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医療法人藤仁会 藤立病院

(大阪府 大阪市旭区)

上田 章人 院長

最終更新日:2023/04/05

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超高齢社会のニーズに応える地域密着病院

大阪メトロ太子橋今市駅から徒歩4分、京阪電車滝井駅から徒歩10分の場所にある「藤立病院」は1976年開院。一般病床52床・地域包括ケア病床45床の計97床を有し、高度急性期医療・急性期医療の補完的役割を担う地域密着型病院だ。現在は通所・訪問も含めたリハビリテーション、嚥下機能検査・嚥下障害のリハビリテーションにも注力し、生活習慣改善など「一次予防」にも積極的に取り組む同院。高齢化社会のニーズに応える同院の地域での役割や特色、大阪大学歯学部とタッグを組む嚥下機能検査、注力しているリハビリテーションについて、上田章人院長に幅広く話を聞いた。(取材日2023年3月3日)

病院の歴史や地域での役割、また特色を教えてください。

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1976年に開設された当院は、開院当初より地域に密着した医療を提供してきました。現在は一般病床52床、地域包括ケア病床45床の計97床を有し、急性期治療を終えたものの継続して入院加療やリハビリテーションが必要な方、誤嚥性肺炎といった高齢の方に多い疾患など、高度急性期・急性期病院の補完的な役割が主となっています。内科系・外科系合わせて診療科目は14科で、私の専門が呼吸器内科であることから、慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎ほか呼吸状態が悪い方など一般の病院では対応が難しい呼吸器疾患の患者さんも多く入院しているのも特徴です。またMRIやCTを備え、整形外科では手術にも対応。新型コロナウイルス感染症は、地域の中でも特に多くの患者さんを診てきたと自負しています。コロナ禍に地域包括ケア病床を増床しましたので、さまざまな制限をもたらしてきた感染症が落ち着けばさらに多くの患者さんを受け入れることができます。

嚥下機能検査・嚥下障害のリハビリに力を入れているそうですね。

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当院では嚥下内視鏡や嚥下造影検査を用いて、通常のお食事を取ることが困難な方の嚥下機能の評価を行っています。より精密な診断には専門家の力が不可欠ですが、実は詳細な嚥下機能の評価ができる先生はそれほど多くないため、大阪大学歯学部とタッグを組み嚥下を専門とする先生にお越しいただいているのも特色です。これまで「食べることは難しい」とされてきた患者さんも、精密検査により症状に応じた適切な食事・水分がわかることで「食べられる」状態に持っていくことが目標です。嚥下障害は運動器のリハビリとは異なり、必ずしも訓練で改善するというものでもありません。嚥下障害の程度が固定化されているケースもありますので、機能をアップさせることが必ずしも目標ではなく、安全に食事を楽しめるよう「この形状なら食べられる」「このやり方なら飲み込める」などの情報提供と指導をしています。現在は短期を含めた入院での検査とリハビリとなります。

運動器のリハビリテーションについても教えてください。

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地域包括ケア病床を主体とする当院では「自宅に帰る」ことを最大の目標に、その患者さんにとって必要であれば時間や回数にとらわれずリハビリを提供しています。たとえ採算が合わなかったとしても「患者さんが喜んでくださるならやろう」という病院の方針に対し、理学療法士などのスタッフも、その技術を十分に発揮できると生き生きと業務にあたってくれています。また当院のリハビリテーション科は入院・通所・訪問のすべてを1つの部署で担当しているのが特色です。そのため入院中に担当したスタッフが退院後の訪問リハビリでご自宅に伺ったり、通所リハビリで対応したりと一貫対応できるのが強みです。最近では歩行訓練テラスを新設し、患者さんの憩いの場となっています。当院は複数の診療科があるため、例えば整形外科で通っている患者さんでも内科診療が可能ですから、複数の疾患を抱えているご高齢の方も多剤併用防止の面でメリットは大きいと考えます。

今後は「予防」への取り組みも考えられているそうですね。

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院内でのリハビリから在宅復帰、その後のケアまでシームレスに取り組んできましたが、今後は少しずつ疾患になる前の「予防」にも注力していきたいと考えています。現在は社会福祉協議会と連携して高齢者向けの体力測定会に参加したり、自治体などで推奨されている健康維持増進を目的とした体操の指導者の方々に運動をレクチャーしたりという機会もいただいております。これまで病院は「病気をした人が関わるところ」と思われていましたが、これからは地域全体に目を向けて、皆さんの健康をサポートしていけるようになっていければいいなと考え、動き出したところです。昨今、行政から「保健事業と介護予防の一体的な実施」というフレーズもよく聞かれるようになりました。二次予防である健康診断の前、生活習慣の改善といった一次予防にも積極的に協力することは、地域密着病院の重要な役割の一つだと考えています。

地域医療への思いと、地域の方々へのメッセージをお願いします。

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旭区は大きな病院がない地域でもあることから、大阪市旭区医師会を中心に「地域の医療機関が協力し『一つの総合病院』のような機能を果たす」という認識のもと、各施設が得意なところを持ち寄り、協力して地域の患者さんを診ていこうと密に連携しています。コロナ禍以前から活発に交流し、互いに顔の見える関係性を構築してきたため、今もそのつながりはしっかりと機能しています。訪問診療を熱心に取り組んでいらっしゃる開業医の先生たちとも相互に紹介し合うなど連携することで、入院から外来、リハビリまですべての相談ができるため、地域のケアマネジャーさんにも安心してご相談いただいています。当院は1976年からこの地で診療し続けてきました。今後も地域の方々をはじめ、すべての患者さんに安心と安全を提供できるよう、何かあったら「藤立病院に行けば大丈夫」と信頼していただける病院であり続けられるよう、これまで以上に努力してまいります。

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上田 章人 院長

1995年自治医科大学卒業。出身地である石川県内で地域医療に10年超従事した後、箕面市立病院を経て2014年より現職。スタッフの自主性を尊重し、「患者のため」の取り組み提案は積極的に後押しするなど、伸び伸びと働ける体制を整える。院長室に直接「報告・連絡・相談」が上がる、風通しのいい環境も実現。専門は呼吸器内科・アレルギー疾患内科。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。

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