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国家公務員共済組合連合会 呉共済病院

(広島県 呉市)

田原 浩 院長

最終更新日:2025/04/28

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呉の急性期医療を長く支えてきた「共済」

2024年に創立120周年を迎えた「呉共済病院」。日露戦争開戦とともに海軍工廠で働く職員やその家族のための病院として開院し、戦後は広く一般市民を受け入れてきた歴史を持つだけに、市民からは親しみを込めて「共済」と呼ばれている。現在も地域医療支援病院、災害拠点病院などに承認・指定され、二次救急病院として24時間体制で救急搬送を受け入れるなど、呉市の地域医療の中核を担う。また早い時期から診療システムのDX化(デジタルシステムを活用した効率化)に取り組み、2023年にはロボット支援下手術を導入するなど「革新的な気風」も同院の伝統だという。その一方、高齢化が加速する中で回復期病床が少ないという地域の事情を鑑み、「病院のダウンサイジングや亜急性期医療の拡充など、これからのニーズに応える新たな仕組みづくりも急務です」と話すのは、2024年から院長を務める田原浩先生。「医療を取り巻く情勢は厳しくもありますが、職員とともに“オール呉共済体制”で、これからも地域中核病院としての役割を果たしていきたい」と力強く語る田原院長に、診療のトピックスやめざす病院像をじっくりと聞いた。(取材日2025年2月21日)

呉の街とともに歩んできた、歴史ある病院ですね。

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呉の海軍工廠で働く職員やその家族約2万人のための病院「呉海軍工廠職工共済会病院」が、当院の前身です。1904年の開業と同時に看護学校も設立され、今に続いています。その後、終戦を経て現在の名称となり、広く地域の方に向けた病院として今日まで診療を重ねてきました。現在は急性期医療やがん診療はもちろんのこと、地域の先生方との連携による診療や、亜急性期の医療にも取り組みを広げつつあります。といいますのは、呉市やその近隣では急性期医療は充実しているものの、回復期病床は不足している現状があります。また地域内では、人口減少や高齢化が急速に進んでいます。このため当院も2022年1月には病床数を440床から397床にダウンサイジングし、さらに同年3月には一部病床を地域包括ケア病床へ転換。「まもりたい、あなたの明日と地域の医療。」というキャッチコピーのもと、地域の現状や展望に合わせて当院も進化を続けています。

御院が得意とする分野や治療についてご紹介ください。

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当院は二次救急病院であり、呉市内にある他の急性期病院とそれぞれの強みを生かしながら、24時間体制で救急搬送を受け入れています。高齢化とともに、救命が必要な重症患者さんの搬送も増加していますが、例えば脳梗塞に関しては超急性期の血栓溶解療法や血管内治療などが可能ですし、脳動脈瘤では開頭手術や血管内手術を実施。脳梗塞の血栓回収療法など専門性の高い治療については、岡山大学や広島市立広島市民病院の専門家とも連携しています。心臓疾患では不整脈のカテーテルアブレーションのほか、肺高血圧症の治療も当院の強みといえるでしょう。また、透析治療の歴史も古く、当院で勤務された先生方が近隣で開業されていることから、地域医療機関との連携も充実しています。さらに消化器や呼吸器領域では、内科医と外科医が協力して診療を行う体制がありますし、消化器内科ではニーズの高い内視鏡検査や炎症性腸疾患の診療にも力を入れています。

ロボット支援下手術など、先進的な診療にも取り組んでいます。

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当院には以前から「新しい治療法を積極的に取り入れ、旧来の概念にとらわれない病院にしていこう」という革新的な気風があると感じています。最近では2023年の年末に手術支援ロボットを導入、2024年の春から本格的に稼働。ロボット支援下手術は術者が立体的な拡大画像を見ながら、人の手よりも広い可動域を持つ鉗子を操作して手術を行います。当院には泌尿器ロボット支援下手術で経験豊富な医師も在籍していますので、安全に配慮し精緻な手術をめざせるようになりました。泌尿器科の骨盤臓器脱からロボット支援下手術を実施し、消化器外科では直腸がん、呼吸器外科では肺がんの手術を開始し、開始11ヵ月(2024年4月~2025年3月)で全科累積が100例に達しました。さらに2025年の春には膵臓がんの手術も予定しています。市民の皆さんにも、市民公開講座や広報物などを通じて治療の選択肢が広がったことをお伝えしているところです。

DX化も御院の特徴ですが、どのようなメリットがあるのですか?

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当院の職員は8年ほど前から専用のスマートフォンを携帯しています。電話など職種や病棟を超えた情報共有のほか、電子カルテの情報を閲覧できる点が特徴で、例えば救急に脳疾患の患者さんが搬送された際に、当直医からの依頼に応じて院外にいる専門の医師が検査データを確認し、治療の緊急性や対応をその場で指示できるようになりました。診断や治療までのロスが軽減され、医師の働き方改革にも役立っています。また当院ではチーム医療に以前から注力し、栄養サポートチーム(NST)のほか、呼吸サポート、褥瘡(じょくそう)対策、疼痛緩和、骨粗しょう症対策など多数のチームが活動しています。合併症を持つ高齢患者さんが増加した今、入院治療では合併症や身体機能の悪化を防ぐことも重要です。DX化を進めることは、医療やケアの向上につながるものと期待しています。

最後に、今後の展望と地域へのメッセージをお願いします。

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当院の診療の中核はやはり急性期医療ですが、地域の現状を見据えれば、回復期の機能も併せ持つような新しい病院のスタイルを模索する必要があるでしょう。また、病気の予防や早期発見に対するニーズも高いと感じています。例えば健康医学センターは、元気な方が生活習慣病予防のためにご活用いただけますし、地域で行われている中学生の野球選手育成塾でも、当院のスタッフがサポートに関わっています。早期発見といえば、女性の尿漏れ・骨盤臓器脱について2023年から始めた無料電話相談には、大きな反響がありました。新しい試みや改革には苦労も伴いますが、私が院長就任時に呼びかけた「オール呉共済体制」という合言葉が、職員のほうからも折々に聞かれるようになり、たいへんうれしくまた心強く感じています。これからも、地域の皆さんから「こんなときには共済」と気軽に頼ってもらえる病院であるよう、職員とともに頑張っていきたいですね。

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田原 浩 院長

1987年広島大学を卒業後、同大学第一外科へ入局。県立広島病院などで外科や胸部外科の診療に従事した後、1997年呉共済病院に入職。2012年より消化器外科部長を務め多数の手術を担当、また開腹から内視鏡、ロボット支援下手術に至る新術式の導入にも尽力。2019年には診療部長およびがん診療外科系センター部長、2022年より副院長、2024年には院長に就任。広島大学医学部臨床教授。

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