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社会福祉法人恩賜財団済生会支部大阪府済生会 大阪府済生会中津病院

(大阪府 大阪市北区)

志手 淳也 院長

最終更新日:2024/08/27

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より質の高い急性期医療の提供をめざす

再開発が進む北梅田エリアに立つ「大阪府済生会中津病院」は、1916年に全国で3番目の済生会の病院として設立され、100年以上の歴史を持つ。時代とともに病院の規模や施設はさまざまに変化してきたが、済生会の設立精神の「施薬救療」の精神を大切に、地域に寄り添う医療を提供し続けている。かつては、総合病院として急性期から慢性期まで幅広い医療を提供していたが、2023年春に亜急性期のリハビリテーション治療を行う大阪府済生会大阪北リハビリテーション病院が開院。中津病院はより急性期医療にフォーカスした病院へとシフトし、新しい設備を積極的に導入するなど、医療の専門性をいっそう充実させている。2022年より院長を務めるのは、同院の注力分野でもある循環器を専門とする志手淳也先生。「医師として治療の技術はもちろん、患者さんへの言葉がけを大切に考えている」と話す先生は、済生会病院の伝統を大切に受け継ぎながら、時代を先取りする診療の提供に努めている。志手院長に、同院の特徴や新しい取り組み、院長としての病院づくりのポリシーなどを語ってもらった。(取材日2023年7月31日)

病院の特徴や地域における役割について教えてください。

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看護専門学校や児童福祉施設、特別養護老人ホーム、リハビリテーション病院などから成る「大阪府済生会中津医療福祉センター」に所属する570床の病院です。31の診療科があり、大阪駅や大阪梅田駅に近く、交通アクセスが良いことも手伝って、幅広い地域から患者さんがお越しになります。これまでは回復期を含めてトータルに対応してきましたが、2023年度から同じ大阪府済生会の大阪北リハビリテーション病院と機能を分散して、当院はより急性期に特化した病院にシフトしました。医療に対して高い専門性を求められる中、すべての分野でクオリティを維持するのは容易ではありません。そこで病床の数を減らし、より専門性の高い医療を提供できる体制にしたのです。とはいえ、2つの病院は同じグループ内の施設なので、トータルな医療を提供できます。また、医師や看護師など人材の交流も盛んで、両方の病院で院内研修を実施できる制度も整えています。

特に注力されているのはどのような診療分野ですか。

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がん診療には特に注力しており、当院の得意分野の一つでもあります。磁気強度が高く高解像度の撮影が可能なMRIに加えてPETも導入しており、より質の高い診断をめざしています。治療においても、幅広い放射線治療に対応できる新鋭の線形加速器システムによる治療を開始しました。泌尿器科などではすでに活用している手術支援ロボットについても、新型を導入し、婦人科や外科などにも活用範囲が広がっています。当院は、ほぼすべての診療科がそろっており、さらに診療科を横断した診療にも柔軟に対応できるよう「がん診療支援センター」が、きめこまやかなサポートを提供しています。同センターでは、医師のほか看護師、薬剤師、放射線技師などがチーム医療を提供するとともに、患者さんのお悩みにも対応しており、こうした体制を生かして患者さんのご要望に応えられるがん診療の提供に努めてまいります。

循環器系の診療にも強い病院と伺っています。

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循環器を得意とする医師やスタッフが充実しており、新しいカテーテル治療の教育にも力を入れています。「脳・心・血管治療センター」が新たに開設され、カテーテルを用いて心臓の弁を治療する、ストラクチャーハートと呼ばれる治療を開始します。センターには血管造影とカテーテル治療や手術が1つの空間で行えるハイブリットルームを設置し、バイプレーン型の血管造影装置も新型に更新しました。ハイブリットルームは手術が行える環境を保ちながら、急変時にも迅速に対応できるのが強みで、カテーテルで人工の心臓弁を留置するTAVIと呼ばれる治療を行うためには、このハイブリットルームが必要です。また、バイプレーン型の血管造影装置は、1回の造影剤の注入で2方向からの撮影が可能です。造影剤の量を減らして患者さんの負担を軽減するとともに、2方向から撮影することでより繊細なカテーテル治療の提供にもつながります。

院長として病院づくりで心がけておられることを教えてください。

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病院は患者さん、職員双方にとってウェルビーイングなものであってほしいと考えています。このため院長就任時に“思いやりと活力あふれる病院”をスローガンに掲げ、「スマイルホスピタル運動」をスタートさせました。毎月第一火曜の朝に、院長をはじめとする幹部職員が病院の玄関に立ち、患者さんや職員にあいさつを行います。また普段から、職員とすれ違った際には「お疲れさま」など、私のほうから積極的にあいさつをします。院長室を訪ねて来てくれたスタッフに対しても、しっかりと話を聞いて、入ってきた時よりも元気になって院長室を出て行けるように配慮しています。これまで、さまざまな病院を訪ねたことがありますが、良い病院ではスタッフがよくあいさつをしていて、患者さんに対しても「何かお困りですか?」など、優しくお声がけしていました。そうした職員同士や患者さんに対する思いやりが、活力あふれる病院づくりにつながると考えています。

今後の展望を聞かせてください。

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安全に配慮しながら、最善の医療を提供できる病院でありたいと考えています。そうした姿勢を貫くためには、しっかりとした経営基盤が必要です。当院では良い経営状態を保っていくことを大切にしつつ、設備投資も行っていきます。特に救急患者さんのより積極的な受け入れと、地域連携のさらなる強化に努めたいと考えています。また、スタッフの福利厚生にも力を入れ、院内に保育園と病児保育施設を併設しています。100年以上に及ぶ伝統を汚すことがないよう、これからも誠意ある医療の提供に努めてまいります。充実した機器をそろえ、新しい医療の提供に努めていますが、決して敷居が高い病院ではありません。公的な病院なので利益よりも患者さん第一の姿勢を大切にしており、無料低額診療などの制度も整っています。お困りの際には、お気軽にご相談いただければと思います。

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志手 淳也 院長

1986年神戸大学医学部医学科卒業。神戸大学医学部附属病院、兵庫県立柏原病院、兵庫県立姫路循環器病センターなどで経験を積む。大阪府済生会中津病院循環器科副部長、部長、副院長を経て2022年8月より現職。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器病学会認定循環器専門医。六甲山での山歩きがリフレッシュ法。

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