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日本赤十字社 大阪赤十字病院

(大阪府 大阪市天王寺区)

坂井 義治 院長

最終更新日:2022/07/19

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より高度な医療体制の構築を図り地域を守る

大阪環状線・鶴橋駅から上本町方面に歩いて約7分の所にある「大阪赤十字病院」。1909年に看護師養成所に併設するかたちで創立された同院は、人道・博愛の赤十字精神に基づき、すべての人の尊厳をまもり、心のかよう高度医療の提供に努めることを基本理念としている。がん治療と救急に力を注ぎ、小児・婦人科・循環器・脳卒中の4つのホットラインを稼働し、断らない救急をめざしているほか、2006年に地域がん診療連携拠点病院、2018年にはがんゲノム医療連携病院となり、京都大学との密な連携で先進的な治療にも取り組む。また、より高度で安全性重視の医療を提供するにはチーム医療は欠かせないとして、多職種による院内連携に注力し、領域横断的な治療を重要視する。1997年からは大阪府災害拠点病院の役割も担う。大阪のみならず国内、さらには海外における災害救護や医療支援に積極的に参加しており、現在もウクライナに2人の職員を派遣している。人口減少や疾病変化に応じた時代のニーズに応えながら、患者にとって価値のある治療を追求する同院の新しい取り組みについて、坂井義治院長に話を聞いた。(取材日2022年4月21日)

病院の成り立ちと基本理念についてお聞かせください。

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当病院は看護師養成所を併設するかたちで1909年に創立いたしました。1937年に大阪陸軍病院赤十字病院となり、太平洋戦争の折には連合軍に接収され、活動の場が制限される中でも医療活動を分散しながらも続け、個々が集約されて今ある天王寺区にて再開したのは1956年のことです。当病院では、人道・博愛の赤十字精神に基づき、すべての人の尊厳を守り、心のかよう高度の医療をめざすことを理念としています。その崇高な理念を実現するため、より具体的な言葉にしたビジョン「働きたい、自分も家族もかかりたい病院づくり。すべては患者さんの笑顔ために」を掲げています。デジタル化の波や人口減少など、変わりゆく日本情勢の中で大阪赤十字病院をどんな病院にしたいのか、スタッフ一人ひとりが明確な目的を持ち、行動に移すことで、長年にわたって地域で愛されていた当病院を守っていきたいと考えています。

地域における位置づけや役割について、どのようにお考えですか?

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周辺は総合病院が立ち並ぶ大阪市内の中でも医療環境に恵まれた地域です。その中で当病院の役割は、より高度ながん治療と第3次救急医療をしっかりと担うことだと思います。そこで、先のビジョンにつながる「あいさつ」「病院のスリム化」「高機能化」の3つの目標を立てました。愛着を持っていただける病院にすることはもちろん、大阪府の人口減少や疾病の構造変化に対応する病院の在り方を考慮したスリム化を実施するほか、高度急性期病院としてより高機能化を進めます。2022年5月には手術支援ロボット2台目を導入予定のほか、先進的な白血病治療など専門性の高い医療を実施しています。さらに、今後はハイブリッド手術室の整備と、HCU(高度治療室)、SCU(脳卒中ケアユニット)の増設・新設を行う予定をしており、心臓や脳の血管治療の精度を上げ、より地域に寄与できる体制づくりをめざしたいと考えています。

多職種のチーム医療にも力を注いでおられます。

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当病院は、2006年から地域がん診療連携拠点病院、2018年からは難病診療連携拠点病院の役割を担っております。高度な治療を提供するには、放射線治療、薬物治療、血糖値コントロール、リハビリテーション、集中治療室でのケアなど、手術における技術はもちろん、術前・術後の管理、また万が一手術による合併症や併存疾患が発症した場合に備えた総合力が必要不可欠です。それゆえ当病院では幅広い診療科を維持し、手術を行う医師や看護師のほか、集中治療や麻酔科を専門とする医師、理学療法士などの数多くの専門スタッフを常勤で配置。2018年にはがんゲノム医療連携病院となり、京都大学と連携した遺伝子解析を用いたがん治療も実施しています。各科との連携には、領域横断的カンファレンスにより個々の患者さんへの最適な治療の選択を追求。また研究会や勉強会、他の病院への見学なども積極的に支援し、患者さんの治療に努力を重ねています。

院長が思う、こちらの病院の長所を教えてください。

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当病院は、看護師の養成を目的として創立された経緯から、看護師を中心に博愛の精神が息づいているなと日々感心させられます。赤十字グループが災害救援を使命としていることもあり、2020年の院長着任直後に見た新型コロナウイルス感染症対応では、本部の立ち上げや外来テント設営など迅速かつ的確な仕事ぶりに驚かせられました。2022年10月には大阪府災害拠点病院である当病院を中心に2年ぶりとなる自衛隊・警察・消防署と合同の災害訓練を実施予定です。今後は4つ目の目標として「広報活動」を加え、地域の皆さんや行政各所と連携を強めていきたいと考えています。その具体策が、2021年にウェブ上で開催した防災体験セミナー「災育ランド」や、今まで医師向けに行ってきた勉強会を一般公開した「日赤オンライン医学講座」です。開業医の先生方はもとより患者の皆さんとも顔の見える関係を構築し、開かれた病院を実現したいと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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患者さんにとって病気やケガの際、突然の病院選びは非常に難しいものです。例えば、がん治療を受ける場合には、手術を担当する外科、診断を行う内科、ICU、麻酔科のほか、CTやMRI、リハビリテーション室など、自分が受診する診療科以外の診療科や機器・設備にも目を向けてください。またできるならば、それら専門機器を扱い専門性の高い治療ができる専任スタッフが常勤でいるかどうかも、ホームページや地域のかかりつけ医を通して確認できるとなお良いでしょう。多職種の専門家からなる医療でなければ、本当のチーム医療は提供できないと思うからです。当院では患者さんがスムーズな治療を行えるよう努めて、2009年からは地域医療支援病院として、患者総合支援部門を設けて入退院や医療福祉に関する相談も積極的に対応しています。これからも地域の皆さまのため、より良い医療提供に努め、まい進してまいります。

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坂井 義治 院長

1981年京都大学医学部卒業。消化器外科を専門として関連病院での勤務を重ね、1989年からカナダのウェスタン・オンタリオ大学外科に留学。胆嚢・大腸・胃・食道など腹腔鏡手術の修練を重ね、ロボット手術においてもスペシャリスト。1998年より国立病院機構京都医療センターに勤務。2005年7月京都大学医学部附属病院消化管外科教授となり、2021年大阪赤十字病院院長就任。日本内視鏡外科学会理事長。医学博士。

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