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社会医療法人大道会 森之宮病院

(大阪府 大阪市城東区)

宮井 一郎 病院長

最終更新日:2025/08/18

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2つの機能を合わせ持つケアミックス型病院

2006年、大道病院とボバース記念病院を集約して誕生した「森之宮病院」。「急性期医療」と「リハビリテーション医療」を軸に、地域を支えるケアミックス型病院だ。急性期、回復期、地域包括ケアの各病棟にリハビリテーション室を配置し、疾患治療と生活機能向上の両立をめざす先進のリハビリテーション医療を提供。急性期医療では、二次救急病院として救急の検査・治療体制を整え24時間365日対応し、身体機能低下を予防するための取り組みや生活支援にも力を入れている。開院当初から、病院の構造設計や情報システムの構築、病院像の策定と体制づくりにも携わってきた宮井一郎先生が2025年1月、病院長に就任。法人が運営する介護・福祉施設と連携し、切れ目のない医療の提供をめざしている。宮井病院長がアメリカ・コーネル大学で、脳科学に基づいたアプローチを行う「ニューロリハビリテーション」に取り組んだ経験を生かし、日本のリハビリテーション医療を牽引する同院。自らを「データおたく」と笑顔で謙遜しながらも、データから適切な医療へと結びつける宮井病院長に同院の特徴や地域での役割りについて話を聞いた。(取材日2025年07月01日)

こちらの成り立ちについて教えてください。

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社会医療法人大道会は創立70年となり、ボバース記念病院と大道病院という2つの病院を運営してきました。1982年に開院したボバース記念病院は、大規模な都市型のリハビリテーション病院として、当時はまだ発展途上だった小児のリハビリテーションへの取り組みを始めた病院です。一方の大道病院は地域の救急医療を担う病院でしたが、老朽化が進んだことから、この2つの病院の機能を集約することになりました。そこで生まれたのが「森之宮病院」です。私は2000年に大道会に入職し、2006年の開院前から、法人の理事長とともに病院の設計やシステム構築などに携わってきました。2018年の病院再編により、当院は基本的に高齢者に対応する病院となり、地域に信頼される安全な医療を届けること、そして、WHOのICF(国際生活機能分類)という概念の中心である「生活機能の向上に結びつくケアとリハビリテーションの提供」を理念としています。

どのような特徴を持つ病院なのですか?

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一番の特徴は、全病棟にリハビリ室がある構造です。病棟そのものがリハビリに結びつくようにとの考えに基づいています。患者さんのもとに全スタッフが集まることで時間と場所が共有できるようにと想定しました。急性期治療後、日常生活動作が低下し自宅に帰れないことが問題になっていますが、当院の場合、心臓血管外科や内科系の病棟にもリハビリ室がありますので、病棟での生活場面でリハビリテーションを提供できます。また着替えや食事も、作業療法士、言語聴覚士、看護師が協働して携わることでリハビリにつなげられると考えています。私の専門の脳科学の観点から、他者の動きを見ていると同じような脳活動が起こるミラーニューロンの働きにも着目しました。患者さんがベッドから他の人の動きを見ることもリハビリとなり得る、そのアイデアも病棟の構造に取り入れました。ソーシャルワーカーも18人在籍し、在宅支援に注力していることも特徴の一つです。

中でも脳卒中のリハビリテーションが得意と伺っています。

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そうですね、そこが大きな強みといえます。当院では9人の医師が回復期リハビリテーションに関わっていますが、そのうちの7人が日本神経学会神経内科専門医と日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医の両方を取得しています。神経内科の素養を持つ医師が回復期リハビリテーションに携わるという珍しい病院です。他にも、歩行時の脳活動を測定する機器の開発チームに加わったり、医師主導のもと、脳の運動野部分の活動を高めるための練習をすることで機能向上を図るニューロフィードバックの研究にも取り組んだりしてきました。民間病院ではありますが、これまでに当院で博士号を取得した医師が8人、教授になった医師も2人います。また、当院だけで170人の療法士が在籍し、急性期、回復期、生活期と幅広いリハビリテーションに対応していますので、スタッフの研鑽の場としても機能していると捉えています。

血管内治療では専門的な部門が配置されているそうですね。

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心臓血管外科では大動脈瘤に対してステントグラフトという低侵襲の血管内治療に数多く対応しています。これは、2006年の開院当初、国内でも早期にステントグラフトを導入した医師を招聘したことが始まりです。その後、多くの方が当院に学びに来られ、今もその取り組みを継続しています。循環器内科では、動脈疾患全般を診療対象にカテーテル治療を中心とした手術を行い、末梢動脈の閉塞に対する血管内治療における2023年4月から2024年3月までの1年間の症例数は464件に上ります。小動脈については、動脈が詰まることによってできる潰瘍や足の切断の危機に陥るケースにも対応できる専門のフットケアチームを立ち上げています。褥瘡など専門知識を持つ看護師が2人と形成外科の医師、理学療法士がチームで取り組み、他院で足を切断しなければならないと診断された場合でも、切断せずに末梢血流をコントロールできるよう力を尽くしています。

最後に今後の展望についてお聞かせください。

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当院の目の前には森之宮団地があり、5km圏内に100万人が居住する非常に人口密度の高い地域です。そのような環境にあるからこそワンストップサービスを提供し、地域の高齢者に「森之宮病院にかかれば何とかしてくれる」と思っていただけることをめざしています。もう一つは、フラッグシップサービスによって、地域を超えて患者さんに集まっていただくことです。そのフラッグシップは、心臓血管部門と回復期リハビリテーションです。当院の回復期リハビリテーションには、医療圏域を越えて来てくださる方も多く、ありがたく感じています。また、当法人は大規模な訪問看護ステーションを備えています。当院でもこのメガステーションを活用し、病気の改善につながった後、どうしたら生活が続けられるかに視点を置いて医療介護の連携を図り、地域包括ケアへの貢献にも努めていきたいと思います。

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宮井 一郎 病院長

1984年大阪大学医学部卒業後、同大学附属病院第二内科に入局。1990年より国立療養刀根山病院脳神経内科にて勤務し、1994年よりコーネル大学で学ぶ。2000年より特定医療法人大道会ボバース記念病院に入職、副院長、病院長を歴任し、2006年森之宮病院院長代理に着任。2025年1月より現職。医学博士、大阪大学医学部臨床教授。

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