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医療法人社団純心会 パルモア病院

(兵庫県 神戸市中央区)

山崎 峰夫 病院長

最終更新日:2020/12/01

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赤ちゃんの健やかな成長を理念に邁進する

元町駅から山の手へ向かい、歩くこと約3分。静かな場所に立つ「パルモア病院」。日本の周産期医療の発展に尽力してきた三宅廉医師が、乳幼児の死亡率が高かった1956年に、健やかな出産と親子関係を育むため「産科と小児科を連携させたい」として同病院を設立。一時は諸問題の重積により経営危機に陥ったが、2014年に新法人となり、スタッフや体制はそのままに再スタートを切った。その前年に院長に就任し、多くの苦難を乗り越えてきたのが山崎峰夫先生。神戸大学医学部出身で長く周産期医療を手がけ、妊娠高血圧症候群に精通。「産科の現場にずっといたことが、こちらに来てもたいへん役立っている。私の役目はパルモアの灯を受け継いでいくこと」と話す。ハイリスク分娩にも多くの実績があり、産科専門の麻酔科医師が常勤。そんなパルモア病院を束ねる山崎院長に「赤ちゃんの健やかな成長」を理念とする病院のさまざまな活動について聞いた。
(取材日2020年10月15日)

病院の成り立ちを教えてください。

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1956年に京都府立医科大学の教授であった小児科医師の三宅廉先生が「赤ちゃんの健やかな成長」をめざして設立されました。当時の新生児医療は、小児科が診るのか産科が診るのかがあいまいで「産科と小児科の谷間」と言われていた時代。その谷間から診ていく必要性を唱えて、今では当たり前となっている周産期医療を実践していった病院です。私は当院に2013年4月に着任しました。ちょうどその頃当院は、経営危機に陥っていて、民事再生法も適用され事実上の倒産状態となった時に、現在の法人と出会い再生したという経緯があります。前田隆史理事長は私の神戸大学医学部の先輩でもあり、神戸地域にも精通していたことから、「パルモア病院の歴史を絶やすことはできない」と決意され、院内体制は変えずに2014年4月、新たにスタートしました。

日々、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか?

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100人の妊婦さんがおられたら、100通りのお産に対する思いがあります。当院では、その人の持っているイメージを大事にしながら、満足のいくお産をサポートしていくことをモットーにしております。6割弱ほどのお産は私たち医師立ち合いのもと、助産師がメインで行っています。何らかの医療的措置、介入が必要となるのは、あとの4割強程度。私はお産の介助に大切なのは、危機管理能力だと思っています。まず予測ができるかどうか。そして小さな異常があっても、それが小さいままで済むのか、だんだん大きくなるのかを見極めることができるか。突発的に何かが起こった場合にはフットワーク軽く、他へ搬送するのか院内で帝王切開などの処置に踏み切るのか。それらが危機管理です。産科は救急的な感覚が大切。かといって「危機」ばかりを前面に出すと、妊婦さんの満足や安心、快適さが損なわれてしまいます。そのバランスを取っていくのが大事ですね。

貴院の特徴ある診療についても伺いたいです。

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当院は、WHOとユニセフが提唱する「母乳育児を成功させるための10か条」を基本に、お母さんがスムーズに母乳育児を実現できるよう取り組んでいます。赤ちゃんに母乳が良いことは皆さんよくご存知で「できれば母乳で育てたい」とおっしゃいます。ところがその中の多くの方が、本来母乳が出るはずなのに早い時期に「自分は母乳が出ない体質」だと思い込み諦めてしまいます。そうならないためには、妊娠中のおっぱいケアによる乳管開通と、それにより赤ちゃんが産まれてすぐの授乳で、わずかでもいいから乳汁がしみ出てくることがまず大切です。これをできれば産後72時間、何回も繰り返してください。この赤ちゃんとお母さんが一体となった頑張りが、母乳の量を増やし、母子の絆もより強くなります。当院では助産師や看護師がこれらに取り組むお母さんを実地でサポートしています。そして、母親教室やセミナーによる母乳育児の啓発にも注力しています。

その他に力を入れておられる取り組みはありますか?

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妊娠中から産後にメンタルの不調をきたすお母さんは少なくありません。以前、わが国の妊産婦死亡率は世界的に低いレベルとの認識でしたが、うつによる自死を入れると、実はかなり高くなることがわかってきました。日本産婦人科医会と日本産科婦人科学会も、この問題に本腰を入れています。そこで当院では妊娠初期、妊娠中期、産後の各時期に質問票を用いたスクリーニングを行っています。そして問題があれば、そのお母さんが出産後スムーズに育児をスタートできるよう個別の支援を行っています。看護スタッフのサポートや薬剤処方はもちろん、精神科医師や行政との連携を積極的に行っています。産後健診では、気になるお母さんに対しては「調子が悪くなったら来てくださいね」ではなく「2週間後にまた来てくださいね」と来院日を決めて積極的につながりを保つようにしており、悩むお母さんが孤立しないように心がけています。

病院の将来展望をお聞かせください。

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当院は産科の医師だけでなく小児科、麻酔科、内科の医師が勤務する総合的な周産期医療施設です。小児科には、それぞれに違う専門分野を持つ専門の医師が4人いることも当院の特徴のひとつです。産婦人科と小児科を併設する病院はたくさんありますが、小児科から始まった病院という意味でも、産後も長く小児科に通ってくださる患者さんが多くいらっしゃいます。神経発達を専門にする小児科部長の三宅理先生は、設立者である三宅廉先生のお孫さんにあたり、私と同じ神戸大学医学部出身。今後は、母乳育児を中心にした子どもの能力を最大限に伸ばす子育てについて、さらに発信していき、三宅先生が作られたパルモアの灯を受け継いでまいりたいと思っております。それこそが、私がここに来た意味なのですから。そしてこれからも人とのつながりを大切にしなから、パルモア病院らしい進化と発展に尽力を続けていきます。

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山崎 峰夫 病院長

1981年に神戸大学医学部卒業。1986年に同大学院医学研究科修了後、米シカゴ大学留学、神戸大学大学院医学研究科特命教授などを経て、2013年、パルモア病院の病院長に就任。病院の理念である「赤ちゃんの健やかな成長」を実践しながら、地域の周産期医療を支える。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。兵庫県産婦人科学会会長。

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