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医療法人薫風会 佐野病院

(兵庫県 神戸市垂水区)

佐野 寧 院長

最終更新日:2020/11/25

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消化器疾患への高い専門性と地域医療を両立

1888年から130年以上もの歴史を持つ「佐野病院」。国立がんセンター東病院や秋田赤十字病院などで研鑽を積み、厚生労働科学研究班の班長として活動した経歴も持つ佐野寧理事長兼院長が、医療制度改革への対応と神戸での先端診療の提供を実現するため、2006年に入職。自らの専門領域となる消化器部門・消化器がん部門ほか、子宮筋腫の内視鏡治療を専門に行う、切らない筋腫治療部門/婦人科なども設立し、内視鏡検査を年間数多く行う。同院内に「低侵襲内視鏡診断治療研究所」を立ち上げ、技術開発や臨床応用など研究にも注力している。国立がんセンター勤務時代に、佐野院長が治療法や機器開発に携わり、合併症の危険性やその対処法も熟知している大腸ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)も実施。また同院では単孔式腹腔鏡下手術(SILS)も導入しており、多数の症例を手がける。曾祖父時代から脈々と受け継がれてきた地域医療に、高い専門性を加えてさまざまなチャレンジを行う佐野院長に、同院の歴史や特色、地域のクリニックとの関わり、人材育成や今後の展望など幅広く話を聞いた。(取材日2019年12月6日)

病院の歴史、院長就任までの経緯を教えてください。

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私の曾祖父である佐野誉が現在の東京大学医学部の前身である東京医学校で学び、最先端の医療を広めるという使命を持って、1888年神戸市中央区元町に設立しました。戦禍により病院を失い診療所として再出発したのち、さらに広い用地を確保するため1970年、当地に移転しました。私は2006年に入職し翌年に4代目院長に就任しましたが、当時は医療制度改革の真っただ中。個人病院が経営方針の変更を迫られる中で、直前まで東京の国立がん研究センターに勤務し、厚生労働省研究班の班長も務めた私のキャリアと専門性が生かせるのではないかと考え、こちらに戻ってきたんです。神戸で東京と同じような先端のがん医療を提供するという大きな任務を、惑わずに一心不乱に果たしてきたと思います。ただ私には「医師は、医者と研究者の二面を持っていなければ現役でない」という持論がありますので、当院入職後も研究に励み、多くの論文を完成させてきました。

病院改革の一つとして立ち上げた消化器がん部門などの特色は。

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消化器部門・消化器がん部門では、あらゆる消化器疾患に対しての診療を行っています。当院の内視鏡検査は年間7000件を超えており、私も信頼するドクターを多数擁しております。技術的にも大学病院などと同じレベルの診療・治療の提供をめざしています。また、それ以外にも臨床試験や医師主導型研究なども行っています。切らない筋腫治療部門は、消化器のがんを切除するのと同じように、内視鏡手術にて腹部を切らずに子宮筋腫治療を提供するところです。これまでは傷が小さくて済む腹腔鏡手術などであっても子宮筋層を切るため、開腹手術と同じようなダメージがありました。しかし当院では膣から内視鏡を挿入して電気メスで筋腫を切る治療ですから、体に大きな傷を残さず翌日退院も可能です。担当する井上滋夫医師はこの領域のエキスパートです。患者さんは全国からいらっしゃいますよ。

緩和ケアサポート室や地域連携室も早くに設立したそうですね。

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がん患者さんを治療していっても、治療の甲斐なく緩和ケアが必要になる方がいらっしゃるのは事実です。しかし2006年より以前は緩和医療という概念もあまり広がっておらず、治療もできず行き先を失った患者さんたちが「がん難民」となる状況がありました。院長となり神戸に戻ってきてから、いかにそのような患者さんが多いか、気づかされたんです。がんだけを治療してその後はサポートしないのであれば、私たちは「がん患者さんを診る」ことができていないのと同じ。そう考え、当院で緩和医療を行うようになりました。そして地域連携室も立ち上げ、神戸市立医療センター中央市民病院や兵庫県立がんセンター、神戸大学医学部附属病院などからバトンタッチを受けて、当院近隣の患者さんを診させていただき、地域の開業医院でがんのサポートをしておられる先生方と連携を取りながら、地域を見守っていくというかたちをとっています。

地域のクリニックとも良好な関係を築いていると伺いました。

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私は大腸がんが専門で、究極の目標はアジアから大腸がんの患者さんを減らすこと。そのためには内視鏡検査・治療そのものがもっと普及していく必要があると考えていますし、クリニックの先生方のお力が必要です。初期段階のがんはクリニックで発見される場合が多いため、病院での入院治療が必要な患者さんをご紹介していただくことが増えていますね。クリニックの大切な患者さんをご紹介いただいたわけですから、患者さんへの接遇を含め丁寧に治療をし、笑顔で退院していただくことが重要。幸い、ご紹介いただく患者数は増えていますし、それが当院に対する評価であると考えています。もちろん当院は消化器がんや内視鏡診療だけでなく、一般内科や外科、整形外科、夜間・休日診療などもあります。人工透析を行う血液浄化部門など、今後は「消化器の専門病院」としてだけでなく「地域の病院」としての役割をもっと知っていただけるよう工夫していきます。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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当院は消化器内視鏡の医師の育成を目的とした「スキルアップアカデミー」を開催するほか、アジアの内視鏡治療の標準化をめざすNGOで、これまで3000人の外国人医師にレクチャーしてきた実績があります。また当院に入職する医師には2年の教育カリキュラムを設けて海外での勉強をサポートしたり、年間1本の論文を必ず書き上げるよう課題を与えたりと、さまざまなかたちで教育に力を入れてきました。今後も人材育成に注力し、さらに一体感ある「チーム佐野」を築き上げていきたいですね。もし医療が今後10年で極端な進歩を遂げたとしても、大半の疾患は今までどおりの治療で問題ないのではないかと考えています。ですから機材的に崇高な治療に関しては大学病院や国の医療機関に任せ、当院は131床のアットホームな病院として、患者さんとの会話や接する際の笑顔などを大切にし、今ある医療をより良いものにしていきたいと思います。

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佐野 寧 院長

1991年関西医科大学卒業後、兵庫県立姫路循環器病センターや秋田赤十字病院、国立がんセンター東病院などで研鑽を積む。専門の大腸がん治療では、厚生労働科学研究班の班長を務めた。2006年佐野病院に入職、翌2007年院長就任。技術開発や臨床応用を目的とした「低侵襲内視鏡診断治療研究所」を院内に設立、低侵襲治療を追究する。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。

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