全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,944件の情報を掲載(2026年9月11日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 吹田市
  4. 岸辺駅
  5. 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター
  6. 山本 一博 病院長

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター

(大阪府 吹田市)

山本 一博 病院長

最終更新日:2026/01/26

Hf main z69160 20251128 34Hf main z69160 20251128 34

心臓・脳の血管疾患の治療に注力した病院

岸辺駅と連絡橋で結ばれた「国立循環器病研究センター」は、循環器疾患を専門とする病院。院内には、大規模なハイブリッド手術室や広いリハビリテーションルームなどが整えられ、心臓・脳の血管疾患に対して専門的かつ先進的な治療を提供している。研究施設と隣接しており、心臓および脳の血管疾患について、その原因や発症のメカニズムの解明にも注力。研究成果を生かした新しい術式の研究開発や、希少難病についての新しい治療に取り組めるのも同院の強みだ。病院長の山本一博先生は、先進的な設備を駆使した治療だけでなく、高い治療効果が期待でき、患者の生活上の支障も少ない治療や術式の開発・情報発信に取り組むことこそが「国循」の使命と明言。地元の吹田市と協力して、長期に及ぶ住民の追跡調査を行うなど、治療だけでなく予防にも注力する。いったん発症すると、生涯付き合う必要がある脳や心臓血管の病気にならないよう、自身の体の状態にもっと注意を向けてほしいと語る山本病院長に、同院の特色や注力している診療、今後の展望などを語ってもらった。(取材日2025年11月28日)

病院の地域における位置づけや役割について教えてください。

1

心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患は、発症から治療までの時間をできるだけ短くすることが求められます。こうした患者さんにできる限りの治療を提供して、救命率の向上をめざすことが、地域における当院の役割です。高度医療を展開する医療機関として、この地域における循環器疾患の最後の砦としての役割を担う病院です。その一方で、吹田市と協力して市民の健康データをもとにした、予防対策にも取り組んでいます。脂質異常症などが、どのようにして循環器疾患につながるのかを研究しており、研究成果は循環器疾患診療のガイドラインにも活用されています。地域住民の方々のデータがもとになっているので、より日本人に適したガイドラインの作成につながるのが利点です。「国循」というと、重症患者さんを扱う高度な医療ばかりが注目されがちですが、このような病気の発症をできるだけ防ぐための取り組みにも、かなり前から注力しています。

診療について何かトピックスはありますか?

Hf 2

当院では、新しい治療の実践にも積極的に取り組んでいます。その一つが、お亡くなりになった方から提供された心臓弁である“ホモグラフト”を用いた治療です。心臓の弁の機能に問題が生じると、修復が難しい場合は人工弁への置き換え手術を検討します。人工弁には機械弁と動物の臓器を使う生体弁があり、若い患者さんでは通常は機械弁を用います。ただし、機械弁は人工物なので血液が凝固しやすく、手術後は生涯にわたって血液をさらさらにするための薬を飲み続けなければなりません。また、このお薬は妊婦さんには使うことができず、お子さんをもうける予定のある方には、機械弁への置き換え手術をできれば避けたいところです。こうした場合などに、ホモグラフト手術は有用な選択肢になると期待されています。現在は、国内での手術は当院など限られた施設のみで行われていますが、欧米では手術件数が増えており、国内でもいっそうの普及が望まれる治療法です。

ロボット支援手術や難病の治療にも取り組んでいるそうですね。

Hf 3

心臓手術についてはさまざまな条件を満たした医療施設のみがロボット支援手術を提供できます。これまでの術式では、胸を開いて胸骨を切る必要がありましたが、小さな穴をいくつか開ければ手術が可能なので、術後の回復が早い点が大きなメリットです。手術をする医師からも、術野の視野が広く処置がやりやすいと聞いています。ただし、保険の適用にも条件があり、すべての心臓手術に適用できるわけではありません。一方、難病の治療については、遺伝子の変異が原因で、脳の細い血管に異常が起こる希少難病のカダシルに特化した外来を設けています。一般的な脳卒中、脳出血として認識されている方の中に、この病気の方が一定数おられると考えられ、より適した治療を提供すべく、カウンセリングを含めて対応しています。こうした取り組みが実践できるのも、隣接する研究所で将来の診療に結びつく取り組みを行える当院ならではです。

地域連携のための取り組みについても教えてください。

Hf 4

循環器疾患の中でも急性心筋梗塞、急性大動脈解離、脳卒中などは時間との勝負なので、当院から一定の範囲の患者さんが受診されるのが特徴です。そうした患者さんは、急性期の治療を終えると、元の地域に戻っていかれるため、医師会と一緒に勉強会を開催するなど、地域の先生方との顔の見える関係を大切にしています。また、近年はご高齢の心不全の患者さんが増え、通院が難しい方も多いため、訪問診療に取り組む医療機関との症例研究会なども実施。地域に戻る患者さんを引き受ける立場としてのご要望など、先生方の声を聞けるとても貴重な機会です。さらに、近隣の吹田市民病院とも連携を取っており、脳卒中や心臓疾患の疑いがある患者さんを引き受ける体制を整えています。おなかが痛いという症状から、心臓疾患が発見されるケースもあるんですよ。逆に当院に来られた患者さんが、消化器疾患のために入院が必要な場合などは、吹田市民病院にお願いします。

今後の展望や地域の方々へのメッセージをお願いします。

Hf 5

当院の役割である高度な治療の提供に今後も努めていきたいと考えています。高度な医療というと最先端の設備を使う医療だと思われがちですが、私は、多くの医療機関で使える設備で対応し、より良い患者さんの予後と生活の質(QOL)に結びつける治療こそが高度な医療と考えています。国立の循環器疾患の専門病院として、研究機能も生かし新しい治療の実現に努めるとともに、さまざまな役立つ情報を発信していけるよう、職員一同精進を重ねてまいります。また、地域の皆さんには、循環器疾患の前段階の生活習慣病に十分に注意していただきたいです。高血圧や糖尿病などは自覚症状に乏しく、症状がないからと放置し最終的に救急搬送されたという方がたくさんおられます。循環器疾患になると、生涯投薬や通院が必要です。そうならないよう、疾患の罹患率が上がる退職後こそ定期的に健康診断を受け、異常を指摘された場合は、すぐに医療機関を受診してください。

Hf main z69160 20251128 34

山本 一博 病院長

1986年大阪大学医学部卒業。1994年同大学大学院医学研究科修了。1994〜1996年米国Mayo Clinic留学。大阪大学医学部第一内科などを経て、2011年から鳥取大学医学部循環器・内分泌代謝内科の教授を務め、現在は名誉教授。2025年4月より現職。循環器内科の中でも特に心不全が専門。「一生勉強」と知識・技術のアップデートに努め、健康のため同院の10階の会議室まで階段で上り下りする。

access.png