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市立豊中病院

(大阪府 豊中市)

岩橋 博見 病院長

最終更新日:2024/05/13

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豊中市民の健康と安心を支える基幹病院

大阪府北部にある豊中市の医療を支える「市立豊中病院」は、救急、がん、小児・周産期の領域を中心に、豊富な診療科で市民のための医療を提供する総合病院。開院以来、時代とともに発展してきた地域密着型の病院だが、2024年4月からは、新たに「消化器センター」「脳卒中センター」「心臓病センター」「糖尿病センター」「地域周産期母子医療センター」をスタートさせる。多職種の専門スタッフを配置することで、院内の診療体制を強化するとともに、地域の病病連携・病診連携も深めることで、病院の基本理念である「心温かな信頼される医療」の実践をめざす。2023年に就任した岩橋博見病院長は、2019年に内科主任部長として着任後まもなく、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに直面し、第二種感染症指定医療機関として「一人でも多くの患者の受け入れを」と、内科系の各診療科スタッフを一つにまとめて、新型コロナウイルス感染症の診療体制整備に尽力してきた人物。医療を必要とする人はもちろん、医療現場に携わる人にも優しい目を向ける岩橋病院長に、病院の役割やその理念について詳しく話を聞かせてもらった。(取材日2024年3月4日)

まずは病院の理念、地域での役割についてお聞かせください。

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当院は31診療科、病床数563床を備えた豊中市の急性期総合病院です。1944年に「豊中市民病院」として発足、1954年からは「市立豊中病院」と改称。以後地域の皆さまの健康を守るべく発展してまいりました。2002年からは「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受け、2007年には「地域周産期母子医療センター」、2010年には「地域医療支援病院」の指定も受け、がん診療や政策医療を含めて地域医療を支えています。私たちは豊中市の中核病院として「心温かな信頼される医療」を提供することを基本理念として掲げています。信頼される医療とは「良質で安心・安全な医療」、そして「24時間365日頼れる医療」のこと。当院ではさらに「心温かな」という言葉を枕詞に加え、医療を提供する側の「心持ち、姿勢」を大切にしています。患者さんの気持ちに寄り添い、患者さんに温かな医療を実感してもらえるように、全職員が心がけています。

4月には5つのセンターが発足予定だそうですね。

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2024年4月より、5つの専門医療部門として消化器センター、脳卒中センター、心臓病センター、糖尿病センター、地域周産期母子医療センターが発足しました。各センターでは、複数の診療科で連携の必要がある疾患を扱いますが、関連する診療科の医師だけではなく、その疾患に対して専門的スキルを有するコメディカルスタッフも所属とし、チームによる医療レベルの向上を図っています。センター化することで、複数の診療科による治療が必要な疾患でも、患者さんは迷うことなく安心して受診できますし、そうした疾患の専門性を有する多職種スタッフの育成強化にもつながります。また、各センターでは、一般市民向けの公開講座なども開催することで、受診される患者さんだけでなく、一般市民の皆さまの健康増進に役立つ啓発活動にも積極的に取り組んでいく方針でおり、市民の皆さまに身近でお役に立てる市民病院へと進化していけるのではないかと考えています。

注力されているがん治療についてお聞かせください。

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がん診療部は、市民の皆さまの相談に応じる「がん相談支援センター」、抗がん剤などの化学療法を実施する「がん薬物療法センター」、先進のゲノム医療を提供する「がんゲノム医療センター」、心身の痛みに寄り添う「緩和ケアセンター」の4つからなり、がん治療におけるさまざまな側面を支えています。2021年に「がんゲノム医療連携病院」の指定を受け、がんゲノム遺伝子パネル検査も保険診療で実施できます。また、胃がん、食道がん、十二指腸がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん、膀胱がん、皮膚がん、頭頸部がん、さらに白血病、悪性リンパ腫など、幅広い領域のがん診療が可能です。治療においては、内視鏡や腹腔鏡、手術支援ロボットなどによる低侵襲手術、また化学療法、放射線治療を組み合わせた集学的治療など、患者さんの病状に応じた適切な治療を各診療科が連携して提供しています。

市の病院として、救急医療にも尽力されています。

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当院では24時間365日体制で二次救急患者の受け入れを行っており、2022年度(2022年4月~2023年3月)の救急科の外来患者数は1万9454人、救急搬送患者数は6685人にのぼります。救急車の受け入れ件数は、全国的に見ても多いほうだと思いますが、残念ながらすべて受け入れられているわけではありません。高齢化に伴い高齢者の救急要請が増加していることを考えると十分とは言えず、地域の急性期病院、後方支援病院とも連携を取りつつ、私どもの救急医療体制も刷新していかなくてはと考え、検討しています。同時に、地域の皆さまにも救急医療に関してご理解を賜らなくてはなりません。当院では主に重症で入院治療や緊急の手術・処置等が必要な方への診療を行っており、救急車で搬送された患者さんを優先して診療します。軽症の患者さんには、できるだけかかりつけ医に受診いただき、必要であればご紹介いただくようにお願いしています。

最後に今後の展望や読者の方にメッセージをお願いします。

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2040年問題をそう遠くない未来に控え、日本の地域医療や高齢者医療のあり方は、大きな課題の一つです。限られた医療資源で、そうした時代を乗り越えていくためには、地域の各病院の機能分化・役割分担を明確にした上での病病連携、かかりつけ医や在宅医との確かな情報共有に基づく病診連携が重要になってきますし、また医療を受ける側の皆さまのご理解とご協力も不可欠です。自治体病院である市立豊中病院が、今後この地域で果たしていくべき役割は何かを考え、中長期的な視点にたって進むべき方向性を見極め、何よりも患者さん目線、市民目線で当院のあるべき姿を考え、歩みを進めていきたいと考えています。誰一人として置き去りにされることなく、安心して受診していただける医療機関をめざしていきたいですし、また同時に病院職員も、生き生きとして働ける場所、医療人をめざす若い才能が育っていく場所でもありたいと思っています。

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岩橋 博見 病院長

1990年大阪大学医学部を卒業後、大阪大学第二内科に入局。糖尿病・内分泌代謝内科領域を専門とし、2015年からは大阪大学大学院糖尿病病態医療学寄附講座の准教授を務める。2019年に市立豊中病院に、中央診療局長兼内科主任部長として着任。間もなく新型コロナウイルス感染症のパンデミックに直面し、感染症の診療体制整備に尽力。2023年4月より病院長を務めている。「優しい医者、考える医者」が座右の銘である。

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