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市立伊丹病院

(兵庫県 伊丹市)

中田 精三 伊丹市病院事業管理者

最終更新日:2022/12/14

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院内外で「チーム医療」を推進する中核病院

「安全で、安心な、信頼される医療を提供します」を理念に掲げ、地域の健康を支える「市立伊丹病院」。各診療科が一丸となって、複数の疾患を抱えることも多い高齢者の治療にあたるほか、近隣の医療機関や大学病院との強い連携といった「院内外でのチーム医療」を推進している。2025年には公立学校共済組合 近畿中央病院との統合と新病院への建て替えを控えており、数年後を見越した診療体制強化にも取り組んでいる最中だという。「安全で、質の高い医療を、効率良く」を臨床上のテーマに掲げる伊丹市病院事業管理者の中田精三先生に、同院の考えるチーム医療や注力している診療、がん診療や統合新病院などについて話を聞いた。(取材日2022年8月24日)

病院で実践している「チーム医療」について教えてください。

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社会の高齢化に伴い、複数の疾患を抱えている患者さんが増えています。かつては患者さんの年齢が若く「その病気さえ治したらいい」という考えが通用しましたが、現在は多分野の医療者がチームを組み、何が起こるかわからないことを念頭に置いて対応しています。例えば糖尿病の患者さんでしたら足病変に対応する整形外科、潰瘍対応の皮膚科、見た目や機能に対応する形成外科が初期の段階から連携して治療にあたり、入院・手術の場合は、各診療科の診察内容や服薬状況の調査、感染症検査など、あらゆることを確認するため周術期管理チームによる術前の外来を行うという流れが確立しています。チーム医療は院内だけにとどまりません。近隣の近畿中央病院や兵庫県立尼崎総合医療センターほか、大阪大学医学部附属病院などと連携し「地域でのチーム医療」も推進しています。新型コロナウイルスの感染拡大下においては、特にこの地域の力が発揮されたと考えています。

注力している診療について教えてください。

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当院で最も手術件数が多いのは整形外科で、科主任部長である中井毅副院長のもと股関節や膝の人工関節手術は県下でも多くの症例数があります。私が当院に赴任した時は整形外科医は少人数だったものの、現在は大学にもご協力いただき、腰や手などそれぞれの専門家がそろい、たいへん大きな力を持つ診療科となりました。2021年1月~12月には合計1474例の手術を行っており、整形外科は当院の強みの一つです。また周産期医療については、各診療科が連携して合併症のある患者さんにも対応しています。私の専門は心臓血管外科で、大学病院勤務時代に心臓疾患のある妊婦さんを多く担当してきました。そのような経験を通じて、周産期医療は新しい命を抱きご家族が笑顔で帰宅される「最も楽しい医療」だと感じており、今後より力を入れていきたいと考えています。また循環器内科には不整脈を専門とする医師が複数在籍しており、受診される方も増加しています。

がん診療についてはいかがですか?

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2019年には地域がん診療連携拠点病院の指定を受け、さまざまながん診療に対応しています。患者数の多い消化器がんに対応する内視鏡専門部門や、手術支援ロボットの専門チームの結成、先進のがん治療にも取り組むほか、がん相談支援部門も設置しています。乳がんに対しては乳腺外科と乳房再建を行う形成外科がタッグを組んで診療にあたっているのも特徴です。乳がん診断に注力する病院として、医師を送ってくださっている大学から「阪神間の中心的存在になって取り組んでほしい」と、うれしいお言葉もいただいております。また形成外科の医師が、がん治療部位のそばに発症することのあるリンパ浮腫に対して、顕微鏡下リンパ管静脈吻合術の治療を得意としており、今後はそちらにも力を入れていきたいと考えています。

2025年には近畿中央病院と統合し、新病院となります。

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近年、厳しく求められている「公立病院改革」について検討を重ねた結果、近畿中央病院と統合し、当病院を建て替えるかたちで統合新病院を建設することとなりました。近畿中央病院とは双方の得意分野が異なることから、互いを補完し合える良い連携先として関係を構築してきました。注力分野がかぶっていないため、全602床を予定している新病院でも、より良いかたちで診療をスタートできるのではないかと考えています。新病院は2025年度開院予定で、脳卒中や心筋梗塞など24時間365日対応の救急や緩和ケア病棟、周産期医療などの機能の拡充・強化を計画しています。また現在、当院は小児外科外来しか設置されていないのですが、2025年度の開院を見据えて小児外科の常勤医師も赴任する予定です。これらの計画には多くの方々、さまざまな機関のバックアップを受けており、皆さまにはたいへん感謝しています。

今後の展望と地域の方々にメッセージをお願いします。

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地域の方々の健康を守るためには、医療の提供と同時に予防もとても重要です。例えば肺がんは、ステージ4まで進行してから診断される方が多いのですが、CTを撮影すればその前の段階で発見することができます。以前、心臓血管外科で胸部CTを撮影し、怪しいと思って精査したら肺がんだったというケースもあります。大腸内視鏡検査の普及に伴って、早期で発見されるがんが増えているように、現在は優れた医療検査機器があるのですから、有効に活用して少しでも病気の方を助けられたらと思っています。私の臨床に対する考えは「安全で、質の高い医療を、効率良く」です。この3つをこの順で対応すれば、良い診療が行えると信じています。今後も当院内でのチーム医療で地域の方々にしっかりと治療を提供していき、病状に応じて近隣の医療機関、大学病院と連携するなど地域全体での「チーム医療」に取り組み、地域の方々の健康を守っていきたいと考えています。

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中田 精三 伊丹市病院事業管理者

1970年大阪大学医学部卒業後、同大学第一外科入局。同大学医学部附属病院手術部部長、同病院教授を経て、2008年4月より伊丹市病院事業管理者に就任。2025年に予定されている近畿中央病院との統合計画で中心的役割を担う。日本手術医学会常任理事、大阪府薬事審議会委員、伊丹市医師会理事も務めるなど多方面で活躍。米国UCLAへの留学経験も持つ。専門は心臓血管外科。日本循環器学会循環器専門医。医学博士。

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