全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,944件の情報を掲載(2025年1月29日現在)

  1. TOP
  2. 兵庫県
  3. 芦屋市
  4. 芦屋駅
  5. 市立芦屋病院
  6. 佐治 文隆 事業管理者

市立芦屋病院

(兵庫県 芦屋市)

佐治 文隆 事業管理者

最終更新日:2023/10/03

Main z52217 20230726 037Main z52217 20230726 037

市民の充実した人生を健康や医療から支える

「市立芦屋病院」はJR神戸線芦屋駅から車で約7分、芦屋市街を見渡せる六甲山麓にある。開設から70年という歴史をもつ同院は2012年に病棟の新築・改修を実施し、病院機能の刷新を進めてきた。“小規模自治体を支える199床の病院”という立ち位置を踏まえ、事業管理者である佐治文隆先生がめざしたのは「良質な医療を提供できる市民病院」。公立病院であるだけに救急や小児などの政策医療、また地域内医療機関との連携を強化しつつ、消化器がんや緩和ケアなどいくつかの領域では特色ある専門性の高い診療を展開、一方で分娩や高度急性期医療については近隣都市の大規模病院との役割分担を行っているという。医療情報のDX化に早期に取り組んできた点も同院の強みだ。また人間ドックセンターや市民公開講座を通じて健康への関心を高め、市民の健康寿命や病気の早期発見をサポート。介護や福祉領域とのつながりも重視し「市民の信頼に応え、その人に適した人生を送ってもらえるような医療を提供したい」と穏やかに話す佐治先生に、診療の特徴や市民との関わりについて、詳しく聞いた。(取材日2023年7月26日)

芦屋市で数少ない公立病院だそうですね。

1 z52217 20230726 207

芦屋市は国際文化住宅都市として全国的にも知られる街ですが、人口は9万3000人程度と小規模の自治体で、ほかには私立病院も2つのみです。当院は1952年の開設当初から現在の場所で診療を続け、先頃70周年を迎えたという歴史もあり、市の中核病院という役割があります。ただ隣接する神戸市や西宮市には大規模な高度急性期病院がありますし、当院は199床という規模ですから、何でもできるような設備や体制はありません。そこで、当院ならではの特徴ある医療をめざしています。1つは市立病院として提供すべき政策医療で、小児を含めた救急診療や母子医療、また、緩和ケアを含めたがん診療も当院の特色になっていますね。それから健診・検診や人間ドックを通じた疾病予防や早期発見に力を入れていますし、近隣の医療機関との病診連携・病病連携については、情報共有システムの構築に早くから取り組んできました。

診療内容について、詳しくご紹介いただけますか。

2 47684 20230721 %e5%8a%a0%e8%97%a4 %e5%b1%8b%e4%b8%8a%e5%ba%ad%e5%9c%92

救急については24時間365日の救急診療を内科と外科で実施、小児科でも近隣の病院と輪番制を組み、当院は土日を担当しています。お子さんの入院治療も可能です。消化器内科や血液内科、腫瘍内科ではがん診療に力を入れており、当院では199床のうち24床が緩和ケア病床ですので、緩和ケアと双方向に連続性のある治療を行っています。母子医療については、分娩は兵庫県立西宮病院の地域周産期母子医療センターなどにお願いしていますが、妊婦健診や産後の母子のサポート、子育て支援には力を入れています。また小児科では最近、医師や言語聴覚士による学習支援の外来を行っていて、かなり遠方からも患者さんが訪れています。専門の外来としては他にも、嚥下・栄養や脳疾患、乳腺、ヘルニア、人工関節、リハビリテーションなど身近な症状に関する外来があり、患者さんやご家族の日常生活を良くしていけるよう、多職種によるチームで医療提供しています。

がん診療と緩和ケアについて、詳しく教えてください。

3 47684 20230721 %e5%8a%a0%e8%97%a4 %e6%b6%88%e5%8c%96%e5%99%a8%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%bc

