医療法人大植会 葛城病院
(大阪府 岸和田市)
大植 睦 理事長
最終更新日:2025/12/23


地域のために進化を続ける、泉州の中核病院
大阪府岸和田市にある「葛城病院」は、1975年の開設以来、地域医療の充実に向けて進化を続ける泉州地域の中核病院。もともとは高齢者医療を専門とする病院としてスタートしたが、現在では幅広い診療科を有し、急性期病棟と回復期病棟を合わせて243床を擁するほか、24時間体制で救急搬送に対応する二次救急医療機関としての役割を担っている。加えて、回復期のリハビリテーションや在宅でのサポート、地域で不足している脊椎疾患、脳神経外科、循環器内科、消化器内科といった専門的な医療の提供も行う。また、医療DXを積極的に推進しており、テクノロジーの高度活用によって診療の質の向上とスタッフの業務負担の軽減を図り、患者と向き合う時間の創出にも取り組んでいる。「時代が変わっても、患者さまの立場になって、その気持ちを十分に理解することの大切さは変わりません。地域の人々の心にふれ、安心できる医療の提供をめざします」と語るのは、大植睦理事長。幼い頃から医師を志し、その後父の創設した病院を引き継いだ大植理事長に、病院の特徴や診療方針について聞いた。(取材日2025年7月29日)
まず、こちらの成り立ちを教えてください。

当院は、1975年に私の父・大植良民が、高齢者医療を専門とする病院として開設しました。当時は高齢者医療の重要性がまだ広く認識されていない時代でしたが、父自身が両親の介護や看取りを経験したこともあり、「年を重ねても質の高い医療を受けられる環境をつくりたい」という強い想いから、専業農家というまったく異なる職業から転身し、病院を立ち上げました。病院名は、地元・泉州地域の象徴である葛城山にちなんでおり、地域の人々とともに歩み、支え合う存在でありたいという願いを込めて名づけられました。その後、時代の要請に応じて徐々に体制を拡充し、2012年には現在の岸和田市内の地に移転。超高齢社会を迎えた現在では、急性期医療・救急医療・外科的治療・リハビリテーション・在宅支援まで、一貫した医療体制を提供する中核病院として機能しています。
病院の特徴について教えてください。

近年、誰もが容易に医療情報を入手できるようになり、専門的な治療を希望される患者さまが増えています。しかし、この地域には大学病院がなく、高度な専門医療を受けることが必ずしも容易ではありません。また、大規模病院であっても、すべての医療分野を網羅することは非常に困難です。そこで当院では、24時間体制で救急搬送に対応する二次救急医療機関としての機能を維持しつつ、脊椎外科、人工関節・関節機能再建、内視鏡、下肢静脈瘤治療など、分野は限定されますが、大学病院にも引けを取らない専門的な水準の治療を提供できる体制を整えています。また、急性期病棟と回復期病棟を併設しているのも当院の特徴の一つです。急性期から回復期、リハビリテーション、さらには在宅医療まで、一貫した医療の提供をめざし、患者さまの早期回復と生活の質の向上に力を注いでいます。
医療DXの推進にも注力されているそうですね。

電子カルテの高度活用や画像診断支援システムの導入など、当院が医療DXを推進しようと考えたのは、スタッフが患者さまと向き合う時間を少しでも増やしたいと考えたからです。どれだけテクノロジーが進化しても、医療現場で最も大切なのは「人と人が接する時間」だと考えています。時に誤解されがちですが、医療DXは患者さまを機械に任せるためのものではありません。例えば、カルテの記入をシステム化すれば、スタッフの負担が軽減され、時間にゆとりが生まれます。院内に多くの端末を設置することで、スタッフ間の情報共有も円滑になります。そうした小さな「ゆとり」が大きな「心の余裕」となり、結果として、患者さまと過ごす温かい時間を増やすことができるのです。
病院の構造にも工夫が凝らされていると伺いました。

病院は「命を守る場所」であると同時に、「安心できる空間」であるべきです。関西では阪神・淡路大震災をはじめ多くの教訓があるため、建物はシンプルな構造で耐震性を高く保っています。また、人間は視覚に大きく依存しているため、目から得る情報は非常に重要です。不安を和らげるためのやわらかな色使いをはじめ、高齢者や視覚に不安のある方でも安心して移動できるよう、床や壁紙にコントラストをつけて遠近感を把握しやすくするなど、こまやかな配慮を施しています。さらに、病院は多くの人が出入りする公的な空間でもあるため、病棟の出入り口などの要所にはセキュリティーシステムを導入。スタッフの動線や入退室の管理を行い、入院患者さまの安全やプライバシーの確保に努めています。また、感染症のまん延予防にもスムーズに対応できる体制を構築しています。
最後に、地域の皆さまへメッセージをお願いします。

これまで地域の皆さまに支えられながら歩みを重ね葛城病院は50周年という大きな節目を迎えることができました。この長い年月の中で、私たちは「地域の人々に質の高い医療を届けたい」という創設時の思いを原点に、地域に求められる医療体制の構築に努めてまいりました。今後も、「断らない救急」「安全で確かな医療」「患者さま一人ひとりに寄り添う姿勢」を大切にし、地域の皆さまの信頼に応え続ける病院でありたいと考えています。また、CT、MRI、内視鏡はもちろん、複数の血管造影検査室などの画像診断機器を整え、先端の診断技術を提供できる体制も構築しています。特に脊椎疾患、脳神経外科、循環器内科、消化器内科においては、大学病院にも引けを取らない専門的な診療が可能です。これまで諦めていた検査・治療も、当院で実現できる可能性があります。地域の開業医の先生方におかれましても、どうぞお気軽にご相談・ご紹介いただければ幸いです。

大植 睦 理事長
大阪医科大学医学部医学科卒業。同大学附属病院(現・大阪医科薬科大学病院)整形外科学教室に入局し、研修後、市立枚方市民病院(現・市立ひらかた病院)、済生会茨木病院、高槻赤十字病院などで研鑽を積む。1999年に葛城病院の病院長に、2008年には理事長に就任。2016年からは脊椎外科センター長も兼任。医師という職業を天職とし、常に真摯に仕事と医療のあり方に向き合いながら、地域医療への貢献をめざしている。





