んでいます。2年前からは乳がんに対するラジオ波治療を導入し、乳房にメスを入れずに焼灼することで乳がん治療を行う局所治療を開始しました。また、乳がん治療と同時に乳房を再建することも形成外科医と連携し、積極的に行っています。当院の特徴の一つに低侵襲治療があります。2018年に低侵襲外科手術センターを立ち上げ、内視鏡、腹腔鏡を中心とした低侵襲治療に注力しています。昨年からは消化器領域のがん、泌尿器領域のがん、婦人科領域のがん治療にロボット支援下手術も導入し、身体への負担を抑えた手術を可能にしています。

地域医療への取り組みや新しい試みなどあればお聞かせください。

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少子高齢化が進むこの地域にとって重要なことの一つに地域医療があり、当院は救急を含めた高齢者医療に力を入れています。そして、介護施設や在宅医療に携わる在宅医との連携をさらに強めようとしています。介護施設とは積極的に協力医療機関の契約を結び、日頃からウェブ会議などのICTを活用することで、さまざまな情報をリアルタイムに共有しています。在宅医療に関しては積極的役割を担う医療機関として泉州医療圏の実情に応じた在宅医療提供体制を構築することで、急変時にも対応しています。当医療圏は広い地域をカバーしているため、日頃から連携体制を構築していることが大切だと考えています。新しい試みとしては、日帰り手術センターにて、腹腔鏡下の鼠径ヘルニア治療を開始しました。これまで大阪市内まで出向いて手術を受けていた長い入院治療が難しい働き盛りの方々にも、ヘルニアに対する日帰り治療を受けていただけるようになりました。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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公立病院の運営が厳しいことは報道でも知られていますが、後ろ向きにならずさまざまなことに挑戦したいと考えています。当院の役割は明確です。急性期医療から在宅支援までを含む地域包括ケアの推進。そして、健診から緩和までの治療を当院で完結できるよう、地域と連携しながら取り組んでいきます。私が大切にしている言葉に「一隅を照らす」という言葉があります。自分が置かれている立場で精一杯努力して光り輝こうとする、その積み重ねが大切であるといった意味です。どんなことにもきちんと取り組んで行く、その気持ちで病院の運営と診療に努め、地域の方々に必要な医療を届けていきたいと思います。

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長谷川 順一 病院長

1986年兵庫医科大学医学部卒業後、大阪大学医学部第一外科に入局。大阪厚生年金病院、国立呉病院、大阪警察病院などを経て、1997年よりテキサス大学研究員。1999年より富田林病院外科医長、大阪大学医学部消化器外科助教、大阪労災病院外科医長、外科部長、副院長を歴任。2021年より市立貝塚病院副院長に就任し、2022年より現職。2014年より大阪大学医学部消化器外科臨床教授を兼任。

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