公益財団法人日本生命済生会 日本生命病院
(大阪府 大阪市西区)
立花 功 院長
最終更新日:2025/08/19


全職員で体現する「済生利民」の精神
大阪西部の基幹病院として長年親しまれてきた「日本生命病院」。そのルーツは1924年、病気や障害に苦しむ人々を救うことを目的に設立された「日本生命済生会」にさかのぼる。その後西区新町から立売堀へ移転、そして2018年には西区江之子島に新築移転し、現在の「日本生命病院」へ。病院の基本理念は「済生利民」。「生命や生活を救い、人々のお役に立つ」ことを使命とし、児童養護施設や母子家庭を対象とした健康診断の実施、地域福祉に関する研究誌の発行など社会貢献活動に積極的に取り組んできた。350床の中規模病院ながら、多彩な診療科と部門を備え、院内には予防医学センターや訪問看護ステーションも併設。予防から治療、在宅まで一貫した医療サービスを提供している。さらに新築移転後は、「アートと医療の融合」をサブコンセプトに、魅力ある病院空間の創造にも力を注ぐ。そんな「日本生命病院」を、2021年4月より院長として率いているのが立花功先生。「済生利民」の理念に基づいた取り組みから、今後の病院の展望について語ってもらった。(取材日2025年6月24日)
病院の成り立ちと理念について、まず伺います。

日本生命病院は、生命保険会社による社会貢献事業として1924年に設立された「日本生命済生会」を起点とします。当初は健康相談や巡回診療などを行っていました。1931年には、緒方洪庵の次男·緒方惟準氏が開設した緒方病院を継承し、「日生病院」を開院。理念は、当会設立時から「済生利民」をうたっています。これは「生命や生活を救い、人々のお役に立つ」という考えで、企業立でありながら創設当初から地域医療に貢献する姿勢を貫き、地域のニーズに応じて診療科を拡充してきました。2018年には旧・大阪府庁跡地に新築移転し、名称も「日本生命病院」に。現在は急性期病床350床のうち約半数が個室で、豊富な診療科と診療部門を有し、院内に予防医学センター、訪問看護ステーションを設置し、予防・治療・在宅医療に一貫して対応しています。
切れ目のない医療を提供されているのですね。

病院に併設する予防医学センターは、移転時にスペースを1.5倍に広げ、多様なメニューの人間ドックを実現しています。異常値が出た場合は受診をお勧めし、センターと病院が電子カルテでデータを共有して検診から診断・治療まで、スムーズな診療を可能にしています。がん治療では、ロボット支援手術のほか、放射線治療、薬物療法などの治療を提供するとともに、緩和ケアやリハビリテーション、相談支援などにも多職種で取り組み、患者さんのトータルライフサポートを行っています。訪問看護ステーションでは、当院をはじめ他医療機関や居宅介護支援事業所などとも連携し、在宅ケアの提供を積極的に行っています。
特色ある診療科もこちらの病院の特徴ですね。

当院では以前から女性医療に注力し、7階を女性専用病棟としています。産婦人科では、低侵襲の内視鏡手術やロポット支援手術などを実施。産科では天井にバーチャルウィンドーを設置したLDR室の導入、お祝い膳の提供など、快適性に配慮しています。無痛分娩も始めました。皮膚科では2019年に乾癬センターを開設。関節炎や生活習慣病など多くの併存症がある乾癬に対して、多職種連携によるトータルケアを行っています。各診療科での研究や治験を実施するほか、乾癬患者支援団体の運営にも関わり、情報発信や学習会を通じて医療と患者をつなぐ支援もしています。血液・化学療法内科では、血液悪性疾患に対する造血幹細胞移植を行っています。無菌病室が8床あり、無菌管理が必要な患者さんに対応しています。
社会貢献活動や地域とのつながりも大切にされています。

日本生命済生会を母体とする当院では長年にわたり福祉事業にも取り組み、生活困窮者への診療や児童養護施設での健康診断、母子家庭への乳がん検診などを継続的に実施してきました。これらの活動が評価され、2012年には公益財団法人へと移行。そして2018年に当院は地域医療支援病院の承認を受け、かかりつけ医との連携や救急搬送の受け入れ、医療機器の共同利用も行い、地域の急性期医療を担っています。また登録医向けの「あわざフォーラム」や一般向けの「よくわかる健康講座」、小中学生の「こども医療体験」を開催しており、特に夏休みの「こども医療体験」は、地域の小学生からたくさんの参加申し込みを頂いています。病院敷地内にはイングリッシュガーデンや回遊式コリドーがあり、地域の皆さまに開放しています。また院内には絵画を多数展示し、アートと医療の融合を体現しています。
今後の展望と地域の方々へのメッセージをお願いします。

人口減少や高齢化により急性期医療の需要は今後減少するでしょう。ただ、当院の周辺地域では若年層の人口が増加し、高齢化も進んでおらず、今後も人口が増加すると予測されているので、当院は引き続き大阪市西部医療圏の急性期病院としての役割を担っていきたいと考えています。昨年、日本生命済生会は創立100周年を迎え、2031年には当院も開院100周年を迎えます。地域の皆さまのトータルライフを支え、そのための事業にこれからも取り組んでまいります。

立花 功 院長
1986年大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部附属病院および日生病院で臨床研修。1995年米国ハーバード大学医学部ダナ·ファーバー癌研究所に留学。1998年より大阪大学医学部第三内科、同医学部附属病院呼吸器内科病院教授、同大学院医学系研究科呼吸器·免疫アレルギー内科学准教授を務める。2013年日生病院副院長兼総合内科部長を経て、2021年より現職。大阪大学医学部臨床教授。専門は呼吸器内科。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック(標準)/4万6200円