医療法人社団石鎚会 京都田辺中央病院
(京都府 京田辺市)
野口 明則 院長
最終更新日:2024/06/20
地域医療の中核病院をめざす
近鉄京都線・新田辺駅から徒歩約2分、JR学研都市線・京田辺駅からも徒歩約3分の交通便利な場所に位置する「京都田辺中央病院」は、1980年の開設以来、京田辺市の急性期病院として地域の健康を支えている。救急医療を必要とする幅広い年代の患者に24時間365日体制で対応しているのが特徴で、脳卒中、心臓血管病には先進的なカテーテルを使った医療を提供。また、より体への負担の少ない低侵襲手術を地域住民に提供すべく、ロボット支援下手術の充実にも尽力。若い世代の流入により人口が増えている地域の病院として、小児科、小児救急、産婦人科の診療にも力を入れている。現在は、本館のリニューアル工事が進行中で、2027年には、高機能周産期部門や入院患者のトータル支援機能などを備えた新病院が誕生する予定だ。地域医療の中核病院として、住民の幸せに貢献できる医療の充実をめざしたいと語る院長の野口明則先生に、同院の診療の特色や力を入れている診療、さらに3年後の新病院のグランドオープンに向けた展望などについて語ってもらった。(取材日2024年4月5日)
病院の地域における役割について教えてください。
当院は、人口およそ7万2000人の京田辺市の急性期医療を担う病院です。「断らない救急」をモットーに掲げており、京田辺市はもちろん、周辺の木津川市、精華町、井手町、宇治田原町、城陽市、さらに隣接する大阪府枚方市など広いエリアからの患者さんを24時間365日体制で受け入れています。2023年には、より迅速に脳卒中患者に対応すべく、脳神経外科医が常在する体制を整えました。循環器疾患と、脳卒中を併せ持つ患者さんも多く、脳神経外科と循環器内科が協力し、治療にあたる脳卒中・心臓血管病センターを設けて地域医療に貢献できるよう活動しています。また、小児科の常勤医師が5人在籍しており、お子さんの急性期疾患に対しても、断らない救急を実践しています。
先進的な低侵襲手術を実践されていると伺いました。
低侵襲手術センターを設け、2022年春から前立腺がんのロボット支援下手術をスタートさせました。続いて、胃がん、大腸がんの手術も行うようになり、積極的に活用しています。当院のような病床規模の病院でロボット支援下手術を導入している病院は多くありませんが、ロボット支援下手術の経験が豊富な医師が在籍しており、手術のシミュレーターも備えているため、将来はロボット支援下手術に対応できる人材の育成機関的な役割も果たしたいと考えています。
脳卒中や循環器疾患の治療ではスピードが大切ですね。
脳卒中や心臓血管疾患の治療は時間が勝負です。当院は、脳卒中専門の脳神経外科医が常駐して、血管造影、血栓回収、血栓溶解療法、くも膜下出血などに対応し、循環器専門の医師が心筋梗塞などの急性冠症候群や不整脈に対するカテーテル治療に対応しています。一般に、緊急を要するこうした治療を提供できる病院は限られているため、より早く患者さんの状態を判断し、必要な治療を提供できる病院へ迅速に搬送するための体制整備が求められます。当地域でも、早い段階で血栓回収の必要があるかどうかを判断し、当院へ速やかに搬送できる救急システムの構築を進めています。また、当院がどのような治療に対応できるのかを、救急隊の方々に理解していただくためにも、日頃から地元の救急隊との連携に積極的に取り組み、症例検討会や救急救命士の勉強会、救急車に当院のドクターが乗り込んでいくワークステーション活動なども展開しています。
小児救急に対応している医療機関は少ないですね。
京田辺市及び周辺のエリアには、小児科の医師が常駐して、24時間体制で治療を提供している施設がないのが現状です。このため、急な発熱や熱性けいれんなどで、多くの患者さんが急患として時間外に受診されます。当院は開設当初から小児救急をはじめとする小児科の診療に力を入れているのが特徴です。また、京田辺市では新しい住宅地が開発されて、若い世代、子育て世代の人口が増えているにもかかわらず、木津川以南の京都府南部エリアに出産に対応できる医療施設が少ないという現状があります。このため、当院は産婦人科に5人の常勤医師が在籍し、地域周産期母子医療センターとして機能しています。この先、新生児の誕生の増加も予想されており、地域の小児科、産婦人科医療の拠点となれるよう、大学病院などのサポートを受けながら、いっそう充実した医療の提供をめざしています。
今後の目標や展望を聞かせてください。
脳卒中、心臓血管疾患に加えて消化器がんの治療でも、地域の拠点となりたいと考えています。消化器内科と消化器外科がともに患者さんを支える消化器がんセンターや健診センターの機能を生かしながら、診断から手術、術後まで切れ目のない診療を提供したいですね。2027年のグランドオープンに向けて、新病院の建築を進めていますが、病床が増えて250床規模になり、入院予定の患者さんの情報をあらかじめ把握してトータルな支援を提供する患者支援センターや高機能周産期部門などを設置する予定です。当院は地域の方々の幸せに貢献する施設として存在しています。地域の急性期医療を担う病院として、地域の方々の健康を支えるために、住み慣れた地域で必要・十分な医療を提供する体制を整えてまいります。工事期間中はご利用される方にご迷惑をかけることもあると思いますが、ご理解、そしてご期待いただければと思います。
野口 明則 院長
京都府立医科大学卒業。松下記念病院などを経て、2022年より副院長・外科部長として京都田辺中央病院に赴任し、2023年より現職。専門は外科、消化器外科。現在も外科部長として後進の育成に力を入れ、自身が診療にあたる際は患者の立場、気持ちになって医療を提供することを心がけている。休日はゴルフや映画を楽しむ。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。