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福岡ハートネット病院

(福岡県 福岡市西区)

樋口 雅則 病院長

最終更新日:2022/12/22

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“医食住”の町づくりをめざした医療を

1914年に炭鉱職員とその家族のための診療所として開設された早良病院を前身とし、2022年4月に「福岡ハートネット病院」が開院。地域住民のプライマリケアを中心に、リウマチや膠原病、人工関節の手術、心不全治療、日常生活に戻るための各種リハビリテーションなど、幅広いニーズに応えている。また同院が中心となった“医食住”の町づくりとして、病病連携、病診連携に取り組むほか、訪問診療や訪問看護などを行い、地域・行政との協力連携をめざしているという。樋口雅則病院長は「姪の浜エリアは住宅地として人気があるところ。若い世代からお年寄りまで幅広い世代が暮らしている。その人たちがずっとここで安心して暮らせるように、医療の提供だけではなくさまざまな仕組みづくりに取り組んでいきたい」と意気込んでいる。健康づくりの一環として早朝のジョギングで汗を流すという樋口病院長に、病院の歴史をはじめ、特徴的な診療、町づくりを目標とした福岡ハートネット病院版の地域包括ケアシステムなどについて詳しく話を聞いた。(取材日2022年11月22日)

病院の成り立ちや病院名に込めた想いをお聞かせください。

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姪の浜に炭鉱があったことを知らない方も多いかもしれませんが、当院は炭鉱職員とその家族のために開設された早良病院から始まりました。炭鉱閉山後は地域の一般病院となり、1974年には現在の場所に移転し、2022年4月から「福岡ハートネット病院」と名前を変更して新たなスタートを切りました。この名前には病状回復だけではなく日常生活への復帰をめざし、“心(ハート)”の通った医療を届け、さらに関連施設や周辺医療機関、行政との協力、院内における多職種連携を含めた“安心のネットワーク”で、患者さんやご家族を支援したいという想いが込められています。ロゴマークは病気から回復に向かっていく姿、医療・関係機関と手を取り合って地域医療の品質向上に取り組んでいく様子を表現しています。まだまだ早良病院としての歴史が長く、以前からのイメージを持っている方も多いので、私たちの考え方をどんどん伝えていきたいと思っています。

理念と地域における役割についても教えていただけますか?

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当院の理念は早良病院時代と同じく、「人の尊厳を大切にする医療」「信頼できる医療」「心のかよう医療」の3つになります。その上で一人ひとりの患者さんと向き合う真摯な姿勢、多職種連携、積極的な地域活動という強みを生かして、地域の中心的な役割を果たしていきたいと考えています。それは単なる医療の提供ではなく、“医食住”の町づくりに取り組んでいくことを意味します。そうして地域住民の生き方を支える病院になりたいと思います。多様なニーズに応えるため、内科、整形外科、リハビリテーション科、麻酔科を標榜し、病院機能のほか在宅支援として通所リハビリテーション施設や訪問リハビリテーション、訪問看護ステーションも備えています。緊急を要する循環器疾患や脳血管障害などについては近隣の高度医療機関にお願いする一方、入退院支援クラウドシステムを用いるなどしてリハビリ目的の転院を積極的に受け入れています。

力を入れている診療分野はありますか?

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2020年から佐賀大学整形外科の馬渡正明教授に協力いただき、整形外科領域の手術を本格的に開始しました。大腿骨頸部骨折をはじめとした骨折、脊椎の圧迫骨折、変形性関節症や先天性の形成不全に対する人工関節置換術などに対応可能です。高い水準を満たした無菌手術室を備え、専任の看護師による衛生管理、常勤の麻酔科医師の全身管理と、患者さんが安心して手術を受けられる体制を構築しています。このほか、2022年には循環器内科の医師が3人着任しました。また、今後の高齢化による心不全患者の増加を見越し、心臓リハビリにも注力していきたいと思います。心臓カテーテルができる設備はありませんが、急性期治療の途中で当院に転院いただき、リハビリまでを見据えた治療を行うことも可能になりました。開放型病院として地域医療機関との連携強化を図っており、かかりつけのクリニックにMRIやCTがなくても当院で検査が可能です。

リハビリテーション科もこちらの病院の特徴の一つですね。

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理学療法士、作業療法士、言語聴覚士約50人を配置し、急性期病院での治療を終えた患者さんはもちろん、当院で整形外科の手術を終えた患者さんのリハビリテーションに対応しています。特徴的なのは高次脳機能障害などの患者さんが自動車運転復帰に向けたリハビリができることでしょうか。院内にドライブシミュレーターがあるので、運転の評価・訓練が可能です。実際に教習所で指導をしていたスタッフがサポートしますし、近隣のドライビングスクールに協力をいただいた上で実車による評価も行うことができますよ。さらにVRを利用したリハビリ機器も導入し、ゲーム感覚で歩行に必要な運動機能や姿勢バランス、認知機能を複合的に評価しながら訓練することができます。また身体機能訓練だけではなく循環器疾患に対する心臓リハビリも行うことができるので、幅広い疾患の回復期をサポートしています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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当院のグループには在宅型有料老人ホームやグループホーム、福祉用具の賃貸・販売店、ヘルパーステーション、デイサービスセンター、ケアプランセンターがあり、医療と介護の連携に対応していますが、地域から真に必要とされる病院になれるよう、2022年には訪問診療も開始しました。地域の皆さんが住み慣れたエリアで自分らしい暮らしを最後まで送ることができるよう、地域一帯で支援するという福岡ハートネット病院版の地域包括ケアシステムの構築を進めています。次のステップは地域住民との接点をつくり、行政や地域の企業とタイアップしていくこと。まずは最寄りの姪浜駅近くに「御用ステーション」のようなものを設置して、これまでの健康教室を双方向にしていきたいと考えています。病気以外にも幅広く健康のことを相談できる窓口をつくり、「一人ひとりの生き方を支え、街づくりに貢献する」という、当院のビジョンが達成できればうれしいですね。

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樋口 雅則 病院長

1991年九州大学医学部を卒業後、第一内科に入局。同大学院医学研究科内科系内科学専攻修了。福岡逓信病院に勤務。アメリカに留学し、スタンフォード大学医学部免疫学リウマチ学部門で学ぶ。福岡中央病院内科系統括部長、早良病院副院長などを歴任し、2022年4月より福岡ハートネット病院病院長を務める。

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