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独立行政法人地域医療機能推進機構 大阪病院

(大阪府 大阪市福島区)

西田 俊朗 院長

最終更新日:2023/09/07

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診療の特色を打ち出し地域住民の未来に貢献

大阪市福島区、広々とした下福島公園に隣接する「大阪病院」。大阪市民に「大阪厚生年金病院」の名で親しまれてきた同院は、2014年より独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)へと参入して病院名を変更し、2015年には13階建ての新病院で診療を開始。大阪市西部地区をはじめ関西一円を診療圏とする地域医療支援病院として、新たな歴史を刻んでいる。一般病床565床と幅広い診療科を有し、専門性の高い診療が特徴的な整形外科、母子医療センターなどさまざまな診療を展開。また、早くから医療現場の働き方改革に取り組み、院内保育所や育児支援制度などを導入している。臨床教育の場としても知られており、研修医をはじめ多くの医療職が実践を学ぶ。2020年4月に院長に就任した西田俊朗先生は、大阪大学やその関連病院で長らく勤務したのち、国立がん研究センター東病院や同センター中央病院の院長を歴任。その経験から「当院ならではの強みを生かしつつ、これからの医療ニーズを追求してより充実させ、地域医療に貢献していきたい」と語る。(取材日2020年6月3日/情報更新日2023年7月3日)

最初に、こちらの病院の歴史をご紹介ください。

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当院は1952年に開業し、昨年70周年を迎えました。当初は戦後に増えた肢体不自由の方にリハビリテーションや義肢の製作を行うべく、整形外科を中心とした54床の病院として開設されたそうです。このため院長は初代、第2代ともに整形外科領域に精通する先生方でした。現在、当院の整形外科が非常に専門性の高い診療や研究を手がけるなど充実しているのは、このような歴史があるからです。その後当院は診療科を増やし、改築や増床を繰り返して、地域の総合病院として1970年代には560床を有していたそうです。救急医療や重症患者の集中治療、地域医療機関との連携にも早くから取り組み、地域で親しまれる病院となりました。2014年には地域医療機能推進機構法に基づき公的機関の見直しがなされ、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が発足し、当院も病院名を変更。2015年には新病院が完成し、新たな姿で診療にあたっています。

常に前進される貴院ですが、新たな取り組みをお聞かせください。

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長きにわたり信頼されてきた病院ですが、多様な患者・地域のニーズと、複雑な社会、急速に発展する医療に対応できるより一層魅力ある大阪病院を作るため、1年以上かけて大阪病院のビジョンを刷新しました。患者さんご家族や地域の皆さんにご協力を仰ぎ、職員一同でパーパス(存在意義)、ミッション、ビジョン、クレドを作りました。私たちのパーパスは「より最適な医療と温かいこころで“あなた”と“地域”を支えます」としました。これを実現するためのミッションは、専門的で高度な医療を提供できる体制を保ち、一人ひとりに寄り添い最適な医療を提供すること、未来の医療を支えるプロを育成すること、変化するニーズに真摯かつ迅速に応えること、職員が互いに支え合い高め合い、より良い医療を提供することをうたっています。地域の皆さんのご要望に対して当院の特色を明確にし、患者さんが今まで以上に利用したいと思える病院にしたいですね。

病院の特色となる診療分野を教えていただけますか?

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少子高齢化、特に高齢化に伴って増加する病気への対応は必要不可欠です。整形外科には脊椎、人工関節、リウマチ、手の外科・外傷、スポーツ整形という専門部門が設けられ、各領域のエキスパートが専門性の高い診療を行っています。高齢化に伴い骨や関節の病気に悩む方は増えていますが、同時に整形外科疾患は治療まで多少「待てる」ものでもありますので、大阪市内のみならず京阪神全域から受診してもらえればと考えています。もう1つは周産期医療です。昨今では少子化が危惧されていますが、JCHO大阪病院は都心部にあり若い世代が多く分娩数は減っていません。2022年から無痛分娩を開始し、2023年4月からは4人の病室を2人にし、内装もラグジュアリーな雰囲気にリニューアルしました。また、当院の母子医療センターも規模が大きくNICUもあり、新生児医療も充実しており安心して出産してもらえるように体制を整えています。

ほかにも、近年で充実させた診療分野はありますか?

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心血管系・循環器系疾患診療は一刻を争う場合があるため、地域医療機関への期待が高い領域です。当院の循環器内科や心臓外科では現在も質の高さにこだわった治療が可能です。大阪大学医学部附属病院から人材を派遣してもらい、救急搬送のみならず不整脈や虚血性心疾患に対応できるよう診療体制を強化しました。小児を含む若年性の心不全治療や治療での痛みが少ないカテーテルアブレーションも実施しています。頭部疾患では、脳神経内科の診療体制を整え、脳卒中だけでなく変性疾患にも対応しています。また、がん診療においては、近くロボット支援手術が行えるよう設備を整え、まずは大腸、泌尿器、胃からはじめ、今後は婦人科がんにも対応していきたいと思っています。当院は消化器がんの内視鏡治療や手術も得意としています。今後は化学療法ができる医師を育成して、両者を組み合わせた包括的な治療を提供できるようにしたいと考えています。

最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

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これからも救急医療の充実を図り、公的医療機関として行政と協力しながら、地域の医療を支えていくことが私たちの使命です。しかし一方で、人口構造や社会組織の変容において医療機関の在り方は変革を求められています。より良い病院となるには「オープン化」が必須です。例えば、当院の強みである「総合力」は複数疾患のある高齢者医療には不可欠ですが、診療科数や高度な医療レベルは当然のことであって、具体的に患者さんにとって必要なことは、介護や福祉とのつながりや待ち時間短縮のほうが大きいかもしれません。そういった生の声を形にして生かしていくため、医療消費者である患者さんに病院改革に参画していただき、患者さん目線で医療や病院運営を見直したいと考えています。潜在的なニーズを明らかにし、今現在ない医療サービスまでこちらから提案できることが私の理想です。「ここに来てよかった」と思ってもらえる病院をめざし邁進してまいります。

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西田 俊朗 院長

兵庫県出身。1981年大阪大学医学部卒業後、関連病院で研修。1990年米国タフツ大学へ留学。1994年より大阪大学にて勤務し、2002年同大学医学系研究科講師、後に同大学医学部附属病院教授。2009年より大阪警察病院外科系統括部長・副院長などを務める。2013年国立がん研究センター東病院院長、2016年より同センター中央病院院長を歴任し、2020年4月より現職。専門は胃がん、消化管間質腫瘍。

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