消化器がんに関しては消化器センターで、胃や腸の内視鏡、カプセル内視鏡のような新しい機器も活用しながら検査や診断を行い、初期であれば内視鏡治療も行います。さらに化学療法や消化器外科での手術などを含めた集学的な治療を、患者さんの病状に合わせて実施できます。他院で治療を受けた方の追加治療や再発時の受け入れも柔軟に行っています。緩和ケアでは終末期のケアだけでなく、痛みを軽減するための治療にも力を入れています。これによって心身を整え、再び治療に取り組む患者さんや、在宅復帰をかなえる患者さんがいればうれしいですね。当院には日本看護協会緩和ケア認定看護師や、公認心理師も常勤しており、緩和ケア病棟の穏やかな雰囲気の中で、薬物による痛みのコントロールを図ることに加え生活支援、心のケアに至る包括的な緩和ケアが可能です。阪神間や大阪市内の高度急性期病院から、ご紹介で転院されてくる患者さんも多いですね。

予防や早期発見に向けた啓発活動にも注力されています。

4 47684 20230721 %e5%8a%a0%e8%97%a4 %e4%ba%ba%e9%96%93%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%bc

芦屋市は特に女性の平均寿命が長い街ですが、ただ長生きするのではなく、健康寿命を延ばしていただくことが大切です。そこで人間ドックセンターでは基本的な検査のほか多数のオプション検査も実施しています。さまざまな費用助成があり、ドック終了後には管理栄養士監修によるランチもご用意していて、9割以上の稼働率が続くなど多数の方にご利用いただいていますね。また、予防医療においては日常的な広報活動も非常に重要な役割を担います。2023年の春からは数年中断していた「市立芦屋病院公開講座」や「健康フォーラム」を再開しました。来場者からは質問も出るなど、熱心にご参加いただいています。また新型コロナウイルス流行前にはお子さんやファミリーに楽しんでいただけるオープンホスピタル、「ホスピタルフェスタ」も開催していました。いずれはこういった行事も再開して、年齢を問わず医療や予防を身近に感じてもらえるようにしたいですね。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

5 47684 20230727 %e5%8a%a0%e8%97%a4 %e7%89%b9%e5%88%a5%e5%ae%a4

地域の先生方とは、これまでも地域連携室を通じて密接な関係を築いてきました。ただ、患者さんは各地から来られますし、医療分野でもICT(情報通信技術)を活用した情報共有は将来的に患者さんの大きなメリットになると考え、医療情報のデジタル化には積極的に取り組んでいます。開業医の先生方が当院の電子カルテ情報を参照できる独自のシステム「芦っこメディカルりんく」や阪神間の医療情報共有システム「むこねっと」を運用、また院内には電子処方箋を発行できる医師も増えています。時代の流れや患者さんの利便性を常に意識しながら、独自の文化をもつ「芦屋」という地域社会に信頼される病院であることが、使命であると考えています。病院のご意見箱に、苦情を上回る感謝の言葉を寄せてくださるのが芦屋の皆さんです。当院は期待に応え、介護や福祉とも連携しながら、皆さんにより良い生活、充実した人生を送っていただけるように努めていきます。

Main z52217 20230726 037

佐治 文隆 事業管理者

1968年大阪大学医学部を卒業後、同大学産科学婦人科学教室入局。1980年には米国ロズウェルパーク記念研究所へ留学。大阪府立成人病センター(現・大阪国際がんセンター)診療部長等を経て2003年より国立病院機構呉医療センター院長、また国立病院機構理事も務めた。2009年より現職。「良質な医療と健全な経営は車の両輪」をモットーに診療機能の選択と集中を進め、「芦屋らしい」病院づくりに取り組む。

自由診療費用の目安

自由診療とは

人間ドック:基本検査/5万円、主なオプション検査:脳ドック/2万6400円、腫瘍マーカー/男性4400円、女性6160円、骨塩定量検査/3960円、大腸内視鏡検査/2万6400円

access.png