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医療法人彰療会 大正病院

(大阪府 大阪市大正区)

南條 亨 理事長

最終更新日:2025/10/16

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医療・福祉のハブとなり地域の生活を支える

大正駅から南へ10分ほど歩くと、左手に見えてくるのが「大正病院」だ。前身の医院から100年以上にわたり、大正区で診療を続けてきたという。当時から今日まで「地域社会に信頼される病院」をモットーに掲げ、現在は急性期治療を終えた患者を積極的に受け入れ、在宅復帰に向けた治療や療養、緩和ケアなども提供。外来でも「患者登録制度」や診療科目の拡大などを通じて、高齢者医療の充実を図り、地域の高齢者と家族を支える。また、新生児期から老後まで、さまざまな年代の患者が訪れるのも同院の特徴で、小児科診療や子育て支援にも力を入れている。大正区ではライフステージが変わっても地域内で暮らし続ける住民が多く、長く勤務している医師も多いという院内には、お互いをよく知る安心感やアットホームな雰囲気が漂う。「急性期病院と開業医の先生との間で、地域医療のハブ的な役割をさらに高めていきたい」と話す南條亨理事長に、同院の歩みや現在の診療内容、めざす病院像や病院運営への思いなどをじっくりと聞いた。(取材日2025年9月3日)

長い歴史のある病院だと伺いました。

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私の祖父が大正時代末期にこの近くで開院した「南條医院」が当院のルーツです。大正区は日本の近代紡績、繊維工業の発祥の地で、祖父も開業前は紡績会社の付属病院で勤務していたそうです。その後、祖父は1953年には現在の場所で「大正病院」を開業しました。病院名を南條病院にしようか迷ったそうですが、地域のための病院でありたいという思いから現在の名称にしたと聞いています。病院としては増床を重ね手術治療などを行っていた時期もありましたが、医療環境の変化に応じて診療内容や病棟の再編を行い、現在は地域包括ケア病棟90床、医療療養病棟55床の計145床になっています。診療科としては消化器、循環器系の内科診療をはじめ整形外科、小児科、皮膚科、歯科に常勤医がいるほか、心療内科や、法人内の産婦人科クリニックと連携して婦人科の診療もしていますし、放射線科ではCT、MRIなどの検査を外部からもお受けしています。

現在は、地域医療においてどのような役割をめざしていますか?

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高度急性期病院などで治療を終えた患者さんを受け入れ、ご自宅や施設に戻れるようになるまで治療や療養をしていただく、いわゆる亜急性期を当院で過ごしていただけることが、まず大きな役割だと考えています。そしてもう1つは、地域で訪問診療や在宅医療をされている先生方のバックアップです。普段はご自宅で過ごしていても、体調の悪化やご家族の都合で入院が必要になれば、当院で一時的にお引き受けできます。さらに、このような地域医療に欠かせないさまざまな連携の中核になり、ハブとしての役割を担いたいと考えています。ですので、困ったときにご相談いただければ、各患者さんに適した医療へと的確につなげていけるような病院でありたいですね。これらの諸業務を主に担当しているのが地域連携室で、看護師や社会福祉士などのスタッフが、近隣の高次医療機関や開業医院と密に連絡を取り、時には先方へ出向いて細かな調整にあたってくれています。

高齢者医療の充実に向けたさまざまな取り組みがあるそうですね。

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大正区でも一人暮らしの高齢者が増えていますが、当院では以前から「患者登録制度」を実施しています。かかりつけ医院や病歴など患者さんご自身の情報をあらかじめ登録していただくと、急な入院も迅速に受け入れることができます。さらに、患者さんの生活背景や終末期に対するご希望なども教えていただければ、できるだけそれに応じた対応を行います。高齢者救急では、一般の救急とは違った判断や処置を要する場合もあり、地域の方にはこの制度をぜひ活用いただきたいです。ほかにも、近年ではがんなどに対する緩和ケアに力を入れ、希望される患者さんを積極的に受け入れているほか、当院をかかりつけにしている患者さんへの訪問診療も実施しています。また外来では皮膚科や歯科などご高齢の方のニーズの高い診療科もあり、内科や整形外科と相互に連携していますので、患者さんは院内でさまざまな領域の初期治療を受けていただくことができます。

小児科診療にも力を入れていらっしゃるとか。

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祖父の医院の時代から小児科診療を行っていて、現在も小児科の医師である副院長が熱意を持って診療にあたっています。また、法人内の産婦人科クリニックで生まれた赤ちゃんの退院診察は当院の小児科医が担当しますし、その後の乳幼児健診なども当院をご利用いただけます。ですのでこの地域では、何世代にもわたって当院小児科に通ってくださるご家庭が多いですね。平日は午前と午後にほぼ毎日外来を行い、予約制ですがアレルギーや小児循環器などを専門に診る外来も設けています。また、2018年には大阪市の委託事業として病児保育室「おひさま」を開設。事前登録の上、病気やけがで登園や登校が難しいお子さんをお預かりします。当院の近くにはこども園があり、小児科の医師が園医を務めていますので、そちらのお子さんのご利用は多いです。私自身も産婦人科医ですし、当院で生まれて育ってきましたので、子どもや子育てに関しては思い入れがありますね。

今後の展望と、地域の方に向けたメッセージをお願いします。

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在宅療養支援病院として、地域の開業医の先生方のバックアップにより努めていきたいと考えています。かかりつけ患者さんで、急な検査やレスパイトを含めた入院などをお考えの場合には、ぜひ地域連携室まで気軽にご相談ください。また、院長が中心となり、地域で緩和ケアに取り組まれる医療・介護・福祉職の方に向けた「大正緩塾」という勉強会を開催しています。このような顔の見えるつながりも強化していきたいですね。さらに今後は、病気の予防や早期発見に向けて、健康診断などにも力を入れ、かかりつけ病院としての役割も高めたいと思います。診療をしていると、患者さんから「ずっとここでお世話になっています」など感謝の言葉をいただく機会も多く、地域で長く医療を担うことへのやりがいや責任感を強く抱きます。これからも暮らしのそばにある医療・福祉の中核として、地域を「ゆりかごから墓場まで」支える病院でありたいですね。

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南條 亨 理事長

地域医療に打ち込む祖父や父の姿を見て産婦人科医を志す。1988年3月近畿大学医学部卒業。1995年より国保直営串本病院(現・くしもと町立病院)、1997年よりベルランド総合病院での勤務を経て、1998年9月に医療法人彰療会大正病院に入職。2020年より同法人理事長を務める。大正病院附属産婦人科クリニックの院長も兼任。

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