医療法人仁和会 和田病院
(大阪府 大阪市鶴見区)
林 則宏 理事長
最終更新日:2025/08/28


診療、入院、在宅と地域を支える多機能病院
大阪メトロ長堀鶴見緑地線・横堤駅から歩いて3分ほどの場所に位置する「和田病院」は、1963年に初代・和田忍先生が開設した地域密着型の病院だ。その志を受け継いだ2代目・和田讓二先生を経て、2024年より3代目として林則宏先生が理事長兼院長に就任。整形外科、外科、内科、循環器内科、リハビリテーション科など7つの診療科に加え、「不眠」「男性更年期」「認知症」などに対応する特色ある外来も設置し、生活習慣病などの慢性疾患から心身の不調まで幅広くサポートしている。地域の高齢化が進む中で、急性期と在宅・施設の間をつなぐ医療のハブとしての役割を担い、きめ細かな医療とケアを実践。今後はさらに在宅診療や医療DXの推進にも注力し、患者にとって「困ったときにまず相談できる」存在をめざしている林理事長に、同病院の歩みと未来について話を聞いた。(取材日2025年7月17日)
まずは病院の成り立ちと歴史についてお伺いします。

当院は、1963年の開設から、約60年にわたって地域の皆さまとともに歩んできました。「地域に根ざした医療を」という思いのもと、初代の和田忍先生が立ち上げ、その後、2代目の和田讓二先生が引き継ぎ、そして2024年9月から私、林則宏が3代目として院長を引き継いでいます。現在は一般病棟31床、地域包括ケア病棟15床、療養型病棟20床の66床、整形外科・外科・内科・放射線科・リハビリテーション科・神経内科・循環器内科の7つの診療科を有し、地域の皆さまの健康を支えています。スタッフについては、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、診療放射線技師、臨床検査技師、栄養士のほか、神経内科に関連して心理療法を専門とするスタッフも月2回勤務しています。常勤非常勤を含め、全体でおよそ100人ほどのスタッフが働いており、チームで協力しながら患者さんのケアにあたっています。
地域における役割や位置づけについてもお聞かせください。

周辺地域は急性期を担う病院が多いことから、当院が地域のかかりつけ医の役割を担っているところも大きく、在宅診療も実施しています。そのため、急性期を担いながらも、地域のハブになる病院、つまり地域の中核的な存在になることを意識しています。例えば、大きな病院で治療を終えた患者さんが、ご自宅に帰る前にリハビリテーションをしたり、体調を整えたりするための場所として、当院が橋渡しのような役割を果たすことも多いです。また在宅で療養されている方が体調を崩したときには、当院で入院を受け入れたり、必要に応じてより高度な病院をご紹介したり、逆に施設のご提案をすることもあります。つまり、「急性期の病院」と「ご自宅や施設」とをつなぐハブのような存在として、患者さんやご家族の希望に寄り添いながら支援を行っています。困った時にすぐに相談できる、そんな身近な存在でありたいと願っています。
特に注力している診療はありますか?

当院の患者さまの大半はご高齢の方ですから、高血圧症・糖尿病・脂質異常といった生活習慣病の診療といった慢性疾患には特に注力しています。また腰痛や食欲不振といった高齢の方によく見られる体調の変化など、日常的な不調にも幅広く対応しています。「不眠」「男性更年期」「認知症」など、お悩みを抱えている方が多い症状に対して、専門的な外来を設けているのも特徴で、「どこに相談したらいいかわからない」という方の受け皿となれるように、症状の背景にある生活習慣やこころの状態などをじっくりお聞きしながら診療を行っています。また精神科までは行きにくいという方も、安心してご相談いただけるよう、比較的軽いストレス症状や気分の落ち込みなどにも対応しています。慢性期疾患はもちろん、生活に密着した小さな不調から、少し踏み込んだ心身のケアまで、「何かあったらまず相談してみよう」と思ってもらえるような外来をめざしています。
今後注力していきたい診療を教えてください。

今後、力を入れていきたいのが「在宅診療」です。外来通院が難しくなった患者さまやご家族からは、「また主治医を見つけるのが大変」「体調面や服薬についての引継ぎが面倒」といったお声もお聞きしていました。そこで、入院から退院、そして在宅でのケアまで、一貫してサポートできる体制を整え、「病院だからこそできる在宅医療」をめざしてきました。退院後も、また体調を崩してしまった時には、再び当院で入院を受け入れたり、「家で過ごしたいけれど、一人では不安」という方へはサポートも行ったりと、「顔の見えるつながり」を大切に診療しています。今後はさらに人員を増やし、近隣の病院や施設と連携しながら、地域の中でのつなぎ役としての役割も担っていきたいと考えています。困った時に「和田病院なら引き受けてくれる」と思ってもらえるような、地域にとっての頼れる存在になれるよう努めてまいります。
今後の展望と読者へメッセージをお願いします。

当病院では、これからも「通いやすく」「相談しやすい」病院であることをめざしてまいります。在宅診療では、ご自宅や施設で安心して過ごしていただけるよう、病院としての機能を生かしながら、退院後も顔なじみの医師やスタッフが関わることで、患者さんご本人にもご家族にも安心していただける医療を提供していきたいと考えています。また、将来的にはオンライン診療などの医療DXにも積極的に取り組み、より便利な体制を構築してまいります。当病院は、長年勤務しているベテランが多く、風通しの良いアットホームな雰囲気が自慢です。それは「働きやすい職場」であるというだけでなく、そのまま患者さんへの温かいホスピタリティーにもつながっていると感じています。これまでと変わらず「信頼・親しみ・共感」を大切に、「ここに来て良かった」と思っていただける医療を提供し、地域の皆さまにとって身近な存在でありたいと思います。

林 則宏 理事長
2001年大阪大学医学部卒業。2006年大阪大学大学院修了。桜橋渡辺病院や大阪大学医学部附属病院にて循環器内科医として勤務し、カテーテル治療を中心に研鑽を積む。その後、「病気だけでなく患者さん全体を診る医療」の重要性を痛感し、総合診療を学ぶ。2009年和田病院内科部長、2017年同病院副院長となり、2024年より理事長兼院長に就任。日本内科学会総合内科専門医。