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特定医療法人健和会 うえだ下田部病院

(大阪府 高槻市)

閔 庚よう 院長

最終更新日:2025/09/02

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地域のコミュニティーホスピタルをめざして

1975年、工場地帯として発展してきた高槻市南部に開院した「うえだ下田部診療所」を前身とし、1988年に「うえだ下田部病院」として再スタートした同院。以来、地域の急性期病院としての役割を担ってきたが、時代の変化に合わせて慢性期医療、地域医療へとかじを切った。現在は、軽症中等症の急性期医療、在宅訪問診療、健康高齢者の自立支援、保護教育支援事業の推進をミッションに掲げ、地域のコミュニティーホスピタルをめざしている。その中核を担うのは、2019年に着任した閔庚よう(みん・こうよう)院長。着任後、1年をかけて電子カルテを導入し、在宅診療を提供する中で、個人情報共有の重要性をあらためて実感したという。「地域の高齢化と今後起きるといわれている南海トラフ地震に対して、当院が果たせる役割は電子カルテを活用した地域の再建です」と熱い想いを語る閔院長。医療分野におけるコモンズ、地域みんなで支え共有する資源や活動拠点となるべく、「うえだ下田部病院にカルテをつくろう運動」を展開。病院の特性を生かし、地域の未来に必要不可欠な存在であるため力を尽くす同院について閔院長に詳しく聞いた。(取材日2025年7月11日)

病院の特徴、地域における役割を教えてください。

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1988年の開院当時は、急性期医療を中心に慢性期も含めすべてに対応していました。時代の流れとともに地域医療のニーズが増してきたことから、現在は、かかりつけ医として紹介状なしでも受診していただけ、一般的な外来診療の後、必要があれば高次医療機関へ紹介。その期間を過ぎれば、当院への再入院や在宅医療を受けていただけるよう提案しています。また、病院に併設するかたちで同法人が運営する介護老人保健施設があるため、スムーズな入居が可能です。患者さんとそのご家族と話し合いながら終末期医療、いわゆる看取りにも取り組み、緩和医療を導入しながら、何が正解なのかを模索しつつ日々の診療にあたっています。また、企業健診を中心に健診部門も強化しながら「うえだ下田部病院にカルテをつくろう運動」に力を入れています。誠実な医療を提供し、地域の皆さまから信頼されるよう努め「地域に必要な病院」であり続けたいと考えています。

「カルテをつくろう運動」について詳しく教えてください。

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当院では、私が着任した2019年から1年かけて電子カルテを導入し、その後の新型コロナウイルス感染症流行時に有効に機能しました。地域の特性をお話しすると、この地域では50年が経過した府営団地の建て替えによって、地域の人々の入れ替わりが想定されています。そして、この15年以内に起こるとされているのが南海トラフ地震です。現在、当院では多くの方々の在宅医療を担い、一人暮らしの高齢者がどこにお住まいなのか、家族の居住先、連絡先はどこなのかなど、病院は利用者の方々を追跡する義務があります。そこで気がついたことは、地域の方々の個人情報を把握しているのは、行政と電子カルテを持つ病院だということ。当院が地域住民のカルテづくりを重視するのは、それらの情報が人口構成の変化や災害後の地域コミュニティーの再建に必要になると考えているからです。電子カルテの情報は、行政の個人情報を補完するような形で機能すると思います。

電子カルテが地域コミュニティーづくりの要となるのですね。

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今、医療分野において「コミュニティーホスピタル(Community Hospital)」という考え方が注目を集めています。これは、病院が地域の暮らしと健康を支える中核的な拠点となることを意味します。病院は単に病気になったときに利用する「医療を提供する場所」にとどまらず、地域社会を作っていく上でどのような役割を果たすよう機能するべきかを考えなくてはいけません。それがコミュニティーホスピタルの概念であり、特定の個人や団体が所有するのではなく、誰でも自由に利用できる共有の場所がコモンズという考え方です。例えば、災害時に当院ができることは、電子カルテ内にある地域の方々の情報を整理し、必要な情報を災害本部に送ることです。その動きが災害からの回復を早めるはずです。当院では、病院の持つ最も重要で、潜在的な特性を生かせる準備を進め、地域社会を構成するために必須の存在・コモンズであることをめざしています。

現在、注力されている医療分野はありますか?

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当院は一昨年、35周年を迎えました。その時に宣言したことは「寝たきりをつくらない医療の提供」です。寝たきりをつくらない医療といえば、スウェーデンですから「高槻市のスウェーデン」がキャッチフレーズです(笑)。そうなるためには3つの条件があります。1つ目は行政の公共的なサービスです。2つ目はできるだけ自分で動いて生活をすること。65歳以上の人は水を1日に1500cc以上飲む、1500kcal以上摂取する、1日2km歩く、そして、3日以内の自然な排尿と排便。この4つが寝たきりにならない条件です。スウェーデンをめざすための3つ目は、病気に苦しむことなく、最期まで元気に生きて寿命を全うすること。穏やかに最期を迎えるための終活に対する考え方や文化の醸成と支援が必要だと考えています。現在、当院には大勢の寝たきり患者さんがいらっしゃいますが、まずは、おむつを外すなど取り組みやすいところから始めています。

今後の展望についてお聞かせください。

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当院では、75歳以上の方の寝たきりを予防する取り組みとして「わんらぶ」というキャンペーンを行っています。これは月に1~2回、健康体操を行いながら自分たちの体のことを評価するもので、理学療法士や薬剤師がチームで取り組んでいます。予防的な観点からは、元気なうちから自立のためのトレーニングやリハビリを行うことが大切です。スポーツクラブへ通ったり、みんなで集まってお茶を飲んだりする文化が必要になってくるでしょう。この先、新しい地域社会が構築される時期が必ず来ます。その時の理想的なかたちが「高槻市のスウェーデン」です。地域の将来を見据え、高槻市南地区において、当院が要になれるような、地域社会を支える組織となれるよう努めていきたいと思います。そして、地域の皆さんには病院の持つカルテの重要性を知っていただき、受診や健診を受けていただきたいと思います。

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閔 庚よう 院長

1979年大阪医科大学卒業後、大学にて2年間の研修を経て埼玉県立がんセンター呼吸器内科に入局。主に呼吸器腫瘍の診療に携わる。大阪医科大学の呼吸器内科を経て15年間市立伊丹病院に勤務し、副院長も務める。2019年より現職。専門分野を呼吸器内科から一般内科、高齢者医療、終末期医療など地域に必要とされる医療分野にシフト。地域における病院の在り方、地域社会づくりの支援、地域コミュニティーの構築を追求。

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