社会医療法人大阪国際メディカル&サイエンスセンター 大阪けいさつ病院
(大阪府 大阪市天王寺区)
澤 芳樹 理事長
最終更新日:2025/11/14


大阪の命と健康を支える未来病院
2025年1月に桃谷駅から徒歩5分の場所に新築移転した「大阪けいさつ病院」。旧名称は大阪警察病院。1937年に開設され80年以上の歴史を持つ病院だ。開設当初は警察や消防関連の治療を行う職域病院だったが、太平洋戦争中の空襲を機に一般の患者を診療するようになり、その後は地域の病院として発展。全診療科において専門性の高い医療を提供してきた。新病院の規模は地下1階、地上8階建て、許可病床650床。救急受け入れや集中治療の強化に加え、先進の医療機器の充実などハード面はもちろん、ソフト面も充実させ、先端医療、高機能医療の実現に努めている。さらには従来の高度急性期病院では盲点になりがちであった領域にも注力。今回、新病院プロジェクトをけん引した澤芳樹理事長に、同院の特徴や取り組み、今後の展望などを聞いた。(取材日2025年10月6日)
新病院では救急の受け入れを強化されたそうですね。

「誰一人取り残さない医療」を基本にしているため、要請には100%お応えしたいと考えています。これまではキャパシティーの問題から応需率がとどまっていた点がありましたが、移転を機にこれまでの3倍近い受け入れが可能になりました。新病院では救急のために毎日20床を準備。開院後は約2週間でほとんど満床という状況でした。手術室の拡充によりオペ止めもなくなりました。またキャパシティーを増やしただけではなく、緊急患者を受け入れ続けるために病院にコマンドセンターを設けました。常に病床や手術室の空き具合、カテーテル室の運用状況、救急の運用状況をすべて把握し、地域の受け入れ依頼を判断しています。緊急の受け入れや、より専門性の高い病院への入院など非常にフレキシブルに対応できるようになりました。職員一人ひとりが患者さんを助けたい、もし当院が断ったらその患者さんはどうなるんだろう?という思いから行動してくれています。
充実の診療面での特色をご紹介ください。

多くの診療科で専門性の高い医療を提供していますが、特に循環器領域の診療体制は充実しており、当院の循環器センターは循環器科と心臓血管外科の両科の強い連携のもと患者さんの診療に積極的にあたっています。具体的には、心臓移植以外ほとんどの循環器手術に対応できる体制を整え、人工心臓やカテーテル治療、救急医療はもちろんですし、冠動脈疾患ではハイブリッド手術など患者さんの負担が少ない低侵襲での血行再建をめざしています。通常の開胸手術についても、極めて小さな傷口で行う低侵襲心臓血管外科手術や内視鏡下心臓手術の専門家が在籍しています。また、心臓弁膜症に対しては経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を実施し、患者さんに応じた弁の選択を行うほか、透析患者さんの難症例にも対応。さらに最近では僧帽弁に加え大動脈弁でも、通常は人工弁に置換するところ、患者さんご自身の弁を温存する形成術も実施しています。
新たに立ち上げた総合診療部門について教えてください。

私が若い頃はゼネラリストという立ち位置が確保されていませんでした。しかし、専門医制度ができ在宅医療が進んだ昨今、総合診療が非常に重要だと認識。そこで2024年に外来部門として新設し、2025年4月から常勤で総合診療を行う医師が着任して本格的に稼働しています。総合診療部門ではどの科を受診したらよいかわからない患者さんを診るわけですが、決して下請けではなく、医療の上流にあるものと捉えています。病気がどのような原因によって起こっているかを即座に判断して、診断・治療へとつなげるわけですが、稼働してからのこの半年でも、われわれがこれまで診たことがない病気の診断も行い、今、病院の中で非常に頼られる存在となっています。従来の高度急性期病院では手薄になりつつあった部分であり、実は大阪市内でも珍しい取り組みだと思います。今後とも質の高さを追求しながら、さらに人材育成も含めた総合診療を進めていきたいですね。
先端ロボット手術センターと認知症センターについて伺います。

2025年1月に先端ロボット手術センター(スマートサージェリーセンター)を新設。現在手術支援ロボットは5台が稼働中で、よりレベルの高い医療を示していくことも大事だと考え、大学病院にも負けないぐらいのレベルの医療設備を備えました。非常に低侵襲でより短い時間で手術を行い、患者さんの負担軽減や在院日数の短縮などにつなげています。ハード面の拡充に加え、経験豊富なドクターもそろっており、ロボット支援手術のあるべき方向性を示してくれると期待しています。一方、認知症センターは、外来での精密検査・鑑別診断を中心に行っています。高齢化に伴い社会問題にもなっている疾患ですから、今後はどれだけ軽度認知障害(MCI)の人を見つけて、早い段階で治療をしていくかということが大事だと考えています。
最後に今後の展望をお願いいたします。

新病院では電子カルテを搭載したスマートフォンで業務負担を軽減するなど、ICTを活用したスマートホスピタルを充実させました。また、地域の病院とはアライアンス勉強会を実施し、近隣病院50施設と強固な連携体制を敷いています。高度な診療を追求し、近隣病院とも柔軟に連携しながら、大阪市の医療レベルを高めるべく尽力していますので、ご期待ください。さらに今後は、先端医療を実践しながら、地域にどう根づいていくかも重要となるでしょう。アメリカでは総合病院や大学病院が街の中心にあるように、当院も街づくりに貢献していきたいと考えています。2027年に緑豊かな木々に囲まれたエントランス棟が完成予定で、1、2階はカフェやホールをつくって地域の人々が集える場所に、屋上には散策が楽しめる庭園を設ける予定です。病院は病気の時に訪れるイメージですが、日頃のつながりの中からコミュニティーを広げていければと思います。

澤 芳樹 理事長
1980年大阪大学医学部を卒業後、同大学第一外科入局。ドイツMax-Planck研究所への留学を経て2007年より⼤阪⼤学⼼臓⾎管外科主任教授。2011年に内閣官房医療イノベーション推進室次⻑、2012年京都⼤学iPS細胞研究所特任教授なども務める。2021年9月より大阪警察病院病院長、2023年4月より社会医療法人警和会理事長就任、第二大阪警察病院院長兼任。2025年1月から現職。





