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医療法人財団厚生会 高津病院

(大阪府 大阪市中央区)

川井 秀一 理事長

最終更新日:2025/09/04

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「たらい回しにしない医療」で地域を支える

谷町九丁目駅から北西へ徒歩5分ほど、都会のオアシス的な存在でもある高津宮のそばに、「高津病院」がある。2024年に創立110周年を迎えた同院は大阪市中央区内では数少ない病院の一つで、地域住民に向けた日常的な診療や救急診療、手術、また大阪市内の急性期病院で治療を終えた患者の回復期医療にも取り組む。糖尿病や呼吸器疾患、循環器疾患などに対しての専門的な内科診療に加え、手術では腹部・消化器疾患、血管病変、整形外科疾患に幅広く対応し、胃ろうや中心静脈ポートの造設といった小規模な外科的手術も迅速に実施。近年はリハビリテーションや各種健康診断にも力を入れる。他院からの転院や在宅復帰では、複数の医療ソーシャルワーカーが緊密な連携を実践。川井秀一理事長は「どんな症状でもまず診て、できるだけ当院で検査や治療を行い、必要に応じて適切に紹介します。地域に根づいた病院だからこそ、小回りが利き、たらい回しにしない医療を大事にしています」と言葉に熱を込める。小規模ながら都心部での地域医療に欠かせない多彩な機能を備えた同院の現在を、川井理事長に紹介してもらった。(取材日2025年7月9日)

長い歴史があり、地域とともに歩んできた病院だそうですね。

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当院のルーツは、鈴木梅四郎が行った大衆医療活動によって1914年に開設された「実費診療所大阪支部」にさかのぼります。その後、大阪大空襲や医療制度の変革に翻弄されながらも、地域での暮らしに必要な医療を低額で行うという姿勢を大事にしてきました。2018年に4代目となる現在の建物を新築して、現在に至ります。当院のある大阪市中央区は、実は病院が少ない地域であり、当院は内科、外科の初期診療に対応し入院治療や救急対応も行う医療機関として、独自の役割を担っています。この場所は繁華街から近く都心部ではあるものの、便利な場所ですので長く住んでいる方が多く、最近では高齢になり一人暮らしをされている方も増えています。このため、外来患者さんはやはりご高齢の方が中心ですね。一方で、大阪市内の高度急性期病院で治療を受けた方が、回復や療養目的で一時的に入院されるケースも増えています。

現在の診療内容について、詳しく教えてください。

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塚本忠司院長も私も、消化器や肝胆膵の外科手術を中心に診療を行ってきました。これらの領域では虫垂炎やヘルニアなどの日常的な疾患からがんまで、主に腹腔鏡での手術が行えます。また当院は以前から下肢静脈瘤やバージャー病など血管病変の手術に力を入れていて、現在も閉塞性動脈硬化症の患者さんを多数診ていますね。外科的な処置としては胃ろうや中心静脈ポートの造設、PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)の挿入にも随時対応し、在宅医療をされる開業医の先生方から多くのご依頼を受けています。近年では患者さんの高齢化に伴って関節痛や骨折が増えましたので、整形外科にも力を入れ、脊椎の外来や手術も実施しています。内科に関しては風邪などを診る一般内科に加え、腎臓、糖尿病、呼吸器、循環器を専門とする外来がありますし、皮膚科の診療も週1回実施しています。地域の患者さんのニーズに応えてきた結果が、今の診療内容だともいえます。

幅広い領域の治療や手術にあえて対応されるのはなぜですか?

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私は大阪市立大学(現:大阪公立大学)の出身で、大学病院や関連病院では肝胆膵の手術が専門でした。当時は、先輩医師の指導を受けながら、消化器や乳腺、甲状腺、肺などの手術手技も習得できましたので、当院でも必要に応じてこれらの手術を行っています。近年では医療が専門化、細分化していて、医師は専門外であれば診療せずに紹介する、といった場面もあるようです。しかし、つらい思いをしながら来られる患者さんに対して、それはあまりにも気の毒だと感じます。当院のような地域の病院では、患者さんとの信頼関係が深まるとさまざまな症状を相談されますし、何軒も断られて当院へ救急搬送されてくる患者さんもいらっしゃいます。私は「たらい回しのない医療」を理想としていますので、どんな症状でもまずは受け止め、救急も極力断らず、診察や検査、治療をできる限り行います。紹介の際には診療情報を添えて患者さんが受診しやすいように努めています。

回復期の入院患者さんは、どのようにサポートされていますか。

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回復、療養期の入院患者さんはこの地域の方に限りません。例えばお住まいは遠方ですが、大阪の急性期病院で治療を受け、「すぐに地元へ帰るのは不安だから、いったんは急性期病院の近くへ転院したい」というケースもあります。そのため最近では地域包括ケア病床を28床に増やし、大規模病院からの入院を調整する前方支援のスタッフと、当院からの退院を調整する後方支援のスタッフを配置して、多角的に情報を収集。各患者さんのご希望に沿える入退院をめざしています。また当院は地域の先生方とも顔の見える関係がありますので、在宅や施設の患者さんの入院も日常的にお受けしています。なお、当院では整形外科の入院患者さんも多く、また入院中は病気を問わず筋力がどうしても弱まりますので、リハビリテーションを充実させてきました。理学療法士も5人体制で、リハビリテーションが継続できるように対応しています。

地域の先生方や患者さんへ、メッセージをお願いします。

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小さな病院ではありますが、多岐にわたる外科手術や外科処置が行えます。患者さんの病状やご年齢によっては、高度急性期病院よりも、検査、手術から回復期まで一箇所でじっくりと受けられる環境が適することもあるでしょう。また胃ろう造設などの外科的処置にも、当院では迅速に対応しています。整形外科疾患を含め、外科治療や手術のできる身近な病院として、お困りの際にはどんなことでも気軽にご相談ください。同時に、患者さんの訴えには専門、非専門を問わずしっかりと向き合い、まずは当院でできる検査や治療をご提案します。症状にお困りで複数の検査が必要であれば、とりあえず入院して治療をしながら検査を行うこともできます。急性期治療後のワンステップとしての入院も可能ですし、退院後を見据えたサポートや終末期医療も行います。幅広い診療機能があるからこその「たらい回しのない医療」を、これからもこの場所で提供していきたいです。

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川井 秀一 理事長

1993年大阪市立大学医学部を卒業後、同大学第二外科学教室入局。同大学医学部附属病院や大阪市立総合医療センターなどで肝胆膵領域を中心に手術の研鑽を積み、2002年に高津病院へ赴任。2006年より病院長兼外科部長を、2010年からは理事長を務める。病院運営では時代に応じた合理化を図りつつ、診療では患者の生活や思い、利便性にも配慮した医療の実践に努める。日本外科学会外科専門医。

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